第11話 『登場人物整理・短編:すごろく』

 登場人物の整理話です。 に付け加えてお知らせです。

最後に短編もくっつけました。


桃原ももはら彩華あやか…『ラブデイズ』の悪役ぶりっ子。自称・桃華。

今は前世の記憶を持ったまま生まれ変わった小心者の桃原彩華。

前世では病弱だったが、今は健康体なため毎日を充実した気持ちで過ごしている。 兄弟たちのせい? なのか同学年の子たちから避けられるのが日頃の悩み。 本人は、ただ平凡に過ごしたいと願っている。




・桃原風華ふうか…彩華の弟で芸術の才能に優れている。 キレッキレの毒舌で度々、妹の雪華と言い争いになる。 お兄ちゃんのことは大好き。 不本意ながらも年が近いため彩華とはい一緒にいることがいい。 ゲームセンター通いのゲーマー。 桃原家で唯一の運動音痴。 特に水泳が苦手。

なぜだか女子にモテる。 ファンクラブまであるらしい。




・桃原連華れんか…桃原家の長男。 みんな大好き頼れるお兄ちゃん。 少し荒っぽい口調なのは女みたいな名前とからかわれたことから少しだけ柄が悪くなった。 白石鳥高校中等部に通う、バスケ部のキャプテン。 厳つい顔だがホラーは無理で過保護になる一面もある。

『ラブデイズ』の人気キャラクター。



・桃原雪華ゆきか…末っ子で、甘やかされたせいか我儘な子に育ってしまった。 彩華曰く、桃華二号で幼稚園でもリーダーシップを発揮しているというしっかり者。 目つきの悪さはお兄ちゃん似で本人はその事を自慢に思っている。 無邪気で子供らしい時もあるが普段は大人ぶった口調で彩華を罵倒している。 風華に同じく重度のブラコン(お兄ちゃん限定)




矢戸葉やとは千鶴ちづる…彩華の親友で幼稚園から一緒の幼馴染。 天使のような癒し系美少女。 ピアノとお菓子作りが趣味。

女子力高めで男子にも女子にも人気がある。

『ラブデイズ』では桃華の下っ端から主人公の親友にと下剋上するキャラクターだったが今のところその兆候は見られない。




青柳あおやなぎりん…『ラブデイズ』第一弾の主人公。文化委員長を務めている不思議っ子な女の子。 青瞳の美少女。

連華と同い年で白石鳥高校中等部に通っている。



糸川いとかわ璃子りこ…白石鳥高校中等部に通う、男子バスケ部のマネージャーで連華狙いの悪役女子。 泣きぼくろが特徴。



桃原ももはら冬華とうか…高校の教師をしている桃原家の母親。 冬華の名前にちなんで兄弟全員に華がついている。



桃原ももはら太一たいち…出張が多くてあまり家にいない桃原家の父親。 運動大好き。 



 諸事情のため、五月・六月の間は不定期投稿とさせていただきます。


***


 風華の誕生日 五月十九日の出来事だ。

帰ってくることのできないお父さんが送って来たプレゼントを前にして風華が嫌そうに顔を顰めて睨めっこしていた。


 それもそのはず。 なにせ、去年の誕生日に届いたのは十キロのダンベル。 その前は、本格的な水着。 更に前はバスケットボールだったからだ。


 絶対に風華の使わないような物を押し付けてくるのがお父さんあの運動馬鹿なのだ。

誕生日に送られてきた今までの品は全てお兄ちゃん行きとなっている。


 私たちはそんな風華の背中を見守りながら緊張に息を潜めていた。


 風華がついにプレゼントのリボンに手をかけた。

スポーツの中継をしているような気分になったのでアナウンス風にお届けしよう。


 風華選手、プレゼントの紐を慎重にほどいていく。

おっと、中身がちらりと見えました。

なにやらカラフルな色をしている!


 まさか、全身カラフルタイツとかじゃないだろうな。

そんな物はプレゼントじゃない。 ただの嫌がらせだ。

……実況に戻ろう。


 紙を丁寧に破っていきます。

文字が書かれているようだ、『すごろくゲーム』?

お父さんにしては珍しくまともな物が入っていた!


「すごろくゲームってサイコロ回してやる、あれか」


「いや、ただのすごろくじゃないらしいよ」


 お兄ちゃんの言葉を風華がつなげて、すごろくゲームの箱をこちらに魅せてきた。 

ん? すごろくゲームの前になんか書いてある。


『スポーツ罰ゲームつき、すごろくゲーム』


 あー、なるほどぉ。 納得した。

すごーく納得した。


「お父さん、期待を裏切らないね」


「元から期待なんてしてないよ」


「ハッ」


 私の言葉に肩を竦めた風華を見て雪華が鼻を鳴らした。

風華が雪華を睨みつけて言い争いに発展しそうだったのをお兄ちゃんが咳払いするだけで止める。 お兄ちゃん恐るべし。


「せっかく父さんが送ってくれたんだし、一回ぐらいはやってみようぜ」


 というお兄ちゃんの鶴の一声であっという間にすごろくゲームをすることが決まった。

すごろくのルールは普通で振ったサイコロの出た目だけ進む。

ここまでは、まだシンプルでいい。


 じゃんけんで勝った人から好きな色の人型を選んでスタートしていく。

一番手は雪華、二番手が私、三番手が風華、四番手がお兄ちゃんという順番になった。


「よし、三ね!」


 雪華がスタートから三マス駒を進める。

選んだ駒は予想通りの桃色。 流石は、桃華二号。


「このマスに止まった人は腹筋三十回だって」


 だめだ、やっぱり普通のすごろくじゃない。

あからさまに落胆した風華を励ますように肩に手を置くと、即座に振り払われた。 昔から本当に変わんないな!


「一、二、三……」


 お兄ちゃんに足を押さえられて雪華が腹筋を始めた。

私もサイコロを振る。 出た目は五だった。


「このマスに止まった人はワンと鳴いて一周回れ?」


 おかしくない? 私だけ、おかしくない?

スポーツ罰ゲームって書いてあったじゃん!

仕方なく「ワン」と鳴いて一回りしたら風華が肩を震わせて笑っていた。

こいつっ!!!


 風華のサイコロは六。

「このマスに止まった人は腕立て五百回!?」

どんまい。 風華の肩に手を置いた。 即座に払われた。

 

 腕立てをヒイヒイ言いながら始めた風華を放置して、雪華のアシスタントが終わったお兄ちゃんがサイコロを振る。


「一か、バク転しろってかなり無茶ぶりじゃねえか」


 耳を疑うような言葉が横切った。

バク転? ここで?

しかし、お兄ちゃんはなんなく華麗なバク転を決めた。


 私たち兄弟のお兄ちゃんへの信仰がさらに高まった。

やっぱり、お兄ちゃんかっこいいね。


 それからあとはマラソンを強制させられて風華が三キロ走ってヘトヘトになって帰ってきたり、雪華が逆立ちしたり、お兄ちゃんがバスケボールを指に乗せてクルクル回したりと色々なお題が出た。


 私だけ、ぬいぐるみと一緒に写真撮影だの、お菓子の買い出しに行ってこいだの、顔に墨を塗りたくれだのふざけたお題だったのには文句を言いたくなったし風華にも雪華にも笑われたけどね!


 そして、やっと、とうとうゴール。

「お、終わった」

「お疲れ様」

終わるころには私以外、みんな汗だくで風華なんか気絶寸前だった。


 お父さんからのプレゼントなんて碌な物じゃない。

改めてそう思いましたとも。 ええ。

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