未来はどうして見えないのか

石井寿

未来はどうして見えないのか

若い人から

「将来自分がどうなるか、よくわからない。

漠然と、不安になることがある 」

という相談を受けたことがあります。



よくわかります。



私もそうです。


何年も前に

「平成29年にはどこにいて、

どうなっています」

という未来が分かっていたら、

どんなに気が楽だったか、と思います。



しかし、あるとき気づいたのですが、

未来がくっきり見えると、

きっと不都合が多くなると思います。



たとえば、

何月何日に雨に降られるとわかっていたら。

何月何日のランチがまずいとわかっていたら。

何月何日に上司に怒られるとわかっていたら。

いやなことになると思います。





そして、もっと深刻な話もあります。


たとえば、


何月何日に病気になることがわかっていたら。

何月何日に恋人と別れるとわかっていたら。

何月何日にケガをするとわかっていたら。

とても生きた心地はしないと思います。



つまり、未来は見えないと不安になるけど、

くっきり見えると怖くなるのです。


ですので、

見えないようになっているのだと思います。




では、どうすれば不安がなくなるのか。



私は、不安を感じたら、逆のこと、

つまり、幸せなことが今何かないか、

身近なところから感じてみるのがいい、

と思っています。


たとえば。


朝遅刻しそうだったのに、

バスにぎりぎり乗れて間に合ったとか。


長い間見つからなかった探し物が、

突然自宅の中で見つかったとか。


テレビやラジオをつけたら、

たまたま好きな曲がかかっていたとか。


昼に食堂に行ったら、

思いがけず大好きなメニューだったとか。



そういったところに

少しずつ幸せを感じられるようになると、

心に余裕が少しずつでき、

少しずつ不安が薄まるのではないか、と

私は考えています。




また、不安は、なくすことはできませんが、

薄めることは、可能なのではないか、と

思います。




それに、幸せは

シャカリキに探すものではありません。


幸せは

「今あるものから感じること」だ

と思います。




自分にないものを探せば、

数え切れません。


自分にあるものを何か、

もう一度見直してみて、

自分にあるものを大事にして、

少し前を向いていくのが一番いい、と

私は思います。


後ろを向いても、

過去は変えようがありませんので。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

未来はどうして見えないのか 石井寿 @ishiihisashi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る