第10話 優勝クラス


 トーナメント戦は順調に進んでいった。

 そして最後の対決は、B組とA組。他のクラスは、ステージと二階を使って見学をしていた。


 「どっちが勝つかな?」

 「A組だと、運動部多いし」

 「でもB組はさ、森本いるじゃん」


 周りのクラスの人の声に、森本は「けっ」と目を細める。そんな森本を「まあまあ」と野田が宥める。


 「そーよ、周りなんか気にしなくていーでしょ。勝って、もっと気にさせてやろうじゃん」


 そう自信満々に言う早水に、クラス全員が小さく吹き出した。

 全員で円陣を組み、全員でかけ声を。


 ジャンプボールが投げられ、ボールはA組のバスケットボール部一の長身の男子が。ボールが投げられると、そのボールを森本がキャッチし、山内が投げる。山内が投げたボールは、外野にいる早水へと渡り、早水の投げたボールは一人の男子へと当たった。



 A組の外野が増えると、B組の内野も少しずつ減っていった。

 そして、A組の男子が森本をめがけて投げ、森本はキャッチしようとするが、腕に当たってボールは上へと。上にあがったボールは、小田の腕の中へ。森本と小田は顔を合わせ、ニッと笑ってハイタッチをした。


 試合は順調に進み、B組の勝利で決着がついた。


 優勝したB組には、賞状と拍手と高級アイスが贈られた。B組以外の生徒は、問題児ばかりのB組が優勝したことに、複雑な気持ちを抱きながら拍手を贈っていて。そんな生徒たちの拍手の中、B組の生徒は全員、満面の笑みを浮かべていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る