第20話 アリスの家に長女ハッピー現る!?

変な妖精のぬいぐるみ3姉妹。次女、不幸の女神アンハッピネス。三女、運命の女神ディスティニー。そして謎の長女が、ついに姿を現す!?



ここはアリスが学校が終わり、自宅に向けて帰る帰り道。


「ああ・・・疲れた。クソ! 悪魔め!?」


アリスは午後から焼きそばの仕返しに、傲慢のルシファー先生にグランドをずっと走るように言われ走っていたのだった。


「ただいま。」


アリスは自宅に帰って来た。


「キャハハハハハハ!」


玄関で靴を脱いでいるアリスに中から笑い声が聞こえてくる。


「お客さんかしら?」


しかし玄関に靴はない。


「嫌な予感が・・・。」


運命の女神ディスティニーちゃんと出会ってから、アリスは変な人間とばかり出会っているからだ。


「ソロっと。」


アリスはリビングの中を覗き込んだ。


「キャハハハハハハ!」


姪のマリーアントワネットにおもちゃにされている、変な妖精のぬいぐるみが2体。髪の毛を三つ編みにされて、振り回されている。しかし、変な妖精のぬいぐるみの2体は遊園地の乗り物に乗っているみたいに喜んでいる。


「キャハハハハハハ!」


1体は運命の女神ディスティニーちゃん。


「キャハハハハハハ!」


見たこともない変な妖精のぬいぐるみが、もう1体いる。


「あ!? アリスおばさん。」


帰宅したアリスは、姪のマリーアントワネット・萌子に見つかった。


「ギャア!?」


マリーアントワネット・萌子はアリスに驚き、変な妖精のぬいぐるみを手から放した。変な妖精のぬいぐるみは投げ飛ばされる。


「危ない、危ない、背中に羽が生えていてよかったですね、お姉ちゃん。」


運命の女神ディスティニーちゃんは背中の羽を羽ばたかせ、壁や地面にぶつからずに宙を浮いている。


「そうね、ディスティニーちゃん。ハッピーでございます。」


もう一人は、ディスティニーちゃんのお姉ちゃんの幸福の女神のハッピーちゃんである。こちらも羽で宙を飛んでいる。


「マリモ、おばさんと呼ばないで! 私はお姉さんよ!」


アリスは女子高生なのにおばさんと言われることに抵抗する。マリモとは、マリーアントワネット・萌子を略した呼び名である。


「アリスはおばさんよ! おばさん!」


マリーアントワネット・萌子もアリスに言われたぐらいでは、アリスおばさんという言い方を変える気はなかった。


「仲の良い姉妹ですね。」


幸福の女神のハッピーちゃんは、アリスとマリモが仲良し姉妹に見えた。


「お姉ちゃん、あの二人は犬猿の仲ですよ。」


運命の女神ディスティニーちゃんは、なんでも幸せに考えてしまう姉に困っている。


「あら? そうなの。ハッピーでございます。」


ディスティニーちゃんの一番上のお姉ちゃんの幸福の女神のハッピーちゃんは、ある意味、2番目のお姉ちゃんの不幸の女神アンハッピネスちゃんより最強だった。口癖はハッピーでございます。


「ディスティニーちゃん。」

「はい。なんですか?」

「そちらはどなた?」


アリスはディスティニーちゃんに尋ねる。


「ディスティニーちゃんのお姉ちゃんの、幸福の女神のハッピーちゃんです。」


ディスティニーちゃんは自分の姉だと自己紹介する。


「ハッピーでございます。いつも妹のディスティニーがご迷惑をおかけしています。」


ハッピーちゃんはアリスに礼儀正しく自己紹介する。


「ご丁寧に。こちらこそ、お世話になります。」


アリスも恐縮して、深々とお辞儀をする。


「キャハハハハハハ!」


その光景がマリモには面白かったのか、バカうけした。


「ところで、ハッピーちゃんは何しに人間界にやって来たの?」


アリスがハッピーちゃんに聞く。


「実は・・・人間界に生き別れた妹がいるという情報がありまして、もしかしたらディスティニーのところに寄ってないかと思いまして。」


ハッピーちゃんには生き別れた妹がいるらしい。


「妹さんと生き別れに!? なんてかわいそうなお話!? 妹さんの名前はなんていうの?」


アリスは思わずジーンっと心配で心が染み入る。


「妹の名前は・・・アンハッピネスでございます。」


ハッピーちゃんは答える。


「焦げたハンバーグかい!?」


アリスは変な妖精のぬいぐるみのアンハッピネスに学校で出会っている。


「そうなんです。妹は不幸の女神なので、焦げたハンバーグとか、ネタの乗っていない酢飯とか、少し不幸な物が大好きなんです。」


ハッピーちゃんは妹のアンハッピネスちゃんの好みを良く知っている。


「でしょうね・・・。」


アリスは学食でアンハッピネスちゃんを見てきたので、不幸が大好きなアンハッピネスちゃんのことがよく分かる。


「もしや!? あなたは妹の居場所を知っているのですか!?」


幸福の女神のハッピーちゃんはアリスに聞く。


「学校で見ました。」


アリスは素直に見たままを言う。


「ディスティニー、学校へ行きますよ!」


ハッピーちゃんは妹のアンハッピネスちゃんを探すために、学校に行くというのだ。


「はい、お姉ちゃん。」


ディスティニーちゃんも学校に行く気だ。


「私も行く。」


マリーアントワネット・萌子も学校にいくらしい。


「いってらっしゃい。」


アリスは、みんなでて行ってくれるので、家でゆっくりしようと思った。


「アリス、あなたも行くのですよ。」


ディスティニーちゃんはアリスも連れて行く気である。


「え!? どうして私が!?」


アリスは今、学校から帰って来たばかりで、なぜ、また学校に行かなければ行けないと思った。


「アリスしか、学校への行き方を知りません。」


ディスティニーちゃんは学校への行き方を知らなかった。


「そんな!?」


学校から帰って来たばかりのアリスの、再び学校行きが決まった。


「私があなたを幸せな気持ちにしてあげましょう。ハッピーになあれ!」


幸福の女神のハッピーちゃんは女神の力を使い、不貞腐れているアリスの心を幸せに変えていく。


「行きましょう! 学校へ!」


アリスは、なんだか幸せな気持ちになった。これが幸福の女神のハッピーちゃんの女神の力である。


「おお!」


全員は一致団結して、学校に向かうことになった。



アリスたちは学校に向かっている。


「でも学校には悪魔がたくさんいるのよ。」


アリスは学校に行きたくないが、なぜか顔は幸せそうな笑顔で笑っている。これも幸福の女神のハッピーちゃんの女神の力である。


「その時は、アリスが運命の騎士ディスティニーナイトに変身して、戦うです。」


運命の女神ディスティニーちゃんは、そのための運命の騎士ディスティニーナイトだという。


「やっぱり私が戦うことになるのね。」


アリスは戦いたくないのか、笑顔が引きつっている。


「その点はご安心ください。」


幸福の女神のハッピーちゃんがアリスは戦わなくても良いと言う。


「私には親衛隊がいますから。」


ハッピーちゃんには天界の親衛隊がいるらしい。


「みんなハッピーでございます。ホッホッホッー!」


ハッピーちゃんは幸福をもたらす女神だ。


「あ!? お父さんだ!」


歩いているとアリスの兄で、マリーアントワネット・萌子の父親のアーサーが下を向きながら暗い顔で帰って来た。


「マリーアントワネット・萌子とアリスと変な妖精のぬいぐるみが2体。あれ? 1っ体増えてる!?」


アーサーにもハッピーちゃんが変な妖精のぬいぐるみに見える。


「いつも妹のディスティニーがお世話になっています。姉のハッピーでございます。」


幸福の女神のハッピーちゃんは礼儀正しかった。


「お兄ちゃん、暗い顔してどうしたの? また就職が決まらなかったの?」


妹のアリスは、兄のアーサーの就職活動がうまくいっていないと察する。


「うむ・・・。なかなか決まらないんだ。」


兄アーサーは10年の引きこもりダメ人間生活から、運命の騎士ディスティニーナイトの妹の力で抜け出し、妻と娘のために就職活動しているが、就職活動は難航していた。


「お父さん、がんばって!」


娘のマリーアントワネット・萌子が父アーサーを応援する。


「おお! と言いたいところだけど・・・。」


父アーサーの就職活動は、上手く進まなかった。


「私が運命を変えるしかない!」


妹アリスは兄アーサーのために、運命の騎士ディスティニーナイトになって、兄の人生を変えようと思った。


「ここは私がなんとかしましょう。」


アリスの出番を幸福の女神のハッピーちゃんが奪う。


「ハッピーになあれ!」


幸運の女神ハッピーちゃんは女神の力を使った。特に見た目には何の変化もない。しかし、兄アーサーには幸福が訪れるのだった。


「家に帰ったら、ポストを見ると良いでしょう。きっと良いことが起こり幸せになれます。」


ちなみに幸福の女神のハッピーちゃんと宝くじを買いに行けば、1等7億円が当たると言われている。


「あ、ありがとうございます。」


そういうと兄アーサーは帰って行った。


「私の出番が!?」


アリスだけは自分の出番が奪われて吠えていた。


「ハッピーでございます。」


幸福の女神のハッピーちゃんはご機嫌そうだった。


「あ、あれ学校でしょう!?」


マリーアントワネット・萌子がアリスの通う通称、秋葉原高校を見つけた。


「そうよ。」


アリスはマリーアントワネット・萌子に答える。


「わ~い~!」


マリーアントワネット・萌子は学校を見つけたので、嬉しくなって走って学校を目指し始めた。


「走ったら危ないわよ!?」


アリスが注意するが、マリーアントワネット・萌子は走り出したら止まらなかった。


「1番乗り!」


マリーアントワネット・萌子は校門の中に入った。


「きゃあ!?」


校門の中からマリーアントワネット・萌子の叫び声が聞こえる。


「マリモ!?」


姿が見えないがアリスはマリーアントワネット・萌子に何かがあったのかと心配する。


「行ってみるです!」

「おお!」


運命の女神ディスティニーちゃんが言うと、アリスたちは校門に駆けて行った。


「これは!?」


アリスたちが校門の中に駆けこむ。


「こんにちわだ。」


校門の中では、不幸の女神アンハッピネスちゃんと配下の悪魔たちが長縄跳びをしていた。


「アリス!?」


傲慢のルシファーもアンハッピネス様の命令には逆らえないので、長縄跳びに参加している。


「ぷっぷっぷ。あなたが長縄跳びをしているとは。」


アリスは噴き出して笑いそうなのを抑えている。


「アリスおばさんも跳びなさいよ。」


マリーアントワネット・萌子はアリスも長縄跳びをするように勧める。


「アリスおばさん!? おばさんって言われているのか!?」


傲慢のルシファーは高飛車なアリスがおばさんと呼ばれているのが面白かった。


「おばさんって言うな!? 私は女子高生だぞ!?」


アリスはおばさんと言われて、ルシファーに笑われるので、マリーアントワネット・萌子に怒る。


「早く入るのだ。」


不幸の女神アンハッピネスちゃんは、背中の羽で飛んでいるので長縄跳びをしても絶対に引っかかることはない。軽いチート行為だった。


「分かったわよ。跳べばいいんでしょう。」


アリスは開店している長縄跳びに飛び込んで飛び始める。


「アンハッピネス!?」


その時だった。幸運の女神ハッピーちゃんが妹のアンハッピネスちゃんを見つけた。


「お姉ちゃん!?」


不幸の女神アンハッピネスちゃんも姉のハッピーちゃんを見つけた。


「姉妹の感動の再会です。うるうる。」


運命の女神ディスティニーちゃんも、思わずもらい泣きする。


「あんたの姉妹だろ?」


アリスは泣いているディスティニーちゃんにつっこむ。


「アンハッピネス、一緒にお家に帰りましょう。」


幸福の女神のハッピーちゃんは妹を家に連れて帰るつもりだ。


「嫌よ! 私は家には帰らないのだ!」


不幸の女神アンハッピネスちゃんは、姉のハッピーちゃんに反抗する。


「どうしてなの!? 姉妹で仲良く暮らしましょうよ!」


幸福の女神のハッピーちゃんは、3姉妹で仲良く暮らしたい。


「分からないの? お姉ちゃん。」


不幸の女神アンハッピネスちゃんは言葉を溜め込み沈黙する。


「お姉ちゃんと一緒にいると、私がもっと不幸になるからよ!!!」


不幸の女神アンハッピネス様は、一緒に居ると幸せを全て、姉のハッピーに持っていかれるからだった。


「私は、ハッピーでございます。」


妹の必死の叫びも、姉のハッピーちゃんには相手にもされなかった。それもそのはず、妹が不幸を引き受けてくれるということは、さらに姉のハッピーちゃんは幸せの女神としての地位を高めることができるのだった。


「嫌よ! お姉ちゃん幸せのために、これ以上、不幸になるのは嫌!」


不幸の女神アンハッピネスちゃんは、ただでさえ不幸が集まる体質なのに、幸福の女神のハッピーちゃんの側にいると、もっと不幸になってしまうのだ。


「ディスティニー、あなたからもアンハッピネスに言ってあげなさい。」

「はい。ハッピーお姉ちゃん。」


ハッピーちゃんは、妹のディスティニーちゃんに言う。


「アンハッピネスお姉ちゃん、一緒にお家に帰ろう。」


運命の女神ディスティニーちゃんは、姉のアンハッピネスちゃんに呼びかける。


「嫌だと言っているのだ!」


不幸の女神アンハッピネス様の怒号で、長縄を回していた悪魔の手が止まる。


「うわあ!?」

「ギャア!?」


長縄跳びをしていたアリスとマリーアントワネット・萌子は、いきなり止まった縄にぶつかり痛い思いをする。


「みんな、私を守りなさい!」


不幸の女神アンハッピネス様は配下の悪魔たちに命令する。


「はい、我らが女神よ。」


アンハッピネス様を8体の悪魔が取り囲む。


「アリスは目を回して倒れてるし、ハッピーお姉ちゃんどうしよう!?」


運命の騎士ディスティニーナイトのアリスは、大切な時には役に立たなかった。


「大丈夫。私には親衛隊がいるから、ハッピーでございます。」


幸福の女神のハッピーちゃんは、ピンチにも幸運で乗り切る。


「お呼びでしょうか? ハッピー様。」


その時、天から眩い光が地上に舞い降りる。現れた4人組は、頭に輪っか、背中に羽を生やしていた。


「私の親衛隊は、天使でございます。」


幸福の女神のハッピーちゃんは配下の天使たちを呼び寄せたのだった。


つづく。

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