第5話


気がつけばあれから30回は戻ってる気がする

体感的に1年程の長さの時間を費やした感覚だ。


しかし、相変わらず唯に叩き起こされるところから始まりクソまずい飯を食わされ、相川と唯は仲良くなり最後は唯と喧嘩して終わる結末だ。


過去を変えてはいけないという自分に課した決まりを守っていたから仕方ないが。

約31回目の今回は過去と違う選択をしようと俺は決心した。


約10回目辺りで精神が崩壊する寸前まで…いや一周通り越してやっと過去を変えることを決心した。


今は約30回目が終わる直前…寝る前である。

記憶はそのままだから作戦を立てるぞ。


まず、唯からのビンタを回避する方法を考えよう。

……………


そうだ、唯が来るよりも早く起きればいいのか。

30回目にして気がついたぞ。

でもどうやって起きるんだ?

俺は昔から朝が弱いからな。

目覚まし時計があればなんとか起きれるが

おそらく戻っているの俺だけだから道具を使ったことは無理だろう。


ならば…

寝なければいい。

簡単なことだ、寝なければいいのだ。

ずっと起きていれば起こされることはない。

今思いつく中で1番の策である。


そうと決まれば俺は寝ないぞ

かかってこい唯!


………

1時間後

………

zzz


パァァン

「淳一、早くしないと学校遅れるわよ」

頬が痛い…

てことは…くそ失敗しちまったのか


そう思った矢先まるでビデオを巻き戻したかのように唯が発した言葉が逆再生され

唯が繰り出したパンチが唯の手元に帰る。

なんだこれは…時間が戻ってる瞬間?


すると目の前が真っ暗になった。

灯りが消えたというより目を開けているのだが目を瞑っているかのような感じだ。


「全く、ようやく気がついたようね。」

「誰だ!?」


中高生くらいの女の子の声が聞こえた。

視界が明るくなり、声の主の顔が少しずつ見えてくる。

黒いロングヘアーの顔の整ったどこにでもいそうな高校生くらいの女の子だった。

さっきまでいた唯の姿がない。


「やっと気が付いたようね、松村淳一。31回目にしてようやく。」

「気が付いた?何がだ?お前は一体誰なんだ?」

「よくぞ聞いてくれたわ。私は松村由夏。松村淳一お前の孫よ。」





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