第7話 現実は
今日は何回溜息をついただろう。
役所と言うのは書類さえ完備されていれば、こうもすんなり認めてしまうものなのだろうかと言う事をまざまざと見せ付けられ実感してしまった。
『現実は穴ばかりなのか?』
お役人様に言われるままに教育委員会の学務課に出す書類を受け取り、その足で窓口の役人様に指示される間もなく俺の足は奥にある保健福祉部健康保健課と言う舌を噛みそうな所に行き。
国民健康保険被保険者証と言うこれまた舌を噛みそうな簡単に言えば保健手帳と新しい住民票を出して手続きを済ませた。
面倒な事に石垣では一箇所で事足りる手続きなど殆ど出来ないのは昔から判りきっていた。
「同居人の子?」
転入手続きを終えて受け取った住民票を見た美緒の言葉だった。
「何か不満でも? 真帆と結婚した訳じゃないのだから当然だろ」
「ふ~ん、始めてみた」
「まぁ、それが正直な感想だろうな」
ここでまた一つ溜息を…… 溜息をつくと幸せが逃げていくと言うがどの位逃げていったのだろう。
『確か教育委員会は隣にある消防署の裏か』
そんな事を考えながら歩いて移動した方が得策と歩き出す。
「どこに行くんだ? 駐車場はあっちだろ」
「学校の手続きはここじゃ出来ないんだ」
教育委員会でもすんなり手続きは済んだ。
少し怪訝そうな顔をされ『美緒の母親はどうしたのか』聞かれたが引っ越しの手続きで遅れて石垣島に来ると告げた。
まぁ、嘘を付いた事になるのだが大人の嘘と言う事でよしとする。
「二中かぁ……」
「どうかしたのか?」
「別に」
指定された中学校は思っていた通り石垣市立第二中学校だった校区から考えれば当たり前の事なのだが、とりあえず手続きだけを先に済ませるために学校に向かった。
転校の手続きが終わる頃には冷たい雨も上がり石垣島らしい太陽が顔をだし、暖かい風が拭き始めていた。
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