第17話 学校に変な妖精のぬいぐるみ現れる!?
秋葉原アリスは16才の高校生。彼女は運命の女神ディスティニーちゃんと出会い、命を助けてもらう代わりに運命の騎士ディスティニーナイトとなることになった。アリスは今日も不幸な運命と戦うのであった。
第11話。
アリスの学校生活は不幸な運命との戦いばかりだった。学校中の生徒と戦い、新任教師、傲慢のルシファー先生とも戦わなければいけなかった。しかし、アリスの敵は生徒と先生だけではなかった。
ここはアリスの通う秋葉原高校の授業中。
「ねえ、マモン。」
「なんだ? ベルゼブブ。」
「俺たち悪魔だよね?」
「そうだ。それがなにか?」
「これでいいのかな?」
「私は儲かればいい。おまえも食べれればいいだろう。」
「そうだね。」
ここはアリスの通う秋葉原高校の焼きそばパンを売っている購買部。悪魔の強欲のマモンと暴食のベルゼブブがいる。
「おいしい焼きそばパンがいっぱい!」
「おまえ、それは売り物だから食べるなよ!」
「ええ!? そんな!?」
「おまえの分は別に取ってあるから安心しろ。」
「やったー! さすがマモン。」
「高校の購買部がこんなに儲かるとは思わなかったぜ! 高校で独占的に商売ができる! なんという強みだ!」
説明すると、強欲のマモンは購買部の悪魔になっていた。アリスの通う秋葉原高校の購買部でお金儲けをしていた。一方、暴食のベルゼブブは学食で料理人として働いていた。食べるのが好きなので料理も上手だった。
「購買部は私のものだ!」
「焼きそばパンは僕のものだ!」
「ワッハッハー!」
知らない間に悪魔はアリスの高校に忍び込み、いつの間にか購買部と食堂を制圧していた。
ここはアリスの教室。キーンコーンカーンコーンっと午前中の授業を終えるチャイムの音が聞こえる。
「それでは授業を終える。アリス、号令。」
「どうして私ばかり!? 悪魔の分際で!?」
「黙れ! 俺は先生だぞ! おまえの成績は俺の気持ち一つで煙突が並ぶぞ!」
「卑怯な!? あとで体育館裏に来い! 悪魔祓いしてくれるわ!」
アリスはもちろん女子高生だが、いつの間にか学校の先生に悪魔の傲慢のルシファーがやって来た。これもルシファーがアリスで遊ぶためだった。
「いいのか? 早く号令をしないと、焼きそばパンが売り切れるぞ?」
「しまった!? 焼きそばパン!?」
アリスはドーナツだけでなく、焼きそばパンも好物だった。
「起立礼着席。」
アリス1人が早口言葉でさっさと号令を済ませる。周りの生徒は誰も号令についてきていない。
「待ってて! 私の焼きそばパン!」
アリスは一目散に焼きそばパンを目掛けて駆けていく。
「フッ、甘いな、アリス。既に購買部と食堂には悪魔がいるんだぜ。」
傲慢のルシファーは先生ライフを十分に楽しんでいた。ルシファー先生は不敵な微笑みを見せる。
そして焼きそばパンを売っている購買部前。隣に食堂もある。
「ああ!? 購買に焼きそばパンを狙う亡者の群れが!?」
購買にはお昼ごはんのパンを買いに来た生徒でごった返していた。
「運命の騎士! ディスティニーナイトよ!」
その時、学生食堂の方からアリスを呼ぶ声がする。
「誰だ!?」
アリスは声のした方を振り向く。
「僕は暴食のベルゼブブ!」
暴食のベルゼブブは、あまりの食欲のため、食堂のおばちゃんと化していた。
「ルシファーの仲間ね!?」
アリスは、暴食のベルゼブブを傲慢のルシファーの仲間だと理解した。アリスはいつ戦闘になってもいいように身構える。
「僕の昼食はやらないぞ!」
暴食のベルゼブブは焼きそばの入った鍋を抱きかかえながら、アリスに言い放つが説得力がなかった。
「・・・放置していきましょう。」
アリスは暴食のベルゼブブに呆れた。改めて購買部の焼きそばパンを目指すのだった。
「クソ!? 出遅れた!?」
アリスは暴食のベルゼブブの足止め作戦に、まんまと引っかかってしまったのだった。生徒はたくさんいるのに、焼きそばパンは完売寸前。
「このままでは私は焼きそばパンを食べることができない!?」
アリスは焼きそばパンを失うという恐怖を感じる。
「こうなったら・・・アリス・ディスティニーナイト!」
アリスは運命の騎士ディスティニーナイトに変身する。
「私は私の運命を変えてみせる!」
アリスは焼きそばパンを手に入れるためなら手段を選ばない。
「トウ! どけ! どけ! どけ!」
運命の騎士ディスティニーナイトになったアリスの姿は生徒には見えない。ということでアリスは焼きそばパンに群がる生徒を押し倒し、生徒の頭を足で踏んで、焼きそばパンが買える最前列にたどり着く。
「やったー! 焼きそばパン!」
アリスは焼きそばパンを掴んだ。アリスは大好きな焼きそばパンを手に入れることに成功したのだった。
「そおっと、そおっと。」
そして運命の騎士ディスティニーナイトは生徒には見えないことをいいことに、アリスはお金を払わずに去ろうとした。
「お客さん、焼きそばパンは200円ですよ。」
購買のおばさんが万引き犯のアリスに声をかけてきた。
「ドキ!? 私の姿が見えるの!?」
アリスは自分の姿が見えないと思っていたので、声をかけられて驚く。
「私の名前は強欲のマモン。」
購買のおばさんは悪魔の強欲のマモンだったのだ。
「おばさん、悪魔だったの!?」
アリスは教師、学食だけでなく購買にもいたことにビックリする。
「おばさんじゃない!? お姉さんとお呼び!」
強欲のマモンはおばさん扱いされたことに激怒する。
「すいません。200円払うから許してください。」
アリスは反省しながら焼きそばパン代をマモンに支払った。
「よし! 許してあげよう。」
強欲のマモンは快くアリスの非行を許した。
「いいの?」
アリスは半信半疑でマモンに聞き直す。
「私はお金が儲かれば、それでいいのだ! ワッハッハー!」
強欲のマモン。もちろんお金が大好きな強欲な奴だった。
「悪魔にも、いろいろな人がいるのね。」
アリスは強欲のマモンが、お金の話に目がくらんでいる間に購買から去って行った。
「おいしい! 焼きそばパン!」
アリスは焼きそばパンを食堂で座って口いっぱいに頬張って食べている。
「俺にも食わせろ!」
「これは僕のだ!」
学食の厨房から言い争う声が聞こえてくる。
「何かしら?」
アリスは焼きそばパンを食べ終わり、厨房を覗いて見る。
「俺は授業で忙しいんだ。焼きそばパンの残りの焼きそばくらい食べさせろ!」
「この焼きそばは僕が食べるために多めに作ったんだ! おまえに食べさせる分はない!」
厨房で言い争っていたのは、傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブだった。
「なんですって!? 焼きそばパンの焼きそば!?」
アリスは悪魔に興味はなく、あくまでも焼きそばパンの焼きそばに興味があった。
「俺にも食わせろ!」
「おまえにはそば1本も食べさせないぞ!」
傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブは禍々しい悪魔らしい闇のオーラを放ちながら睨み合っている。
「その勝負、私が見届けるわ!」
アリスは悪魔の戦いを後見するという。
「アリス!?」
傲慢のルシファーはアリスの登場に驚く。
「はい、ベルゼブブさん、憎ったらっしいルシファーと戦うんなら、焼きそばの入った鍋は邪魔よね。私が持っていてあげよう。」
アリスは親切に焼きそばの入った鍋を持ってあげようと言う。
「そう。よろしく。」
暴食のベルゼブブは焼きそばの入った鍋をアリスに渡す。
「やきそば鍋は私に任せて!」
アリスは焼きそばパンの焼きそばの入った鍋を手に入れた。
「殺してやるぞ! ベルゼブブ!」
傲慢のルシファーは空腹で怒り狂っていた。
「おまえこそ! 僕の焼きそばを狙ったことを後悔させてやる!」
暴食のベルゼブブの食べ物の恨みも怖かった。
「ファイト!」
アリスが戦いの合図を送る。
「くらえ! 傲慢のアンハッピネス!」
「まき散らす! 暴食のアンハッピネス!」
傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブの戦いが始まった。悪魔同士の戦いは壮絶な闇のオーラの打ち合いになった。
「いただきます!」
悪魔同士の戦いの隙に、アリスは焼きそばを食べ始めた。
「おいしい! やっぱり、焼きそばパンの焼きそばね。」
アリスは焼きそばをおいしそうに食べている。もちろん、その間も傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブは戦いを繰り広げている。
「プハー! おいしかった。」
アリスは鍋一杯の焼きそばを食べ尽くした。アリスはお腹一杯になり満足そうだった。
「あ、あ、アリス!?」
「ああ!? 僕の焼きそばが!?」
傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブがアリスが焼きそばを食べたことに気がついた。
「おいしかったわよ、焼きそば。」
アリスはニッコリと悪魔に微笑みかける。
「許さんぞ! アリス!」
「食い物の恨みは怖いんだぞ!」
傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブは一時和解して、アリスを襲おうとする。
「きゃあ!? ごめんなさい!? だっておいしかったんだもん!? 許して!?」
アリスは悪魔2人に恐怖を感じ謝る。
「誰が許すか! 俺は謝罪を断るのも傲慢でな!」
「僕の焼きそば! 返せ!」
しかしアリスの謝罪は悪魔には届かなかった。アリスの焼きそばを食べたという罪は、傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブには許せなかったので襲い掛かろうとする。
「ギャア!? 殺される!?」
運命の騎士ディスティニーナイトのアリスは絶体絶命のピンチを迎える。
「やめるのだ!」
その時、アリスの後方から女性の声が聞こえる。
「なに?」
アリスは後ろを振り返る。
「アンハッピネス様!?」
傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブは驚く。嬉しいのではなく、どちらかというと驚愕している。
「こんにちわ。みんな。」
不幸の女神アンハッピネス様の登場である。
「おまえたち、アンハッピネス様の前で争い事を起こすなら、この私が相手をする。」
そして、アンハッピネス様の護衛、憤怒のサタンも一緒に現れた。
「誰もケンカなんかしてないぞ!? なあ!? ベルゼブブ!?」
「そうそう!? みんなの昼食を作ろうと思っていた所です!?」
傲慢のルシファーと暴食のベルゼブブは、不幸の女神アンハッピネスちゃんと憤怒のサタンの登場に焼きそばを巡る争いに終止符を打った。
「なんなの!? 私にはディスティニーちゃん同様、変な妖精のぬいぐるみにしか見えないんですけど!?」
アリスだけは現在の状況が分かっていなかった。
「あの方は、我々の主、不幸の女神アンハッピネス様だ。」
そこに購買部の強欲のマモンが現れる。
「マモン!? 購買の仕事はもういいの?」
「もう全て焼きそばパンは売り切ったさ! 儲かったぜ!」
強欲のマモンはお金儲け第一主義である。
「不幸の女神アンハッピネス様?」
アリスは強欲のマモンに聞き直す。
「運命の女神ディスティニー様のお姉さんだ。あと天界にハッピーちゃんという幸せの女神もいらっしゃる。ハッピー、ディスティニー、アンハッピネスの3姉妹の女神である。」
強欲のマモンはアリスに説明する。今頃アリスの家で掃除をしているであろうディスティニーちゃんは3姉妹の末っ子であった。4姉妹にする時は、隠し子設定になる。
「そして、隣にいるのが憤怒のサタン。」
「どうして、あの傲慢のルシファーがビビっているの?」
アリスから見て、憤怒のサタンにルシファーがビビっているように見えた。
「それは憤怒のサタンが我々よりも一段階上の強さだからだよ。」
憤怒のサタンは進化、覚醒、クラスチェンジなのかは分からないが、他の悪魔より強いということになっている。アンハッピネス様のお力ということにしておこう。
「だから憤怒のサタンを絶対に怒らしてはいけない。止めれる悪魔がいないからだ。」
それだけに憤怒のサタンに傲慢のルシファーを始め、他の悪魔たちはビビっているのである。
「そうなんだ。あんたたち悪魔も大変ね。」
アリスは強欲のマモンに同情する。
「そうなんだ、サタンやルシファーが壊した建物の修理代、アスモデウスが泣かした女性に対する慰謝料、全て私が払うんだから!」
強欲のマモン、なんて悲しい役回りだ。
「アンハッピネス様、今日は何を食べられますか?」
暴食のベルゼブブは学食の料理人として、不幸の女神アンハッピネス様のランチを作ろうと思い、オーダーを聞く。
「私は・・・焦げたハンバーグ!」
不幸の女神アンハッピネスちゃんは、不幸なものしか頼めなかった。
(不幸だ!?)
その場にいた全員が不幸の女神アンハッピネスちゃんに同情した。
「なんて不幸なの!?」
アリスもアンハッピネスちゃんに涙した。
「アンハッピネス様、お待たせしました。焦げたハンバーグです。」
暴食のベルゼブブが焦げたハンバーグを運んできた。
「ありがとう。ベルゼブブ。」
アンハッピネスちゃんは礼儀正しく、暴食のベルゼブブに感謝する。
「それではいただきます。」
不幸の女神アンハッピネスちゃんは焦げたハンバーグをフォークとナイフで食べようとする。
「見るな!? 見てはいけない!?」
真っ黒に焦げたハンバーグを口に入れようとする不幸の女神アンハッピネス様の姿が悲しすぎて、悪魔たちは見ることができなかった。
「・・・。」
憤怒のサタンも言葉を飲み込んだ。
「ちょっと待った!」
その時、運命の騎士ディスティニーナイトのアリスが大声をあげて、焦げたハンバーグを食べようとする不幸の女神アンハッピネスちゃんの手を止める。
「おかしいでしょ!? そんな真っ黒なハンバーグを食べてるのって!? 体に悪いわよ!?」
アリスは不幸の女神アンハッピネスちゃんが不幸に焦げたハンバーグを食べることに意義を唱えた。
「あんたたちの主でしょ!? 悪魔なんだからなんとかしなさいよ!?」
アリスは悪魔たちに、子供に焦げたハンバーグを食べさせていいのかと訴えかけた。
「そんなことを言われても、俺たちに何ができるというんだ!?」
傲慢のルシファーはアリスに言い返した。
「見損なったわ! ルシファー! あなたの傲慢は、そんなものだったの!?」
アリスは傲慢のルシファーの傲慢さがしょぽかったことにガッカリする。
「いいわ! 私が運命を変えてみせるわ! くらえ! ディスティニー・ブレイク!」
アリスの運命を変える必殺技ディスティニー・ブレイクが焦げたハンバーグに命中する。ハンバーグの焦げた部分をきれいに切り落とした。
「おお!?」
悪魔たちはアリスの剣技に歓声をあげる。
「はい、アンハッピネスちゃん。おいしいハンバーグよ。」
アリスはアンハッピネスちゃんに優しく微笑む。
「うるうる。」
不幸の女神アンハッピネスちゃんは、アリスのおかげで真っ黒な焦げたハンバーグを食べなくていいので、おそらく感動して泣いている。
「よかったね。アンハッピネスちゃん。」
アリスは不幸の女神アンハッピネスちゃんに優しく微笑む。
「・・・焦げが食べたかった。」
不幸の女神アンハッピネスはボソッと呟いた。
「え?」
アリスは何が怒ったのか理解できない。
「お焦げが食べたかった。」
なんと不幸の女神アンハッピネスは、不幸を背負っているので、ハンバーグの真っ黒な焦げが大好きだったのだ。
(おこげが好きだったのか!?)
さすがの悪魔たちもアンハッピネス様が焦げたハンバーグを食べるのは心が痛かった。しかし、アンハッピネス様は不幸の女神らしく、焦げが好物だったのだ。ルシファーたち悪魔もさすがに驚いた。
「それではどうも失礼しました!? ごめんなさい!?」
アリスは慌てて走って逃げ去った。アリスも、まさかアンハッピネスちゃんが焦げたハンバーグが好きだったとは思いもしなかった。
「うん、焦げなしも焦げなしでおいしいのだ。」
不幸の女神アンハッピネスが焦げなしハンバーグを食べている。アリスに追手が向かわなかったのは、焦げなしハンバーグも意外においしかったらしい。
つづく。
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