どうして君は泣いても泣いても鳴かないか

復活 : 吐いタク

どうして君は泣いても泣いても鳴かないか

「なんで泣いてるの?」


幼い僕は幼い君にこう言った。


どうして君は泣いても泣いても

鳴かないか


春だ。寒い季節は過ぎあたたくも寒くもない。みんなが好むこの季節...

そんな季節の隣に消えた彼女の話をしよう。

違う...これは俺の後悔、取り戻したい過去の話だ。


「帰ろう?」

高校2年の春だ。

「うん?あぁ」

カバンを持っていつものように二人で帰る。

「ねぇーねぇー星ってなんだか知ってる?」

学校を出た。

そして星ひとつない空を見上げて咲は言った。

「いや、わかんないなぁ」

「星はね、」

「知ってるわ」

あぁめんどくさくなってしまった。

「ん〜」

「怒るなって」

泣いてしまった...

「ごめん」

「いや、もういー」

泣き虫だった、昔から。

幼い頃から。

例としてあげるなら、鬼ごっこ事件。

幼稚園児だった咲は鬼が嫌いだった。

ももたろうの影響かな?

すでに彼女の頭には鬼=怖いだった。

そのため鬼ごっこするのも泣きながら嫌がった。

意地悪い俺とクラスのみんなはわざと鬼の仮面(自作)をかぶっては咲を驚かせた。

そのため先生が鬼ごっこだった。

そんなくだらんエピソードを振り返っているともう咲はいない。

明日、明日謝ろう。


「またケンカ?」

「いや、まぁーケンカかな」

いない、なんでいないんだ?

次の日、咲はいなかった。

「お前ら付き合ってんだろ?」

「だからケンカするんじゃねーか?」

窓から空を見上げ、昼間の空で星を探した。

「つばさ〜 一緒に帰らない?」

「こいつにはいるぜ?」

「今はいないからいーのー」

七海か、いつも咲がいない日は俺によってくる。

でも俺には大切なもんがある。

「こいつやべーよ」

「どーでもいー、ちょっと咲んとこ行ってくる。」


いない、お母さんも、電話だ。

急いで咲のうちに来たのに、お母さんまでいねーぞ。

ぷるる、ぷるる

え?


急いだよ、急いだ。

必死に走った。

隠してた。

自分のガンを...幼馴染でもしらない事実。

いつの間にか泣いていたよ。

見せない涙のはずなのに。


「ねぇ」

かすれた声咲は言う。


「星ってなに?」


「...」


「つばさ」


泣いていたんだ。咲も俺も。

その日はケンカしてから半年後。


ずっと一緒だと思ってたんだ。

ずっと泣いてずっと笑って


泣いてた君に会わなきゃよかった。


でも咲は鳴いたりしない。

強く強く生きたんだ。



「好きです」

中2の夏

「え?」

驚く咲、うるさいセミ、泣く咲


「私も好きです」

恥ずかしいわ。


でもあの好きで好きでたまらない気持ち忘れない。


忘れることができない。


「別れよう」

中3の冬

「え?」

驚く俺、降る雪、結局泣く咲


「そーかい、なんでかなんて聞かねーよ」

ケンカはしょっちゅうだった。


結局離れられないんだよな。


病室にて

寝たままかすかに聞こえたよ。

泣き声じゃない。

弱音じゃない。


「まだ生きる。まだ好きだから」


泣いた。人生でもう一滴も出ないのではと思うぐらい。


どうして君は泣いても泣いても

鳴かないか


咲は俺を俺は咲を好きだから。
























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どうして君は泣いても泣いても鳴かないか 復活 : 吐いタク @takakunaiyama

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