第11話 『登場人物整理・短編:すごろく』
登場人物の整理話です。 に付け加えてお知らせです。
最後に短編もくっつけました。
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今は前世の記憶を持ったまま生まれ変わった小心者の桃原彩華。
前世では病弱だったが、今は健康体なため毎日を充実した気持ちで過ごしている。 兄弟たちのせい? なのか同学年の子たちから避けられるのが日頃の悩み。 本人は、ただ平凡に過ごしたいと願っている。
・桃原
なぜだか女子にモテる。 ファンクラブまであるらしい。
・桃原
『ラブデイズ』の人気キャラクター。
・桃原
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女子力高めで男子にも女子にも人気がある。
『ラブデイズ』では桃華の下っ端から主人公の親友にと下剋上するキャラクターだったが今のところその兆候は見られない。
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連華と同い年で白石鳥高校中等部に通っている。
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諸事情のため、五月・六月の間は不定期投稿とさせていただきます。
***
風華の誕生日 五月十九日の出来事だ。
帰ってくることのできないお父さんが送って来たプレゼントを前にして風華が嫌そうに顔を顰めて睨めっこしていた。
それもそのはず。 なにせ、去年の誕生日に届いたのは十キロのダンベル。 その前は、本格的な水着。 更に前はバスケットボールだったからだ。
絶対に風華の使わないような物を押し付けてくるのが
誕生日に送られてきた今までの品は全てお兄ちゃん行きとなっている。
私たちはそんな風華の背中を見守りながら緊張に息を潜めていた。
風華がついにプレゼントのリボンに手をかけた。
スポーツの中継をしているような気分になったのでアナウンス風にお届けしよう。
風華選手、プレゼントの紐を慎重にほどいていく。
おっと、中身がちらりと見えました。
なにやらカラフルな色をしている!
まさか、全身カラフルタイツとかじゃないだろうな。
そんな物はプレゼントじゃない。 ただの嫌がらせだ。
……実況に戻ろう。
紙を丁寧に破っていきます。
文字が書かれているようだ、『すごろくゲーム』?
お父さんにしては珍しくまともな物が入っていた!
「すごろくゲームってサイコロ回してやる、あれか」
「いや、ただのすごろくじゃないらしいよ」
お兄ちゃんの言葉を風華がつなげて、すごろくゲームの箱をこちらに魅せてきた。
ん? すごろくゲームの前になんか書いてある。
『スポーツ罰ゲームつき、すごろくゲーム』
あー、なるほどぉ。 納得した。
すごーく納得した。
「お父さん、期待を裏切らないね」
「元から期待なんてしてないよ」
「ハッ」
私の言葉に肩を竦めた風華を見て雪華が鼻を鳴らした。
風華が雪華を睨みつけて言い争いに発展しそうだったのをお兄ちゃんが咳払いするだけで止める。 お兄ちゃん恐るべし。
「せっかく父さんが送ってくれたんだし、一回ぐらいはやってみようぜ」
というお兄ちゃんの鶴の一声であっという間にすごろくゲームをすることが決まった。
すごろくのルールは普通で振ったサイコロの出た目だけ進む。
ここまでは、まだシンプルでいい。
じゃんけんで勝った人から好きな色の人型を選んでスタートしていく。
一番手は雪華、二番手が私、三番手が風華、四番手がお兄ちゃんという順番になった。
「よし、三ね!」
雪華がスタートから三マス駒を進める。
選んだ駒は予想通りの桃色。 流石は、桃華二号。
「このマスに止まった人は腹筋三十回だって」
だめだ、やっぱり普通のすごろくじゃない。
あからさまに落胆した風華を励ますように肩に手を置くと、即座に振り払われた。 昔から本当に変わんないな!
「一、二、三……」
お兄ちゃんに足を押さえられて雪華が腹筋を始めた。
私もサイコロを振る。 出た目は五だった。
「このマスに止まった人はワンと鳴いて一周回れ?」
おかしくない? 私だけ、おかしくない?
スポーツ罰ゲームって書いてあったじゃん!
仕方なく「ワン」と鳴いて一回りしたら風華が肩を震わせて笑っていた。
こいつっ!!!
風華のサイコロは六。
「このマスに止まった人は腕立て五百回!?」
どんまい。 風華の肩に手を置いた。 即座に払われた。
腕立てをヒイヒイ言いながら始めた風華を放置して、雪華のアシスタントが終わったお兄ちゃんがサイコロを振る。
「一か、バク転しろってかなり無茶ぶりじゃねえか」
耳を疑うような言葉が横切った。
バク転? ここで?
しかし、お兄ちゃんはなんなく華麗なバク転を決めた。
私たち兄弟のお兄ちゃんへの信仰がさらに高まった。
やっぱり、お兄ちゃんかっこいいね。
それからあとはマラソンを強制させられて風華が三キロ走ってヘトヘトになって帰ってきたり、雪華が逆立ちしたり、お兄ちゃんがバスケボールを指に乗せてクルクル回したりと色々なお題が出た。
私だけ、ぬいぐるみと一緒に写真撮影だの、お菓子の買い出しに行ってこいだの、顔に墨を塗りたくれだのふざけたお題だったのには文句を言いたくなったし風華にも雪華にも笑われたけどね!
そして、やっと、とうとうゴール。
「お、終わった」
「お疲れ様」
終わるころには私以外、みんな汗だくで風華なんか気絶寸前だった。
お父さんからのプレゼントなんて碌な物じゃない。
改めてそう思いましたとも。 ええ。
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