第4話 強者
この日のリカオンの1日はシャドーボクシングから始まった
パンチが風を切りけものプラズムがキラキラと舞う
攻撃と防御のコンビネーション、一撃必殺は狙わない粘り強い動き
ハデさはないが確実に正確に、シャドーの動きにもリカオンの性格が現れていた
オウギワシ「どうだ調子は?」
パトロールから帰ったオウギワシが空から降りてきた
リカオン「おかえり、まあまあかな・・・」
オウギワシ「じゃあまたちょっと軽く戦ってみるか?」
リカオン「うん、たのむよ」
ガサッ
オウギワシ「誰だ!」
茂みの向こうから黒いしっぽの長いフレンズが現れた
この雰囲気只者ではないとリカオンは瞬時に察した
フォッサ「私はフォッサ!真の百獣の王となるべく強者を求めてやってきた!オウギワシ!私と勝負しろ!!!」
オウギワシ「・・・勝負?私とか?」
フォッサ「そうだ!手合わせしてほしい、お前の事はハンターのフレンズから聞いた、私はお前と戦って勝ちたい!胸を貸してくれ!」
オウギワシ「そういう事ならイザ勝負・・・といいたい所だけど・・・リカオン!」
リカオン「え!?」
いきなり名前を呼ばれたリカオンは驚いてしっぽをピンと立ててオウギワシを見た
オウギワシ「お前がまずちょっとフォッサとやってみないか?」
フォッサ「お、おいちょっと待て、この子じゃなくて私はお前と・・・」
オウギワシ「まあまあいいじゃねえか、ハンター候補生だコイツも強いぜ?」
フォッサ「それなら折角出しお手合わせ願おう!いいかなリカオン?」
リカオン「うっ・・・」
リカオンはフォッサの鋭い目つきを見て身震いし言葉が詰まった
このフレンズは強い、動物の勘が働いたのかそれを一瞬で見抜いて体が恐怖した
オウギワシ「トレーニングだと思ってさ、たまには私以外のヤツと拳を交えるのもいいもんだぜ?」
リカオン「そ、それなら・・・お願いします」
フォッサ「よし!それじゃあ決まりだね!私が勝ったら次はオウギワシだからね!」
オウギワシ「はいよ、ま、そう簡単に行くか分からないぜ?・・・はっはっは!」
恐怖で強張った体を奮い立たせリカオンはフォッサと向き合う
オウギワシ「今回は素手の真剣勝負だからな、気張っていけよリカオン!」
リカオン(ふえぇぇ・・・逃げ出したくなってきた・・・)
リカオン「お、オーダー了解・・・ッ!」
フォッサ「さあいくぞ!」
フォッサはやる気十分で構えた
リカオン「やっぱりやるんですよね・・・お、お願いします・・・!」
リカオンは明らかに縮こまっている、いつもと違い体が固くなっている
ガチガチになって既に守りに入っているリカオンにフォッサが突っ込んできた
フォッサ「でやあああああ!!!!」
ガッ!!!
リカオン(重い!ガードしてるのにこの衝撃・・・やっぱりフォッサさんは強い・・・私には勝てそうにない・・・)
フォッサ「どうしたリカオン!!!守ってるだけじゃ何にもなんねえぞ!手出せ!!!」
オウギワシから檄が飛んだ
フォッサ「そうだ!それじゃ私は倒せない!かかってこい!」
リカオン「くっ・・・シッ!」
リカオンは固いガードを解き素早くジャブを放った
フォッサ「おっと」
難なくフォッサはかわす
リカオン「シッ!」
続けてリカオン得意のワンツーを放った
しかしジャブからのストレートへ繋ぐ一瞬身を引いたところで
フォッサ「はぁ!!!」
ゴッ!!!プシッ
リカオン「ううっ・・・ぐっ・・・んぐっ・・・ハァハァ・・・」
フォッサの強烈なストレートの如く重たいジャブがリカオンの顔面を貫いた
まともに顔面にパンチを受けてリカオンの鼻からは真っ赤な血が流れていた
オウギワシ「リカオンしっかりしろ!相手をよく見ろ!」
フォッサ「どうする?降参するか?」
一瞬リカオンは思った、「ここで降参してしまおう、私一人で勝てっこない・・・」だが自分を応援してくれているオウギワシの為にもこのくらいで降参するわけにはいかないと思った
リカオン「まだまだ・・・!!」
鼻血を腕の毛皮で拭い歯を食いしばって再びリカオンは拳をギュッと握り構えた
するとどうしたことかさっきまでガチガチだったのに不思議といつものように構えることができていた
フォッサ(この子・・・さっきと見違えるようないい構え・・・デキるかも・・・)
フォッサ「ようやく本来の力が出せるみたいね、あなたの実力確かめてあげる!!」
リカオン「シッ!シッ!シッシッ!」
前のめにりなり一気に距離を詰めてジャブの連打からのコンビネーション
フォッサはそれを上手くガードしながら反撃のパンチを繰り出す
フォッサ「はぁ!たぁ!!!」
リカオン「っと・・・!」
リカオンはフォッサのパンチをしっかり見据えてスウェーバックとウィービングでかわす
打って引いて打って引いてを繰り返すリカオンの粘り強い戦法
さしものフォッサも決め手となるパンチが打てずに疲弊していった
そこからくるフォッサのガードが下がったスキをリカオンは見逃さなかった
フォッサ「ふぅふぅ・・・」
リカオン(いまだっ!)
リカオン「シッ!シッシッシッ!」
ガードを縫ってジャブが決まりそのままアッパーカットからのボディ2連発とワンツーがフォッサに叩き込まれた
フォッサ「んっ・・・っと…今のはちょっと効いたかな…へへっ、やるじゃない…」
リカオン「・・・・」
フォッサ「正直ちょっと見くびってた、でもここからは本気を出させてもらう!」
リカオンは激しいプレッシャーを感じ身構えた
フォッサの目が輝き手からけものプラズムがほとばしる
フォッサは「野性解放」をしてリカオンに向かってきた
リカオンも野性解放してフォッサを迎え撃つ
しかし野性解放したフォッサは凄まじい速度で重たい連撃を繰り出す
逃げることも叶わず野性解放したリカオンも棒立ちでガードするしかなかった
オウギワシ「なんてパンチだ・・・リカオンもあれじゃ・・・いや、リカオンならきっと大丈夫だ・・・」
オウギワシはフォッサの猛攻撃をみておののいた
ガードの隙間からちょっとずつパンチを貰ってリカオンのダメージは蓄積されていく
このパンチをまともに食らったらリカオンはひとたまりもないのはオウギワシにもリカオン本人もわかった
フォッサ「はあああああああああ!!!!」
リカオン「うぐっ・・・くうっ・・・」
フォッサのパンチをうけたリカオンの体は腫れ上がり所によっては切れて出血してだんだんとリカオンを追い詰める
フォッサ「ふぅふぅ・・・そろそろ終わりにしよう、強者を求める切っ先・・・これで仕留める!」
リカオン「ハァハァ・・・」
フォッサ「でやああああ!!!」
ボロボロになって膝も笑っているリカオンに容赦なくフォッサの必殺が襲いかかる
オウギワシ「リカオン避けろ!!!!!!」
その刹那、リカオンには世界がゆっくりと見えた気がした
ボロボロなるまでフォッサの攻撃を見続けたからなのか肉体と精神が追い込まれた極限でできる技なのか
リカオン(ここだっ!)
リカオンは身を低くしてジャブをフォッサの腕に当てて軌道をずらした
フォッサ「なっ!?」
ドゴッ!!!!
フォッサ「ぐっ!!!」
フォッサ腕を交差するようにジャブからの渾身の右ストレートが決まった
フォッサは必殺を繰り出したため全体重を乗せていてその勢いを利用されリカオンのカウンターのワンツーパンチをまともに受けてしまった
フォッサ「うっ…!」
フォッサは顔を抑え片膝をついた
顔を覆った手からは血が滴っていた
オウギワシ「リカオン!」
リカオン「うっ・・・あっ・・・」
限界にきていたのかパンチを打った方のリカオンがそのまま倒れ込んで気絶してしまった
フォッサ「ったたた・・・参ったねまさかあんなパンチを持ってるとは・・・」
血を拭いながらフォッサは立ち上がって倒れたリカオンに歩み寄る
フォッサ「リカオン・・・ありがとう、あなたは強者だった・・・いい勝負ができたよ、オウギワシ!私はまたリカオンと勝負したい!あなたとの勝負はあずける!」
オウギワシ「えっ!?あ、ああ・・・そうか」
フォッサ「それじゃあな、リカオンにもよろしく!」
満足げなフォッサはそのまま木に飛び移りどこかにいってしまった
オウギワシは気絶したリカオンを抱えて縄張りに帰っていった
オウギワシ「全く大したやつだよ・・・こんなボロボロになるまで・・・そう・・・お前はそういうやつだったな・・・絶対に諦めない何時だって人一倍頑張ってさ・・・」
オウギワシに抱えられてリカオンは夢をみていた
仲間・・・連帯・・・
何かと戦ってる?セルリアン?
ハンター・・・あれは・・・
知ってるフレンズ・・・分からない・・・誰?
だめ!やられる!
リカオン「はっ!あっ、あれ!?ここは・・・」
オウギワシ「おはよ、体は大丈夫か?」
リカオン「オウギワシ!体はちょっと痛いけど大丈夫・・・・あれ?フォッサさんは?」
オウギワシ「お前がぶっ倒れた後すぐ帰ったよ」
リカオン「そっか・・・強かった・・・負けちゃった」
オウギワシ「ああ、でもいい線いってたぜ、フォッサもまた勝負しようって」
リカオン「そんなことを・・・よし今度は勝・・・ちたいけどやっぱり怖いかも・・・ううっ」
オウギワシ「おいおい」
戦いが終わったら気が縮んでしまったリカオンをみて苦笑いするオウギワシ
フォッサとの全力の戦いでリカオンは必殺といえる真のワンツーをみにつけたのだった
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