第2話 神の祝福に抱かれて

町は賑わっていてまるでパレードのように人でごった返していた。

ふと今日は日曜日なのだろうかと疑問を抱きながらも

私はカフェで朝食をまだかまだかと待ちわびていた。


「こちらがガレットとコーヒーになります」

「へぇこれは美味そうだ…!」


私は腹を空かせていたのだ

当然のようにペロリと平らげてしまった。


ざわついた客の中から声が耳に届いた

「向こうでラングスト様がライオンを生き返らせるらしいぞ!」

「さすがは神に祝福されし男だ」

町の青年たちが談笑していた


「そいつはどこにいるんだ?見てみたいもんだ」

私は身を乗り出して微笑を含みながら近づいた

なんていったってバカげたペテン師には因縁があるんだ

気になって仕方がない

                      ・・・

特にこんな大規模な都市でおおっぴらにしている契約者はカモだと思った



「向こうのコーネリア教会の広場さ!俺も枯れていた薔薇の花を蘇らせたものをもらったんだ」

「へぇ~彼女にプレゼントってわけか?じゃあ俺も花でも貰いに行こうかな」

男たちは一瞬ドキッと驚いた顔を見せたが、その後二人の男は顔を合わせて笑った



「女なのに強情なやつだ、今まで何人ものラングスト様を疑った人間は

たくさんいたが、女はあんたが初めてだよ」

私は少し気に障ったが、ここで突っかかるのも面倒だと思ったので口にはしなかった



                          ・・・

「そうだよ彼を信じられないなんて信心深くないやつだ、小さいくせに生意気な女だ」

もう一人の男が爽やかにケラケラ笑いながら指をさして言った瞬間。

ブチッ

私の心の関節が外れる音がした、火に注いだ油の如く頭にある脳の中の電気信号が

高速に行き来して破裂しそうな頭脳になった

                                   

私の右手は目に映るその瞬間の認識さえ追いつかない速さで笑いやがった男の懐に正拳突きを

かました


「うっ…」

男は体から力を引き抜かれたかのように重力にしたがって崩れ落ちた

それはバタリと倒れたが決して私は我が物顔でその場を振り返ることなく、まっすぐに歩いた

頭の中の気持ちも去って行った大波のごとし、静かに穏やかな心を取り戻した


「おっおい大丈夫か?」

男とその周りの人間は駆け寄ったがなぜ倒れたのかわかっていないようだった

それはだんだんと青白い顔となり意識もまったくといってないようだった



「神にでも祈ってな、”助けてください”ってな」

もちろん急所は外してるし、気道も狙ってないから死ぬわけないことはわかっていた

神様なんていない、まるでそう言いたげであるような言い方で私は鼻で笑い返すよう呟いた




「本当ユキって気が短いなぁ…」

石の中でうずくまるように委縮しているのもわかる言い方でクライヴは囁いた

「ははっ俺の性格よく知ってるだろ」

何もなかったかのように感じさせる笑顔でニッと笑って見せた


「なんでリトルレディって呼ばれてんだか」

クライヴはそう小さく愚痴った

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