第5話 誓い

 帰宅してすぐ、母の今後のことを話そうと、みんなで一つの部屋に集まった。

 父が話し出す。

「お母さんが『こうなって悪いね・・・』と言うから・・・『おまえは何にも悪くない。悪いのは病気なんだから』と・・・」

 父が言葉に詰まって泣いた。

「お母さんが、余命半年なんて・・・」

 僕も泣いた。泣き続けると長兄と次兄が励ましてくれた。

「大丈夫だよ。先生は目安と言っていたし、もっと長く生きられると、みんなで信じていこう」


 とにかく心配性の母に家のことを心配させないよう、僕らみんなで協力してやっていこうと励ましあった。母の前では涙を見せず、明るく勇気づけてあげようとみんなで誓い合った。それでも先生の言葉が気になって不安が押し寄せる。

「いつ急変するかもしれないですし、場合によっては、ある日の朝・・・昇天していることもあるかもしれません」


 いつ会えなくなるかもしれない。いつ話が出来なくなるかもしれない。そう思うとこれから毎日、母の顔を見ないと落ち着かない。こうなったら毎朝毎晩、母のお見舞いに行こうと決めた。洗濯物を換えに行き、必要なもの、何か食べたいものがあれば届けよう。楽しい話をして母を明るい気分にしてあげよう。僕がしてあげられることはそれしかない。

 毎日、母に会いに行こう。母が少しでも寂しくないように。母が少しでも元気になるように。

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