スチーム アウト
響渚
第1話 目覚めて
少年は目覚めた、いつも同じ夢を見る、父親が自分の前からいなくなる夢を。
彼の名はアレク18歳、今は町工場で毎日油と蒸気にあたりながら日銭を稼いでくらしている。
父親と母親は随分前に亡くなっていた。独り暮らしだった彼を癒してくれたのはこの街の風景だった。
この街は、地球より技術が遅れていて今は地底にある資源を活用して蒸気機関が発達した街だった。
街中のそこかしこから煙が吹き出し、空は薄暗かった。しかし、アレクは自分の部屋から見えるこの街が大好きだった。
アレクは毎日仕事が終わると決まってガラクタ置き場に足を運んでいた。彼の夢は蒸気機関に頼らない新しいエンジンの開発だった。
しかし、今日は残業で帰りが遅くなってしまっていたが日課になっている彼の足は自然とガラクタ置き場に向かっていた。
細い路地を曲がって金網を越えたら目的地は直ぐの所迄来たが彼の足は止まっていた。
この先に誰かいる。
彼にはずっと見えていたのだ。この場所に人がいること、そしてそこにはとんでもないお宝がある事迄。
何故なら、彼の左目は何でも見える魔法のような目を持っていたからだ。
彼は工場から持ってきた長い鉄パイプを手にぎゅっと握りしめると、パッと素早く相手がいる所迄駆け寄った!
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