第586話 耀子の勘と悪戯・・・

―――――――――――――――水族館



パンフレットを見ながらワイワイと話す2人とは別に悠一はブロッサムに何か来ていないかとメールや着信履歴を見るとサイレントにしていたためか複数の通知が来ており。

そのどれもが耀子からの連絡でありメールの内容を読むと今日の予定を聞く内容で悠一は2人にひと言トイレだと伝えて席を外し人気のない場所で耀子にメールを入れると・・・・



「やっぱり通話が来るよな・・・ハイハイ悠一だけど・・・どうかしたのか??」

「どうかしたのかじゃないよ!?私がどれだけメールと通話をしたのかわかってんの!?12回も通話したんだよ!?それをまぁ何度も何度も無視して・・・で、今日は悠一は暇なの??それともずっとグロリアをソロプレイしてるの??」

耀子はまだ由里たちと3人で水族館に来ていることを知らずに話しており。

そのことも話せばややこしくなると察した悠一は耀子に悟られないよう適当に誤魔化すことにした。



「え、いや・・・今日は1で少し外に出ていてな・・・ちょっと本屋に行ってたり・・・・あはは。」

「ん?そなの??でもおかしいなぁ~さっきまで本屋に行ってたんだけど悠一の姿が見えなかったよ??えっちな本でも見てたんでしょ~由里に言いつけてやろっかなぁ~」

話は違う意味で悪い方向に進みだし悠一は違う違うと必死にそんな場所には言ってないと語り耀子はケラケラと冗談と言って笑っていたがついに本題へと話が切り替わった。



「で、1人なんだったらさ?私と今日遊ばない??ちょっと私も1人で退屈してたんだよね。

由里も涼孤さんも誰も通話に出られないとかで返事もないしさ?

暇なんでしょ?だったらいいんじゃないの??それとも・・・何かまだ予定あったりするワケ?」

「えぇっと・・・そうだな・・・今日はこれからまた少し行くところがあって・・・えぇっと・・・そうそう!!如水さんと会う約束をしていたんだ!!

だから今日はちょっと会えそうにないかな・・・あはは。」

悠一は面倒にならなさそうな如水さんをチョイスし耀子を無理矢理引き剥がそうとしたのだが耀子は逆に食いつきなのかと問うてきた。



「いや、別に事件と言うわけでもないんだが・・・少し話しておきたいことがあってさ??

俺もソロプレイをしている身で少し見え方が違うからそう言ったところを話そうかと・・・・」

「ほんとに??もしも何かあったんだったら私たちにもキチンと話して欲しい・・・・かな。

だって、私たち仲間でしょ??だから・・・一人で抱え込んじゃだめだよ??

由里もみんなもそれは望んでないしさ?私も由里と同じように怒るよ・・・

だから大きな事が起こる前に言う事があれば言って・・・力になるから。

えぇっと・・・そんだけ!!!だからその・・・綺麗だからって如水さんに手を出しちゃだめだかんね!!!そんじゃね。」

耀子は真面目に話しつつも恥ずかしくなったのか話を変えて通話を切ると。

悠一は悠一で少しモヤモヤしたのか続けての通話ができずメールで「ありがとう」とだけ送り由里達のいる休憩所まで戻ると2人は悠一を待っていたのか戻ってきた悠一に詰め寄り何をしていたのかと問い詰めて来ていた。



「もう悠一君!!長い間帰って来なくて心配したんだからね?

またトラブルとかそう言うことじゃないんでしょ??」

「それともまた新しい展開があったとか言わないだろ??

もしもそんな事があれば本当にお説教タイムだがな・・・・」

「い、いや2人とも勘違いしないでくれ。

俺は耀からのメールと通話に気が付いてアリバイを作るために話をしてただけだ。」

むぅと2人は電源を切っていたブロッサムに電源を入れると悠一の言っていた通りに耀子からの通話が入っており悠一の言っていた事は確かであったのだが。

さらに新たなものがあり2人は耀子からの伝言通話を同時に再生した。



「ほう、悠一ぃ如水さんと会う約束をしているというのは本当なのか??

それも2人っきりの親密な密会だと耀子が言っているのだがな??」

「い、いやそれは耀子に俺のアリバイを確立させるために言ったことであって・・・由里は分かるだろ??ん?由里??」

「悠一君!!!えっちな本のコーナーに行ってたってどういうことなの!?

―――――――――――ちゃんと説明してもらうよ!!」

耀子はある事ないことを2人に残しており、悠一は2人に話の説明を理解させるのに数分間力説を重ねて理解して納得してもらうと悠一はフラフラとなっていた。



「ご、ごめんね悠一君・・・でもいきなりそんな事を聞いちゃったら誰でも驚いちゃうし・・・耀子は本当に悪戯の度が過ぎるよ。」

「全くだ・・・悠一が如水さんと話をするのは大切な事を話す以外にないと言うのに私としたことがついつい耀子の口車に乗ってしまった。

不甲斐ない姉をどうか許して欲しい。」

「2人に対して俺の疑惑と身の潔白が証明されてよかったよ。

それじゃ気を取り直して水族館の続きを見て回るか・・・・」

悠一の言葉に由里たちは頷いて行動を開始し・・・休憩所を抜けてイルカのショーを見てから海の動物のコーナーへとたどり着き。

ラッコの親子がいる水槽を眺めていた。



「うわぁ~可愛い!!!このラッコの親子すっごく可愛いよ!!

――――――――――――悠一君もそう思うでしょ!!」

「そうだな、波に揺られて気持ちいいのか気持ちよさそうな顔をしているな。」

「お、係の者からエサをもらっているな。

親の動きをマネをしてエサを食べる・・・まるで私たちがグロリアでムクロの動きを真似てるかのようだな。」

ついに涼孤もグロリアのネタを挟んでしまい、しまったと言う顔をしながら2人に次だと言って流すようにして移動すると次にやって来たところはとうとう最後のフロアで海の生き物と触れ合えるタッチプールにやって来ていた。



「へぇ~こんな生き物が海にいるんだね・・・あ、ヒトデがいるよ。」

「ほう、これがウミウシか・・・グニョグニョしていて何というかゼリーのようだな。」

「見た目的に姉さんのそれはあんまり女性は触らない生き物だと思うけど姉さんって昔から色んな生き物に強いんだよな・・・・」

と悠一がしみじみ呟くと涼孤はそっとウミウシをプールへ返し・・・悠一に何事もなかったようにと今さら感あふれる芝居を見せるも効果はなく。

何でもなれるべきではないと涼孤は少し後悔しつつヤドカリを眺めていた。

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