第13話

「………おじいちゃんっ……。おじいちゃん……。おじいちゃん……おじいちゃん!!」


誰かの声がする…

まだ眠い…起こさないでくれ…


「おじいちゃん!!起きてってば!!」

「うわあ!!!って由夏か!?」

「おはようおじいちゃん。上手くいってないみたいだね。」


由夏はそう言うと俺が被っていた布団をひっくり返し無理やり俺を叩き起こした。


「ちょっ!!お前いきなり何してきたんだよ!」

「いきなりって…私がおじいちゃんの前に現れるってことは分かるでしょ?身に覚えがあるんじゃない?」

「うっ……」


相川が唯を花火大会に誘ったことだよな…

あの後俺ショック過ぎて家帰ってすぐふて寝したんだよな…


「ってことはまた戻してくれたのか?」

「まあ、そういうことね。」


由夏は腰に手を当て自慢げに言う。


「さっすが俺の孫!!おじいちゃんのこと分かってるぅ!!」

「まあ、それはいいとして。私おじいちゃんに言わないといけないことあるのよ。」


由夏が急に真剣な顔をして言った。


「な、なんだ?」

ごくりっと思わず息を呑む。


「前私がおじいちゃんのとこに来た時言おうと思ってたんだけど………おじいちゃんのこと1回しか戻せなくなった。」


「は!?!?まじで!?!?ゴホゴホッ」

驚愕のあまり咳き込んでしまった。


「落ち着いておじいちゃん。1回と言ってもあと1回しか過去をやり直せないわけではないの。」


「な、ならどういうことなんだ?」


「私がおじいちゃんを戻す時はおじいちゃんが大いに選択肢を間違えた時とか運命が変わるような重大な出来事の時なのよ。」


そういえばここ2週間はループすることなく日々を過ごしていた。

相変わらず唯と相川の仲は深まる一方だったが、大した出来事ではなかったということだろう。


「それでね…7月7日の時に30回以上おじいちゃんを戻したじゃない?」

「そうだな。」

「それ実は……1つの出来事に対して戻せる回数制限を遥かに超えてたの…」


「回数制限?」


「そう、私の存在している未来の世界では過去に戻せる装置が開発されているの。そいつでおじいちゃんを過去に戻した。でもそいつは回数制限があって…私その時知らなくて…同じこと何回も繰り返すおじいちゃんを見て楽しんでたら回数制限超えちゃってたの…」


由夏が申し訳なさそうに俯きながら話す。


「……回数制限って何回だったんだ?」


「………5回。」


遥かに超え過ぎだろうが!!!

あほか……同じこと繰り返してる俺を見て楽しんでる暇があったら早く助言しろよ!!


「それなら5回戻せるんじゃないのか?」


「………回数制限超え過ぎてペナルティー受けて1回までにされちゃった……てへっ!」


由夏がてへっと可愛く舌を出しポーズを取る。

俺が沈黙していると由夏が申し訳なさそうな顔をし口火を切った。


「ごめんおじいちゃん…」


「………まあ、お前には過去に戻してくれただけ感謝してるよ。可愛い孫に呆れられないように頑張る……いやもうやるしかねえ!1回しかループできなくてもたとえそのループで失敗してももうやるしかねえんだ。ありがとよ由夏。逆に引き締まったわ。」


「おじいちゃん………かっこいいこと言ってるけどさっきからズボンがずり落ちてパンツ丸見えよ……」


「………忘れてくれ。」




しばらくすると由夏は俺に微笑み「頑張ってねおじいちゃん」と呟き姿を消した。

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