第31話 聖女の守り人達へのクリスマスプレゼントは残酷な真実

 班対抗戦でリカ班に辛勝したウリッツァ班。ウリッツァ班の勝利を告げられたと同時にリカとミトは緊張の糸が切れたように倒れた。

 その翌日、ウリッツァ班及び日常警護班の面々――ダウン中のリカ班除く――は、リカとミトの異常な装備の正体は装備に擬態した触手生物であったと倒れたリカ班を診た医師に告げられた。



 それから幾日か過ぎ、ウリッツァ、マギヤ、トロイノイ、プリストラ、

そしてヴィーシニャは五人で焚き火をしていた。

 もっというと焚き火でマシュマロを焼いていた。

 皆で焼きマシュマロの美味しさの理由についてなんとなく話し合っているとヴィーシニャの服の裾に火が着いた。

 慌てすぎず騒ぎすぎず消火を試みるマギヤ。

 消火の際、マギヤは無意識で、焚き火の火は元々、プリストラの魔法で付いた火だから、プリストラの魔法も解くつもりで解呪の魔力も込めていた。


 そうしたら、ヴィーシニャが崩壊した。

 普段の性格キャラが崩壊したのではなく、その体が文字通りの意味で崩壊した。

 まず上半身と下半身が二つに分れ、上半身はワンピースとコートを持っていきながら後ろに倒れていき、下半身は重力に従って膝から崩れ落ち、尻餅をつく。

 地にあるヴィーシニャの下半身はスカートという覆いをなくし、若干M字開脚してるのも相まって純白のパンティが丸見えになっているが……少なくともここにいる面々に、それを喜べる者はいない。

 上半身ではまず、右肩、左肩がもげ、その肩が落ちた衝撃で腕から肘と手が外れた。

 そして首と頭のつながりが無くなったにも関わらず、柔和な笑みを浮かべ、ウリッツァ班を見るヴィーシニャの顔。


 そう、ウリッツァ達が今までヴィーシニャだと思って接していたのは、ただの人形だったのである。

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