第16話 ウリッツァ班以外の班

 ご存知の通り、聖女親衛隊日常警護班はウリッツァ班だけではない。

 ウリッツァ班の他に女子班長を男子三人が支えるフィー班、男子班長を胸囲格差がすごい女子三人が支えるザヴィー班、男女同数のドン班、そして女子だけのリカ班の四班がいる。


 朝、日常警護班の女子班員で唯一、一人部屋なフィーを起こすのは大体彼女の幼なじみでもあるリカである。

 リカがフィーの部屋のドアをノックする。

 はーい、とフィーの声がドアに近づき、ドアを開けようとしたところでリカはこう声をかける。

「部屋を出る前に服を着なさい。上下両方、下着も」

 リカはドアを魔法で透視してフィーが全裸で出ようとしたことを見抜いていた。

 フィーは部屋にいるときや寝るときに裸でいるタイプではない。

 ちゃんと寝間着等を着て眠るのに朝起きたら脱げているのである。

 自分の意志で脱いだわけでも誰かの意志等で脱がされたわけでもないのに、である。



 場所は変わって、ここはドン班班長ドン・カセと、ご存知ウリッツァ班のメンバープリストラの部屋。

 ドンは一人だけの部屋の窓で伝書鳩が持ってきた手紙を受け取っていた。

 たまにだが、手紙の他にも、ドン班の面々を支援しているという人物からいろいろ届く。

 ある日は魔法の強化薬だったり、日用品や文具だったり、どういうわけか惚れ薬や、形容しがたい卑猥な何かが送られてきたこともあった。

 もっとも、今日は手紙だけで、内容としては送り主のちょっとした近況報告であった。



 さらに場所は変わって、ドン班のもう一人の男子クワトと、フィー班で一番背が低い男子アーサーの部屋。

 アーサーは下段のクワトのベッドでフィーへの告白の結果を報告していた。

 班内恋愛は任務や学業に支障が出ない範囲で、という条件で許されている。

「で、どうだった、アーサー?」

「『気持ちだけ受けとる』って言われた……」

「そ、そうか……」

「俺、魅力ないのかな……チビだし、顔も才能も人並みだし」

「いやいや、身長なりなんなりが人の全てじゃないって。……まあ、俺が言っても大して説得力ないだろうけど」

 こんな風に振られることもあれば、ザヴィー班で一番貧……もとい、胸が控えめな女子班員が班長に告白して両思いであることが発覚することもある。


 ついでに言っておくと、フィー班、ザヴィー班それぞれの同室同性の二人はいる。同性同士でできている。

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