第9話 生きることとは誰かのため?-Who is to live for someone?-
産まれた生命はたっただけ一度殺される。
人間として生まれた彼らに2度目の生命を与えられる
主と呼ばれている能力を与える人となり生きていく、その生命に二度目はない。
私たち契約者は主を持っていて主が死ぬと私たちも死ぬ。
主は幾つもの契約者を持ち主従関係にあった。
私たちは死んでも主は死なない、だが傷ついた魂は癒されるだろう
なぜならこの失った両目を蘇生させ、劣等感は私の力になったからである
私は北の町オルレアにつく頃だった
水平線の向こうから太陽が昇ってないほど早い朝
開けた大通りから門から入ると私たちをレンガ造りの街が迎えてくれた
街は至って静かでガランとしていた、私にとってどこか違和感を覚えていた
保護する必要性、イシュトが殺された場合何らかのデメリットが起こり得るのではないかと
「ここから東だね、おそらく。
僕聞いた話だとね」
「なぁクライヴ、この街に契約者は俺に以外にいるか?」
「いる…!ようないないような…能力を使ったらわかりやすいんだけどねぇ」
「頼れないな、どうも嫌な予感がするんだ」
私たちの歩いたはやがて広い道から猫が通れそうな細い道を抜け人通りの少ない街の裏に来た、
そこに明らかに孤立した小屋を見つけた
さびれていて確かに学者が籠って研究でもしていそうな趣のある家だった
ドアの目の前に行くと私は恐る恐るなるだけ優しくノックを二回した。
しかし数十秒、まったく家主は出てこなかった
「だめか…?」
私は小さく呟くと、嫌な思惑が頭をよぎった、危機感を感じ取った私は
扉を思いっきり体当たりして突き破る
古びて脆かったドアは粉々に砕けて、私は家に侵入した
玄関にはびっしりと文字の書かれてある紙が散らばっていて、奥へ奥へと私は扉を開けては
学者を探した
大きい間取りの部屋の扉を開けた時だった、目の前に首をえぐられた痕のある倒れた学者
イシュトを見つけた
遅かったか、と私は彼の脈を確認したがもう動いてはいなかった。
しかし、彼の手に目をやると手の先に文字が書いてあった
Circus…それは確かにサーカスと書いてあった
そして隣に獅子の絵が描かれた紙がイシュトの体の下に落ちていた。
「獅子はサンドラの紋章だ。
それとサーカスにはライオンが出てくる、道化師も…!」
私は咄嗟に感じ取った、敵対組織サンドラに弟を奪った人間が存在するのではないだろうかと
疑問もつかの間、私は後ろに迫りくる殺気を感じ取った
腰に携えた投げナイフを振り向きざまに勢いよく投げた
私は先手を打った
しかしそのダガーは後ろにいた人間の手で刃をしっかりと掴んでいた
カタリと落ちる投げナイフの音のあと、私はその顔を見た
不気味にも笑った仮面をかぶったその男に私は見覚えがあった
「お前は…手品師!
ルカを…!俺の弟をどこにやった!」
長い間込められた感情が顔を出した
奴は軽く首を傾げた、その態度に私は許すことができず心にある殺人人格が目覚めた
復讐心が、私は彼の罪に罰を与えるために脇腹から朱く光るダガーを手に持ち
彼の喉元めがけて駆け出した、刹那
道化師は反射的に私の刃をを弾き飛ばした
直後間合いを詰めたそいつは私に近づいた
殺される恐怖に私は畏怖して目を瞑った
ドスッと突き飛ばされるような衝撃の後にしたりと赤い血がぽつりぽつりと地面に染まった音がした
痛いはずだが私に痛みはない、なぜだ
思った私は目は見ひらくとそこにいたの大柄の男だった
「マティス…!」
そう、私をかばい傷を受けたマティスは血みどろで自分の前に立っていた
「なぜ私を…?」 道化師
「やはりな…その名通りクラウン!
能力も持たない貴様がなぜサンドラにいるんだ…」
マティスの威厳のある声も道化の前ではあまりに効果はない様だ
ククッとクラウンと呼ばれた道化は引いて笑った
何もしゃべらずまるで痛みを感じない心を失った人間のような彼に私は恐れを抱く
一方で驚いた、なぜなら誰かを殺す時の自分の殺人人格とよく似ているようで錯覚した
その後すぐマティスは大きくその場で体勢を崩して倒れた
まるで力を失ったような彼に勝ち目はなく、道化師はしゃがみ込みその胴を思い切り上から刺した
瞬間私の中の感情がはじけ飛んだ
居場所や力を与えてくれた彼に感じていた恩や情、思いは熱く心を溶かした
私はまた彼に奪われたのだ
涙が流れそうな瞳で私は奴を見た
黄色く光る眼光は敵の弱点を割り出す
今はただただその息の根を止めんとしていた
昔の私が持っていた劣等感を抱きながら
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