第30話 おや、リカ班の様子が……?

 学園で冬期休暇に入る前の学力試験や魔法等実技試験を終えた生徒達、及び聖女親衛隊日常警護班の面々。

 そして班対抗戦でウリッツァ班とリカ班が対決することになったが、リカ班の様子がおかしい。


 いや、今回の班対抗戦以前からリカ班がおかしいのはウリッツァ班及び他の班員も知っていた。

 最初は聡い班員がなんとなく違和感を覚える程度だったが、ある日、震えるフィー班長が聖女邸内に瞬間移動テレポートされてきた。

 誰かが何があった、と尋ねると、フィーは、「リカが……、触手、に……」と言ってバタッと倒れ、翌日まで目覚めなかった。

 その数分後、フォーレを先頭にリカ班の面々が帰って来たが、フォーレは各方向からくる質問に一切答えなかった。

 その日を境に「リカ班の様子がおかしい」のは日常警護班員の共通認識となった。



 今回トロイノイは個人戦で、フォーレ以外のリカ班の三人と戦うことになったのだが、三人とも絶えず荒い息をして、心配の声をかけてみても無視されたり、喘ぎ声や攻撃で返事をされたり、武器と装備のぶつかる感触が何かおかしかったりし、全勝したとは言え、かなり調子を狂わされた。

 フォーレについては、フォーレに当たったトロイノイのルームメート、アイン曰く、少なくとも喘いでくるだとかそういう意味で変なことはなかったが攻撃スピードと精度が上がってた、とのことだった。


 改めて、今回の班対抗戦でぶつかり合っているウリッツァ班とリカ班を見よう。

 試合開始早々、レイが無詠唱で魔法をガンガン撃ってきたが、プリストラの結界やらそれ以外の魔法やらなんやらで衣類の大半が吹き飛び、あらわになったのは、サイケデリックな柄の下着……のように見えるが違う。

 よく見ると柄部分が拍動している、蠢いている。柄が動くたび、声を漏らすレイ。

 レイの近くにいたプリストラが失礼を承知で下着側面に攻撃チョップを加えようとすると、武器をはめたプリストラの手に触手が絡み付いてきた。

 思わず、うぎゃああ! と叫んだプリストラは触手を燃やし、レイを物理で無力化させた。



 プリストラがレイを倒した頃、攻撃の精度とかが上がったというフォーレをウリッツァの剣プラス、トロイノイの二剣の計三剣と、マギヤの弓矢と魔法で死なない程度にボッコボコにし、リカとミトを相手に戦うウリッツァ班マイナスプリストラ。


 プリストラがウリッツァとトロイノイの援護へ向かおうとする最中、マギヤのドでかい流れ氷魔法だまに当たりそうになる。

「ちょっマギヤ! いつになく殺気がすごいよ!? 死なせたら失格ってこと忘れてないよね?!」

「忘れるものですか、プリストラ。

ただ、半ばそのつもりでやらないと、こっちが潰される……そう思ってしまうほど、相手が強いんです……!」

 リカもミトも装備の面積は少しずつ減っていっている。少なくとも腕周りや脚周りは素肌だ。

 だが胴体周りがなかなか破れない、破壊できない! あまりに軟らかくて攻撃が通らない、仮に通っても復元してしまうのだ。


 班対抗戦の制限時間が終わり、ウリッツァ班の勝利と判定されたが、リカ班の装備には勝てなかった。

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