復活の会との戦いに備えるのよ!
私は箕輪まどか。中学生の霊能者。
霊感課の仕事で関わった白骨死体の霊視から始まった「復活の会」という団体との戦い。
クラスの副担任でもある椿直美先生や彼氏の江原耕司君、そして今や親友の綾小路さやかと共に謎の解明に挑んだ私は、その復活の会の教祖である神田原明徹に出会った。
明徹は実体こそ表さなかったが、その力が壮絶なのはよくわかった。
そんな奴を相手にして勝ち目があるのかと思ったが、自分の父親を殺されたさやかが動揺するのを優しく包み込むようにして
「心配しないで、綾小路さん。私はもっと強いわよ」
その時の椿先生は決して虚勢を張っているようには見えなかった。
何より心強いのは、江原ッチのお父さんである雅功さんが絶対の信頼を椿先生に置いているという事だ。
それはどんな多くの味方より、心強かった。
私とさやかは放課後、江原ッチの邸に行った。
「これを肌身離さずに持っていてください。明徹の不意打ちにも対応できるはずです」
江原ッチのお母さんの菜摘さんが、私達に身代わり地蔵を渡してくれた。
「できる限り単独の行動は避けるべきですが、どうしても一人になってしまった時、それがあなた達を必ず守ってくれます」
菜摘さんはまるで本当の菩薩様のような慈愛に満ちた笑顔で言ってくれた。
「はい」
私とさやかは声を揃えて返事をした。
「明徹は皆さんの命を奪うというより、その力を欲していると思われます。だからこそ、この前のG州銀行本店営業部では、顔見せ程度で引き上げたのだと思われます」
雅功さんが言った。そして私を見ると、
「今回はお兄さん達には関わらないように言ってください。警察の範疇ではない相手ですから」
「はい」
私自身は理解しているつもりでも、実際にそう言われるとゾクッとする。
「そして、さやかさん、今日からこの邸に寝泊まりしてください。お母さんにはお話をしてあります」
菜摘さんが衝撃的な事を言った。
さやかが、江原ッチの邸に寝泊まり?
それは神田原明徹の事より気になるわ。
「ありがとうございます。ですが……」
さやかも私の心の動揺を感知しているので、私をチラチラ見ている。
「大丈夫ですよ。その代わり、耕司には美輪幸治君の家に行ってもらいますので」
雅功さんが笑顔で言った。
私とさやかはホッとして顔を見合わせたが、
「そうなんだ」
妙に悲しそうな江原ッチの顔。
「江原耕司君、後でお話があります」
私は江原ッチの背後に立って言った。
「ひいい!」
江原ッチは蒼ざめていた。
全く! ちょっと前までは、さやかの事を怖がってたくせに!
最近、さやかと私が仲が良くなったから、さやかに対する認識が変わったのね。
ホントに、男って生き物は!
でも、美輪君の家じゃなくて、私の家に来て欲しかった。
きゃっ! 何て事を! 自分で自分が恥ずかしい。
「まどかって、むっつりなのね」
さやかが軽蔑の眼差しで私を見ているが、何も反論できない。ううう……。
「まどかさんもご家族を巻き込まないためにここに来てください。さやかさんと貴女を私と菜摘で守りますから」
雅功さんがそう言うと、江原ッチは驚いた顔で雅功さんを見た。
なるほど、そこまで聞かされていなかったのか。
「ありがとうございます」
私は頭を下げた。
「まどかと一緒に生活なんて、嬉しいな」
さやかが耳元で囁く。
「え?」
思わずギクッとしてしまった。
「冗談よ。この前の仕返し」
さやかはニヤリとして言った。
私は苦笑いするしかなかった。
「そして、私も一緒ですから」
そこへ椿先生が遅れて現れた。
「はい!」
私とさやかは元気よく返事をした。
江原ッチは血の涙を流しそうなくらい悲しそうだったけど。
正義は勝つのよ!
私とさやかはそれぞれ一度家に帰ってお泊まりの支度をする事になった。
さやかには雅功さんが、私には菜摘さんがついて来てくれた。
菜摘さんはそのついでに江原ッチを連れ出し、途中で美輪君の家に置いて行った。
邸に残すと、椿先生と二人きりになるからだ。
まるで狼と羊のゲームみたいな扱いを受けた江原ッチは、
「まどかりん、寂しいよお」
と言いながら、私を見送ってくれた。少しだけ可哀想な気がしてしまう優しいまどかである。
そして、我が家に初めて来てくれた菜摘さんを、兄貴とお父さんが大歓迎した。
当然の事ながら、お父さんはすぐにお母さんに叱られ、皿洗いを命じられた。
「まどか、おねしょしないでね」
お母さんが出かける間際にとんでもない事を言った。
「バカな事言わないでよ!」
私は真っ赤になって怒った。
「心配だから、俺も同行するよ」
兄貴はすでに寝袋まで用意してついて来ようとした。
椿先生がいる事を菜摘さんから聞き出し、良からぬ事を企んでいるようだ。
「お兄さんはご遠慮ください」
菜摘さんにきっぱり断わられ、兄貴は撃沈した。
こうして私は、江原邸でしばらく生活する事になった。
夕食をすませ、入浴タイム。
「お風呂が一番危険なのよ」
菜摘さんがそう言って、一緒に入ってくれた。
さやかと二人でも劣等感にまみれそうなのに、菜摘さんまで参加すると、もう地獄だ。
そう、巨乳地獄。
小松崎瑠希弥さんほどではないが、菜摘さんもでかいのだ。
さやかはまた大きくなったような気がした。
「まどか、可哀想」
地平線のような胸を見られ、さやかに涙ぐまれたので、私は本気で落ち込んだ。
お風呂を上がると、
「明日は私と一緒に入ってね、二人とも」
椿先生が言った。
椿先生も巨乳。
ある意味私は、神田原明徹と戦うより過酷な修行をしている気がした。
そして、改めて巨乳願望が強くなったまどかだった。
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