第1話 木漏れ日とまだ見ぬ街

心地よい風と日差し、小鳥のさえずり。

朝日の木漏れ日にさらされて昼寝をしているのは黒髪短髪の小柄な少女。

見たところ10代後半で黒のレザーのジャケットと朱のマフラーに首に赤い石を首から下げていた。


「ねえユキ、この先にブルージュがあるのかなぁ?」

「朝食のガレットがおいしいって評判なんだよね!」


どこからともなく声がした。

どちらかといえば若い、子供、少年のような声だ。

自分以外見当たる人という人はいないが、私は返した。

「お前さ」

「食えないものをおいしいかどうか聞いてどうするんだよ」

そりゃ彼にだって意識ってやつはあるのだろうけれど

空腹感から来る苛立ちをぶつけずにはいられなかった

私はとても重そうに体を起こした。

腹を抑えて立つのもやっとだった。


「気になるじゃない?感覚がない人も人でしょ?」

「石の中の感覚って何よ」


石の中の彼の相手をするのも面倒だった私は答えられないような問を返す


「石の中に意思はあるってね!」


私は首にかけたペンダントの石に向かって言った。

「お前が食えるなら食ってやりたいくらいだよ、クライヴ」




「そんな強気だから周りが離れて行っちゃうんだよ」

「興味ないっての」


         ・・・・         

丘を越えた先の町に手がかりがあるのだと思うと緊張と妙な焦燥感を感じていたが

その一方でなぜが胸を高鳴らせていた

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