第3話 緊急入院

 急いで家に帰り、母のパジャマや着替え、洗面道具などを準備して、父と一緒にK病院へ向かった。幸いにも入院先は家から歩いて十分ほど。長い坂を上ったところにある大きな総合病院。坂を上る間も母のことが心配で気持ちが焦る。


 病院に着いて受付を済まし、エレベーターで病棟の八階へ上がる。その間も僕と父は無言で不安な気持ちでいた。「とにかく早くお母さんに会いたい」、そんな心境だった。


 八階に着くと、急いで母の病室を探す。四人部屋の入り口に母の名前が書いてある。ここだ。入り口の消毒液で手を消毒してから入る。右奥窓側のベッドに母が座っていた。僕を見て安堵の表情になる母。

「来てくれたの?ありがとう」

 母の笑顔にほっとした。

「お母さん、入院することになっちゃったから」

「うん・・・着替えとか持って来たから。あと何かあれば言ってね」

「ありがとう。メモに書いておくから」

 元気の無い母の表情。

 そこへ主治医の大橋先生が入って来る。

「お二人、ちょっといいですか?」

 父と一緒に廊下へ出る。

「病気の詳しい説明をしますので、ご家族の皆さんを呼んでもらえますか?」 

 説明を聞くだけだから大丈夫、と思っても不安でいっぱいになる。とにかく母のことが心配で仕方がない。

 翌日、家族が全員集まることになった。

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