第516話 グランドレッドホーンビートル
―――――――――――――――中級層:大平原フィールド
ムクロの飛び出して行った方向には先ほどよりも大きく強そうな昆虫モブの飛び交っており。
ユリハ達はその黒い嵐とも言える中へ何のためらいもなく飛び込むムクロに関心を抱きつつモブに見つからないよう草に紛れて移動し。
ムクロが足を止めた地点で移動を止め観察に集中し始めた。
「さぁ、ムクロの足が止まったわ。
―――――――――きっとここで始める気ね。」
「ぬぅあ!?始めるとはまさか・・・・こんなにも大量にモブが飛び交う中心で戦闘を開始すれば全部のモブが主殿に襲い掛かるのではないか!?
それを見ていて本当にいいのじゃろうか??止めなくていいのかのぅ??」
「うんうん!!!私も戦ったからわかるけど・・・あれは相当な硬さだったよ!!
それに攻撃も中級層の中でも結構上位に入るパワータイプ・・・そんなのがウジャウジャしてるアレの近くで戦いを始めるなんて自殺行為じゃないかな?」
「だが、その戦おうとしている本人はやる気満々と言った表情だ。
よく見てみると言い・・・・ムクロの顔・・・全然動じてない顔をしている。」
「さすがご主人様にございます。
このような数の暴力にも負けないとは・・・・それほどまでにレイに苛め抜かれたと言う事でございますね。
あぁ・・・ですがその結果がここにあるご主人様と言うことなのであるのであれば私たちはこの戦いを瞬きすらしてはいけないのでしょう。
それだけの価値がこれにはあるのです。」
「私もできるだけ見て感じたい・・・・ムクロ君にもっともっと近づくために!!」
「それじゃ・・・・ユリハ達の視線が集まってるようだしさ。
俺達も始めようか・・・・って、さすがに量が多いか・・・・
―――――――えっと・・・誰から来るんだ??」
「ブオォオォォォォオォ!!!!!!」
ユリハ達の視線が集中する中、ムクロを見つめる他の視線が複数あり。
空中で浮遊する数たちの昆虫モブのうち1体がムクロに向かって突進を仕掛けるが・・・・その動きを完全に見切られていたのかムクロに羽を破壊され墜落し地面で蠢いていた。
「すっごい・・・今、空中の攻撃だけで羽を潰したよね!?
あんな芸当普通出来ないよ・・・私たちマジシャン系は特にさ?」
「いいえ、そんなことはないわ。
ムクロは武器がたまたま剣で羽を攻撃した・・・・つまりムクロの武器が何であれまずは相手の移動の大本である羽を潰し行動に制限を加える。
それはなぜか?あれだけの巨体が自分の足で高速で移動できると思う??
それはNOよ・・・・だから一番厄介な羽を潰すことによってムクロが優位に立ったのよ。
で、羽を空中で潰すとどうなるか・・・・それは見てわかる通りバランスを崩してあぁなると言うわけね。
少しだけのモーションでここまでの流れが汲めるようになれば一気に数を入れられない限りはムクロを倒すことは不可能と言うことになるわね。」
「ぬぉ!!!主殿すごいのじゃ!!!そこまでの事を考えて行動を!!!
アタイもこの戦いで色々と実践で試してみたくなったのじゃ!!!」
「だが、あの行動で他のモブもムクロに気付いてしまったようだ。
続々とムクロの方を向いているな。」
昆虫モブの1体が羽を潰されて地面でもがいている様に気付いた他のモブは誰がそのような事をしたのかを突き止めると。
それはすぐにムクロという事を認識し・・・目を赤く光らせ次から次へとムクロへ攻撃を繰り出して来ていた。
「へへッ・・・・一気に来てくれるのは有難いがコッチは1人なんだ。
だから1体ずつ丁寧に迅速でやらせてもらうぜ!!!
――――――――――ブレイブダンス!!!!」
「!!!!!」
昆虫モブの攻撃をかわしつつ羽を切り裂きつつ弱点である部位を的確に攻撃を繰り出すムクロにユリハ達はその動きを言葉も出さずに見ている事しかできず。
飛ぶことのできなくなったモブ達はムクロに向かって全身を使ったタックルを見舞うがその攻撃も想定の範囲内と軽く避け・・・・そのままトドメの一撃として剣を叩きつけると先ほどまで大量にいたモブの大半以上がムクロ1人の手によって片付けられていた。
「さぁドンドン来い!!!俺はまだまだやらないといけないらしいからな。」
「ブオオォオォォォオォ!!!!!!」
「ムクロ君の背後から!?
しかもあれって・・・ハチ???」
「あのカラーリングからしてバレットキラービーね。
速度を利用してプレイヤーに近づき毒のトゲで動けなくしてくる厄介なモブよ。
けど・・・・ムクロに通用するかしら??」
「急な不意打ちのように思えるのじゃがッ!?
うぅぅ・・・これはモブの攻撃が主殿に当たったのかどうかわからないのじゃが・・・・ぬおッ!?」
「ご主人様に不意を突くのは・・・・容易ではないと言う事がこれでわかりましたね。
まさか・・・・ダガーでトゲを受けきるとは流石にございます。」
背後からの攻撃にも臨機応変に対応するムクロに感心しつつ他にややこしそうなモブがいないか羽音の聞こえる方をクーリアたちがあちこち見ていると。
ひときわ大きなモブがこちらに迫って来ている様で・・・・
それはクーリアの驚きの声で全員が気が付くのであった。
「どうしたんだ!?クーリ・・・・なんだ・・・あの今までにない容姿の甲虫は・・・・それにあの甲虫・・・ムクロを狙って来ているというのか??」
「アレは図鑑で見たことあるよ!!
確か上級層の森に出るレアモブで強さはボスクラスで名前は確かグランドレッドホーンビートルだったけかな??」
「すごい長い名前じゃが・・・・そんなにも強敵ならばアタイたちも手を貸した方がよいのではないか??
主殿1人にこの数とボスを相手にさせるのは気が引けるのじゃ・・・・・」
「そうかしら??ムクロはこのくらいならきっとやり切るわよ。
だからさっきのユリハの状況と同じようにムクロがピンチになるまでは手を出さないで見てましょ。
これが終わればムクロの罪も帳消しという事でいいわ。」
「ムクロ君・・・・頑張って・・・・」
ユリハ達の見守る中、空中から堂々として降り立ったのは先ほどユリハが戦っていた黒甲虫よりも巨体で角といい体格も他のモブとは比べ物にならない程にたくましさを放ち威圧的な目力でムクロを凝視していた。
「こんなところでグランドレッドホーンビートルに合うなんてな。
ユリハ達には悪いがこれも1人で狩らせてもらうとするか。
それじゃ・・・いくぜッ!!!!ゼアァッ!!!!」
ホーンビートルが先に攻撃を仕掛けてくる前にムクロが飛び出し、弱点である部位の角や足を狙って攻撃をすると。
他の甲虫よりも早くムクロの行動に対応し・・・空中へ飛び出しそのままの勢いで角を武器に地面を粉砕しながら攻撃をムクロに叩きつけた―――――――――
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