第618話 いつかの約束・・・

――――――――――――――プライベートホーム



 ヴァニスは洞窟城にすぐにはいかないと強く2人に説得し言い聞かせると2人は少し残念だという顔をしてお茶に口を付けケーキをモシャモシャと食べる中。

ムクロは必死に断っていたヴァニスを表情を思い返し笑みを浮かべるとヴァニスはその表情を見逃さず問い詰めていた。



「ねぇ、さっきから私を見てクスクス何を想像して笑ってるのかしら??

この高貴な私のどこを見て笑っているのか答えてくれると助かるのだけれど??」

「い、いや・・・ここに来るまでのヴァニスならきっとすぐに洞窟城を案内してみんなに見せただろうなって思ってさ。

それにファムやユキシロに断る顔が新鮮だったって言えばいいのか・・・イキイキしてたって言うか。」

「そうですね、ヴァニスの表情はご主人様方とクエストを通じ日に日に柔らかくなったと言いますか豊かになったというべきでしょうか。

最近もよく笑顔を見せるようになっておられますね。」

「うむ!!!アタイもヴァニスの笑顔は好きなのじゃ。

高貴だとか自慢をする時のドヤ顔よりも断然と好きなのじゃ。」

「私もどちらかって言うとそうかもしれない。

笑顔のヴァニスやみんなを見てると私も嬉しく思うし・・・悲しい顔とか怒った顔よりもいいものだよね。」

と、急に褒められたヴァニスは笑顔を見せればいいのか恥ずかしさで顔を隠せばいいのかと何とも表しづらい状況に顔を隠してしまい。

その状況を察したムクロたちはお茶に口を付けてヴァニスから視線を外すとミストとユリハの2人がホームにやって来ていた。



「ただいま戻ったのだが・・・ん~これはヴァニスが泣いているのか??

一体この状況はどうなっているんだ?」

「ヴァニスちゃん大丈夫??またムクロ君が何か変な事を言ったの??

それとも他に理由があるのなら話して??」

「え、あ・・・これはその・・・色々あって平気だから心配しなくていいわよ。

ほ、ほら・・・私泣いてなんかないでしょ??」

ヴァニスは2人に顔を見せると泣いていない事が明らかでホッとするもどうしてこうなったのかを問うとムクロたちに自分から伝えると言って黙らせ。

ヴァニスは2人にチャットを通じと内容を知らせると2人はクスクスと笑みをこぼしていた。



「ど、どうして2人も笑うのよ!?別に面白い話をしたわけじゃないじゃない!!

2人ならちゃんと理解して笑わずに聞いてくれると思ったのに・・・・ちょっとショックよ。」

「あ、ごめんなさい。

そんなつもりじゃなくて・・・そのね?ヴァニスちゃんがすごく真剣に書いてて変わったなぁって思ってつい笑っちゃっただけなの。

馬鹿にしたとかそう言う意味じゃないから・・・ごめんね。」

「私も謝罪をしておこう。

そうだな・・・この内容をムクロたちに色々されていたとなると二度目はさすがに辛いものだな。

だが・・・こうして書いてくれて読むとやはりムクロたちが語ったシーンが脳裏に再現されてしまってな。

本当にすまなかった・・・だが、こうしてヴァニスが楽しくグロリアをプレイできるようになって私も嬉しいことだと感じるぞ。」

「それではお2人方にもお茶をお入れいたしますのでファムとユキシロもお手伝いをお願いしてもいいですか??」

「あいさ!!任せるのじゃ!!さらにアタイは追加のおかわりなのじゃ!!」

「あ、ずるいよユキシロだけ!!!私もお替りするんだから全部取っちゃダメだからね!!」

レイは騒がしくする2人に頭を抱えながら台所へと消えていき再び顔を隠したヴァニスが落ち着くまでそっとしておこうという事になり待っているとその間にレイ達が準備を済ませて戻ると急にムクロのメールボックスに1通のメールが届いた。



「ムクロ君どうかしたの??まさかまた何か事件??」

「いや、そう言う内容のメールじゃないんだが・・・ちょっと俺は出なくちゃならなくなった。

だから今日はユリハ達だけでクエストなり好きにプレイしててくれないか??」

「のじゃ??主殿はお出かけかのぉ??もしや新しいプレイヤーと手取り足取りのプレイ講座かのぉ??主殿は隅に置けないところがあるから目を光らせておくべき・・・・のじゃ??」

「ご主人様を独占するプレイヤーの存在・・・それはなりません。

ご主人様を独占し奉仕するのはこのレイただ一人のみでございます!!」

「そうじゃなくて・・・ムクロがそう言った冗談も何も聞こえていないって言う事は何か大きなコトが起こるって言う事だよ・・・・」

「いずれにせよムクロが私たちについてこいと言わないのならばそれは気を使って言っている事なのか危険だからか・・・それともまたか。

だから私たちはムクロが口を開くまで言われた通りに待っているとしよう。

だがこれだけは言っておくぞ??危険だからと言って私たちに気を遣う事はそろそろ侮辱となりうる頃合いだからその事を意識しておくようにだ。

今回は深く問いはしないが問題があればいつでも私たちに連絡を入れるといいぞ。

何せ私はムクロを大切に願う姉なのだからな。」

ミストはそう言いながらムクロの頬に手を当てるとムクロはミストの手を握り返しひと言ありがとうと言ってからホームを出て行くのであった。



それからムクロは1人でメールに書かれた指定場所に向かいしばらく待っていると黒い影を引き連れ何かが奥からやって来ていた・・・・・



「いよいよこの時がやって来た・・・・ワレは待ちに待ち続けたぞムクロ。

ムクロが力をつけると同時にワレも真の力を上位の域に達するよう鍛錬に鍛錬を重ねやっと真なるワレに成り得た。

だからこの力をまずはムクロに見せたいと思いメールをしたが・・・まさかムクロをいつも守り囲む女を連れて来ぬとはワレの覚悟を汲み取ってくれたという事・・・まことに感謝の極みだムクロ。

で、あるからしてワレはそれ相応の力でPVPをムクロと繰り広げたいと願う。

――――――――――否定はあるまい??」

「もちろんだ、あの時の約束をここに果たそう・・・ハシャ!!!」

ムクロはハシャとの約束を再び果たすためにPVPの申請を受けると武器を抜き互いに詰め寄る事もせず動きを見る態勢になっていた。

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