第6話 皮肉死

 発ガン物質の含有量を増量した製品は、消費を促すために

ペパーミント香料を大幅に増やした。

お陰で2社共に増収増益となった。

消費者は口当たりの爽やかな商品を単純に好むのである。


 2年後に一定の集計が整い、尾崎首相と三人の秘密会議が開かれた。


「お陰で順調に高齢者が減少しとります。お二人のご尽力に感謝致します。

 何と言っても、ごく自然に高齢者を減らしていかねばなりません。

どうかこれからもよろしく」


二人の会社は、まだ政府に対して未報告の生産分まで事前精算をしてもらい

企業経営は順調に成長した。


 その1年後に事態は急変する。

長期政権を保った尾崎首相がガンで急逝したのだ。


すい臓がんであった。


後任には、かねてから噂のあった東都知事の大池氏が与党復帰後

総理に就任した。


国民ファーストを常に唱える女性首相の誕生であった。


組閣も女性大臣中心に行われ日本は大きく様変わりした。


 当然ながら前首相との秘密裏の約束は胡散霧消してしまい

両会長は、大量の製品を極秘に地下倉庫に収納し

出荷を差し止めた。


 製品の出荷をストップしたことで、両会長は

精神の安息を得られたのか瞬く間に二人とも

仲良くあの世に旅立った。


皮肉なことに両者ともにガン死であった。

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年金崩壊防止犯罪 顛末記 太田 護葉 (おおた まもるは) @9999bbbb

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