第517話 ギリギリの中での勝利

―――――――――――――――中級層:大平原フィールド



 グランドレッドホーンビートルは地面から角を引き抜くと、そこにムクロがいないことに気が付くまでのスキを突かれ。

横からの鋭い一撃を角に浴びると、ホーンビートルは巨大な腕でムクロを掴み投げ飛ばした。



「グオォオォォォォォオォ!!!!!!」

「よっと・・・さすがに生きがいいのか他のモブよりもしぶとい。

いや、この場合だと強いって言った方がいいのか。

それにしても角に数発入れたがヒビ程度って・・・・逞し過ぎやしないか??おっと・・・・」

ムクロはくるりと空中で受け身を取り地面に着地して状況分析をしている最中もホーンビートルは攻撃の手は緩めておらず。

近くにある岩を掴みあげてムクロに向けて投げ飛ばしており・・・・その攻撃を避けると次は再び接近戦に移り、ムクロに巨大な角での一撃を叩きつけていた。



「うお・・・・これはさすがに重いな・・・・はは。

だが、こんな格好をいつまでもユリハ達に見せてられないし速度を上げさせてもらうかな。

――――――――――――クイックシフト!!!からのブレイブダンス!!!」

「グオオォォォオォォオオオ!!!!?」

「出たぞ!!!ムクロの速度強化からの斬撃スキル!!!

これでヤツの体力も黄色バーになった。

あとは角をへし折って一気に叩けばいけるんじゃないのか!?」

「えぇ・・・黒甲虫程度ならその流れでいけるのだけれど。

このモブはグランドレッドホーンビートルはこの黄色からがなのよ。」

「厄介とな??それはどういう意味なのじゃ??この場面から考えても・・・・

ぬぅ??どうして主殿は攻撃のチャンスであるこのタイミングに距離を取っておるのじゃ??」

「きっとムクロ君はこのモブの攻略法を知ってるからワザと優先な状況を捨ててまで距離を取ったんじゃないかな??

ムクロ君があれだけ距離を取るって言うことはそれだけすごい何かが起こるって事かな??」

「見て見て!!!みんな!!!他の昆虫モブがホーンビートルに集まって・・・・

え・・・アレって・・・共食いしてない!?」

「あの行為に置いて疑問があります。

モブはモブを倒した場合経験値たるものが手に入るのでしょうか??

その結果次第ではあのモブが狙っていること、つまり・・・・己自らの強化なのではないでしょうか??」

他の昆虫モブをガツガツと平らげるグランドレッドホーンビートルはある程度までくると昆虫モブを食すことを止め・・・・ジッと何かを待つかのようなポーズのまま見ていると体中から結晶のようなモノが飛び出して来るや。

ホーンビートルの全身をあっという間に飲み込み。

その次の瞬間・・・中から何かが出てこようとしているのか攻撃するような音が聞こえ―――――――――



「ユリハ、それにみんなも・・・戦闘がさらに激しくなるかもしれないから気を付けてくれ。

今回のホーンビートルはどうやら質が良いのかのものが生まれそうなんだ。」

「ムクロ君!!!本当に危なくなったらムクロ君の意見を聞かずに助けに来るから。

―――――――あんまり無茶をしないでね!!!」

「ユリハ!!!ムクロッちがあれだけの事を言ってるんだからもっと距離を取らないと!!!それにムクロッちならきっと大丈夫だって!!!

あんなに強いムクロッちが簡単に負けるわけないじゃん!!!だから私たちは安全なラインまで下がって観察しないと。」

「ご主人様の命令でございますので速やかに移動しましょう。

あのモブの体にヒビが入っておりますのでそろそろ飛び出してくるころ合いかと。」

「ぬおぉぉ!?なにか出て来ておるのじゃ!?早く逃げるのじゃ!!!」

「仲間を食べてパワーアップするモブなんているんだね!!!」

「そんなことはいいから早く逃げるぞ!!!」

ミストたちは昆虫モブに見つからないように被害の出ないであろうラインまで下がりムクロとモブの状況を窺っていると・・・・ホーンビートルの背から結晶化したホーンビートルが現れ。

体力バーは黄色バーのままであったが名前が変わっていた。



「進化した後の名前は・・・レジェンダリークォーツビートルか。

前の名前と同様に長いが強さはどんなものなんだ??ッ!?」

「グオォオォォォオォオオォォ!!!!!」

ムクロの声に反応したクォーツビートルは体の変化した部位を使ってスペルに近い光線をムクロに放つと右足に直撃し結晶化した。



「ぐぐッ・・・・ダメージはそこまでだが・・・まさかこっちが移動手段を封じられるなんてな。

剣で落とせるのか??フンッ・・・・」

「グオォオォォォオオォオ!!!!!」

「まずいんじゃない!?ムクロッちの足がレーザーで結晶化しちゃってるよ!?

それにあの状況で攻撃されちゃったらマジでムクロッちは・・・・」

「だけどムクロはこの程度じゃ私たちを呼ばないわよ。

それに何とか結晶化を砕いて解いたみたいよ??」

「何という荒業なんじゃ・・・・

ぬぅ!?主殿!!!クォーツビートルが攻撃を仕掛けて来ておるのじゃ!!!!」

ユキシロの叫びが響く中、ムクロは解いた瞬間の足に違和感があり急な攻撃に逃げることができず受け止めようと剣をガードの構えにするが・・・・



「グオォォオォォォオォォォオォオオオ!!!!!!」

「ここでスキルか・・・・こりゃマズいな・・・・だが、俺も負けられないんだ!!!

――――――――――無茶をするが耐えてくれ・・・・クイックシフトッ!!!!」

ムクロはこのままではマズイと感じ、ガードを解いて違和感のある足にムチを撃つように加速スキルを使いその場を脱した次の瞬間にはクォーツビートルのスキルが地面に放たれ。

辺り一面が先ほどの結晶化した状態と同じ状態になっており・・・・避けなければ消滅していたのは自分の方だと悟りながら加速スキルを連続で使ってクォーツビートルの弱点である角を目掛けて体に飛び移り角に最大のスキルを叩き込む最中。

クォーツビートルも負けられないと言わんばかりに結晶化させる光りを乱射し・・・・ムクロの腹や頬をかすめつつもムクロはなお攻撃の手を緩めず乱舞した。

その互いの身の削り合いの末にクォーツビートルの体力バーが先に底をつき眼の光を失い熾烈な戦いを見事ムクロに軍配が上がったと同時に・・・結晶化で足に踏ん張りがきかないのか戦いに疲れてしまったのか体を支えていられず地面に寝転がった―――――――――

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