第25話 アリス、天使の運命を変える!?

運命の騎士ディスティニーナイトのアリスと、天使に埋めれ変わった傲慢のルシファーの天界での最終決戦が繰り広げられようとしていた。アリスはあいつを取り戻すことができるのか!?


ここは天界。

「くらえ! 一日一善! ディスティニー・ブレイク!」

アリスは運命を変える一撃であるディスティニー・ブレイクを放つ。

「ちょこざいな! 幸せの聖なる光! ミカエル・ハッピー!」

天使ルシファーも天使として聖なる光のオーラを放つ。運命と幸せの2つの光がぶつかり合う。

「グググググっ!?」

アリスも力比べでは天使に引けをとらない。

「何を!?」

天使ルシファーも人間相手にパワーで押し負ける訳にはいかなかった。お互い一定のパワーを出し切り、アリスとルシファーは一定の距離をとる。

「人間の分際で、やるな。」

天使ルシファーは驚いていた。たかが人間が天使と互角に戦うなど信じられなかった。

「これでも運命の騎士ディスティニーナイトですから。」

アリスは天使相手でも一歩も引けを取らなかった。それもそのはず、アリスは幸福も不幸も全ての運命を導くことができる運命の騎士ディスティニーナイトなのだから。

「私も戦うわ! アリスおばさん!」

運命の騎士ディスティニーナイト2号、アリスの姪のマリーアントワネット・萌子のもアリスと共に天使ミカエルと戦うと言う。

「おばさんと言うな!!! 私は女子高生だ!」

アリスがおばさんに反応するのはお約束。

「これで運命の騎士ディスティニーナイトの2人が揃ったのね。」

運命の女神ディスティニーちゃんは、アリスとマリーアントワネット・萌子の2人の運命の騎士ディスティニーナイトをたくましく思い、きっと勝ってくれると信じている。

「運命の騎士ディスティニーナイトなど、何人いようが結果は同じだ。」

天使ルシファーは、自分が1番強いと言わんがばかりに気高く振る舞っている。

「そんなことはやってみないと分からないわよ! いくわよ! マリモ!」

アリスは天使になっても傲慢なルシファーに教育的指導をするつもりだった。

「マリモ言うな! 私はマリーアントワネット・萌子なのだから!」

マリーアントワネット・萌子も略されてマリモと言われるのは抵抗がある。

「くらえ! 風林火山! ディスティニー・ブレイク!」

「謝れ! 誤字脱字! ディスティニー・ブレイク!」

アリスとマリーアントワネット・萌子は息もピッタリに、2人同時に運命を変える1撃を放つ。

「そんなも・・・の!? ギャア!?」

たかが人間と油断していた天使ルシファーを運命の光のオーラが包み込む。天使ルシファーは断末魔の叫びをあげる。衝撃で辺りには煙が立ち込めている。

「やった!?」

アリスは天使ルシファーに勝ったかと思った。

「1人でダメでも、2人なら倒せるものよ。アリスおばさん。」

マリーアントワネット・萌子は得意げな顔をしながら言う。

「だから! おばさんって言うな!?」

アリスはあくまでも、姪のマリーアントワネット・萌子のおばさん発言に反応してしまう。

「2人とも! ふざけるのはまだよ!?」

運命の女神ディスティニーちゃんがアリスとマリーアントワネット・萌子のケンカを止める。煙が無くなってきた。

「ゆ、許さんぞ! 人間ども! 運命の騎士ディスティニーナイトなど、ふざけたキャラなど、許すものか!!!」

煙の中から現れたのは天使ルシファーだった。表情は怒りで狂っていて、天使で1番綺麗という、冷酷に澄ました顔ではなくなっていた。

「生きてる!? しぶといな!? しつこい天使は嫌われるわよ!」

マリーアントワネット・萌子は小学生ながらに、天使に文句を言う。

「でも、全く効いていないという訳ではないみたいです。」

運命の女神ディスティニーちゃんは、天使ルシファーを見て言う。天使ルシファーは、天使の聖なる光のオーラで包まれていたが、今のルシファーは聖なる光のオーラと闇のオーラが混沌と交わり合っていた。

「・・・も、元の不幸に戻してやる! 悪魔が幸せになってどうするんだ!」

アリスは聖と闇が混沌としている天使ルシファーを見て感情が込み上げてくる。目の前のあいつは何をやっているんだろうと。

「私は、私はあなたがいなくなって、不幸になっているのに! あなたは何1人だけ幸せになっているのよ!」

アリスはアリスなりの傲慢のルシファーに対する、人間と悪魔、さらには天使になってしまっているルシファーに対する、微妙な関係の中での精一杯の告白である。

「運命を変えてやる! 青汁最高! ディスティニー・ブレイク!」

アリスは運命を変える1撃を全身全霊、想いを込めて天使ルシファーに放った。

「私は天使だ!? ギャア!?」

天使ルシファーにアリスの必殺技が炸裂する。運命の光の中で、弱っていた天使ルシファーの運命をアリスのディスティニー・ブレイクが運命を巡り巡り、つなぎつなぎ運命を変えていく。

(お願い! 戻ってきて!)

アリスは天使ルシファーの運命が変わっていく様子を見ながら、必死に願う。悪魔の傲慢のルシファーに戻ってほしいと。

「あれは!?」

天使ルシファーの運命が変わった。聖なる光のオーラに包まれていたのが、闇のオーラで包まれている。

「ルシファー!?」

アリスは「あいつ」ではなく、思わずルシファーと名前で呼んでしまう。アリスは気持ちを抑えることができず、目から涙が溢れてくる。

「運命が変わって、天使から悪魔に堕天したんだわ。悪魔に戻ったのよ!」

運命の女神ディスティニーちゃんは、天使ルシファーの運命が悪魔の傲慢のルシファーの運命に戻ったと宣言する。

「よ、良かったね。アリス。」

マリーアントワネット・萌子も喜んで泣いているアリスを見て、場の雰囲気を感じ、敢えておばさんとは言わなかった。

「うん。」

感極まっているアリスは一言答えるだけで精一杯だった。

「・・・アリス。」

宙を浮いていた傲慢のルシファーがゆっくりと目を開く。そして目に映るアリスを見つめて呟いた。

「ルシファー!?」

アリスもルシファーを見つめる。まるで離れ離れになっていた王子様とお姫様が、離れていても想いを募らせて、やっと再会できた2人だっけの世界の様だった。

「あ!? 落ちる!?」

ディスティニー・ブレイクを受けて、天使から悪魔に戻った傲慢のルシファー。宙を浮いていたのだが、疲れ果てたのか一瞬だけアリスの名前を呼び見つめ合うと、瞳を閉じて力無く宙から床へと落ちていった。

「ルシファー!?」

アリスたちは走って駆けよる。

「おい!? 死ぬな!? 目を覚ませ!?」

アリスは気絶しているルシファーの体を力強く揺らしながら、大声で呼びかけた。

「・・・。」

傲慢のルシファーは目を覚まさない。

「どうして!? ねえ!? 起きてよ!? さっきは私の名前を呼んでくれたじゃない!? ねえってば!?」

アリスは目覚めない悪魔の傲慢のルシファーに必死に呼びかける。

「・・・。」

それでも傲慢のルシファーは目を覚まさなかった。

「もしかしたら、天使になる前の天使ミカエルに剣で刺された傷が酷かったのかも!?」

運命の女神ディスティニーちゃんは、推測だが傲慢のルシファーが目を覚まさない原因を言う。

「ミカエル、殺す!」

アリスは愛の炎以上に、憎っき天使ミカエルに対する復讐の炎を燃やす。

「わかった! 眠れる王子様は、お姫様の口づけで目覚めるロマンチックなやつね!」

やっぱりマリーアントワネット・萌子はロマンチック恋愛が大好きな女の子。傲慢のルシファーの目を覚ますには、アリスのファーストキスが必要だった。

「き、き、キス!?」

アリスは顔を赤らめて戸惑う。動きもぎこちなく照れている。アリスは眠っている傲慢のルシファーの顔を覗き込む。

(おい!? 早く起きろ!?)

アリスは眠っている悪魔に起きろ起きろ念を送るが、傲慢のルシファーは目を覚まさない。

(ん!? 私は16才の女子高生だけど、こいつはいったい何才なのよ? 悪魔の寿命って何才よ!?)

アリスは、ふと思った。人間は100才も生きれば死んでしまうが、悪魔は何才で死ぬのだろうと。まだ女子高生ではあるが、アリスも女性なので現実的だった。

「ディスティニーちゃんは年齢は何才?」

試しにアリスは運命の女神ディスティニーちゃんに年齢を聞いた。運命の女神というぐらいなので、かなりのババアだと思った。

「3才です。」

運命の女神ディスティニーちゃんは、自分の年齢は3才だという。

「うそ!?」

アリスは運命の女神ディスティニーちゃんが3才と聞いて驚いた。

「私より年下!?」

マリーアントワネット・萌子も運命の女神ディスティニーちゃんが小学生よりも若いのに驚いた。

「運命の女神として生まれただけで、まだ3才なので体も小さいです。」

今のディスティニーちゃんは、言い換えると、変な妖精のぬいぐるみなのである。サイズとしては手の平や肩に乗るぐらいのカワイイサイズである。

「成長するとアダルトバージョンで、人間位のサイズになるです。」

運命の女神ディスティニーちゃんには成長形態があることが判明した。

「はあ!?」

アリスは気づいた。

(10才の小学生と3才の変な妖精のぬいぐるみの目の前で、キスをしてもいいものか!?)

この中で1番の年長者であるアリスはキスしたい欲望と幼い子供たちに見せてはいけないという保護者の立場に挟まれて悩んでいた。

「ハッピーでございます。」

その時、幸福の女神のハッピーちゃんが現れる。

「ハッピーお姉ちゃん!?」

運命の女神ディスティニーちゃんの姉である。

「何があったの? ディスティニー。」

幸福の女神ハッピーちゃんは運命の女神ディスティニーちゃんのお姉ちゃんである。妹からかくかくしかじかと今までの経緯を聞いた。

「まあ!? そんなことがあったのね。」

幸福の女神ハッピーちゃんは話を聞いて驚く。

「キス! キス! キス!」

幸福の女神ハッピーちゃんは会場をキスコールで盛り上げる。幸福の女神であって恋愛が大好きな女の子で出会った。

「あのね・・・。」

アリスは幸福の女神のハッピーちゃんのキスコールに呆れる。

「キス! キス! キス!」

運命の女神ディスティニーちゃんとマリーアントワネット・萌子もキスコールに加わって、拳をあげてエールを送っている。

「ズコー!?」

アリスはズッコケてしまう。

「おふざけはこの辺でやめておきましょう。」

急に幸福の女神のハッピーちゃんが真顔に戻った。

「ふざけていたのか!?」

アリスは思わず疑いの眼差しで幸福の女神のハッピーちゃんを見てしまう。

「その悪魔は死んでいます。」

幸福の女神のハッピーちゃんは悪魔の傲慢のルシファーが死んでいるという。

「え!?」

アリスは予想もしていなかった言葉に、一瞬時間が止まる。

「悪魔の時に天使ミカエルに2度刺されて死んでしまいました。」

やはり天使ミカエルに剣で刺されて死んでしまったのだ。

「天使ミカエルは悪魔の傲慢のルシファーの命を救済するように、死者を生き返らせる能力を持つ天使ガブリエルに蘇生を命じました。その結果、悪魔から浄化されて、天使ルシファーとして生まれ変わったのです。」

悪魔が天使になることを闇のオーラから聖なるオーラになるので浄化とした。天使が悪いことをして堕天使になるというような具体的な言葉が定かではなかったからだ。

「しかし天使ルシファーを元の悪魔に戻そうと運命を変えたので、元の悪魔の運命に戻って来たのですが、悪魔の傲慢のルシファーはもう死んでいるので、死亡した運命につながってしまったのです。」

なんと悪魔の傲慢のルシファーは1度は天使になることで命を取り留めた。

「ええ!? 私の性なの!?」

アリスは驚いた。アリスは元の悪魔の傲慢のルシファーに戻したかった。ただ会いたかっただけだった。それなのに、元の悪魔の傲慢のルシファーは死んでいしまっていたので、アリスが運命の騎士ディスティニーナイトとして、悪魔の傲慢のルシファーの運命に戻すことには成功したが、死んだ悪魔を生き返らせることまではできなかった。

「そ、そんな・・・私は、ただ私は、あいつに会いたかっただけなのに・・・。」

アリスは力無く四つんばいに倒れ込む。アリスの瞳から自然と涙がこぼれてくる。頬をつたり涙がこぼれていく。

「私が悪魔に戻したのがいけなかったの!? そんなのあんまりよ!? あんまりだわ!?」

アリスは自分自身を攻め立てる。自分がいけない。自分が運命を変えたのがいけない。自分が運命の騎士ディスティニーナイトだからいけないと自分の心に問いかけた。


つづく。

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