第46話 『彼』と聖女と新班と大量の亡骸
「それにしても、ずいぶん大量だな、おい……」
ここはモンス島の警察組織本部の建物にある一室。
その一室で、大量にあるのは
そして亡骸以外に室内に存在している者達は、今代聖女ヴィーシニャと、ドン班の後継班各員ら――ちなみに真っ先に発言したのは、その男子平班員である――と、亡骸を作った犯人ロリアス・パソビエである。
正直ロリアス本人の出る幕はないのだが、自分がプロデュースしたドン班の後継となる班がどんな面々なのか気になったらしく、邪魔をしないことやロリアスを拘束する人同伴という条件でここに来ていた。
そうだ、大量の亡骸……と聞いてハエなりなんなりが、わんさか
残念ながらと言うべきかロリアスの因子の能力のおかげでそんなことは起きていない。
ロリアスの因子の能力代表こと殺した生物の死体を人形にする程度の能力。
そんな能力が目覚めたきっかけは、医者時代――もっと細かく言うとロリアスが33才になる年――に母親を手術で死なせ何気なくその遺体に触れたら人形になったこと……というのが本人の弁である。
「まさか初仕事でこんなことになるなんて……うわ、霊達が騒々しい」
後継班の副班長に任命された女子がそう言うが、ここにいる自分以外の生者らは普段から霊の声が聞こえないのを思い出し、苦々しい顔をする。
彼女の霊聴能力は因子由来のものだが、因子由来の霊を感知する能力は、目をつぶったり――さすがに霊視能力は特殊な理由がない限り、目を開けなければいけないが――まばたきしたりしても発動し続ける。
ヴィーシニャの無生物の記憶を読む能力や、新班副班長の霊聴能力によって、
ロリアスの愛する祖母エカテリーナの正体が聖女になるはずが己の因子の能力が生命力を奪う能力であることに絶望して自殺したエクレールの、双子の妹エクローリエにして、プリストラ等が知る聖女エクレールその人であったことや、
ロリアスの母親の遺体が人形になった直後人形状態を解いて滅茶苦茶セックスしたことや、
そもそもここにある遺体の数より遺体の人物より先に死んだ、遺体の親族達の霊が。エカテリーナの姉エクレールも、そこに含まれている――ことなどが発覚しまくる。
しかも、ロリアスや、エカテリーナなどロリアスをよく知る一部の霊達曰く、ここにいる遺体達は、あくまで殺した死体を人形にする能力に目覚めてから殺して捨てなかった遺体に過ぎないらしく、能力に目覚める以前に消したり殺したりした者や、ロリアス本人が名前を把握してるが生死は把握していない者も含めれば、もっとすごい数になると言う。
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