第515話 ムクロへの罰と観察

―――――――――――――――中級層:大平原フィールド



 次第に戦闘が一方的になり始め、ユリハは攻撃する側から防御する側に変わっており・・・その防戦一方な戦闘についにユキシロが飛び出そうとした時。

ムクロはユキシロの肩に手を当て、このままあと少しだけこのままにしておいて欲しいと真剣な眼差しで伝えると。

ユキシロはコレ以上は見てられないとユリハの戦う方とは逆の方を向いて座り。

その我慢の報酬としてムクロはユキシロの頭を撫でながらユリハがをしてくれるだろうと信じて見つめていると・・・・・



「ハァハァハァ・・・・・ぐッ・・・・攻撃があまり通らないし弾かれたところを攻撃されちゃこっちの身が持たない。

どうにか反撃をしてダメージを入れないとこのままじゃやられちゃう・・・・

だけどどうしたら・・・・ムクロ君たちも私の戦いを見てるって言うのにこんな見っともない姿を見せられない!!

しっかりと動きを観察し、弱点を探し、的確に狙う・・・・」

「ギシャァアァァァアァァァァァアァァッ!!!!!」

「ん?ユリハの動きが変わった・・・・防御作戦から別の作戦に・・・・

―――――――――この動きからすると・・・・」

「えぇ、この動きはムクロが教えたの動きね。

敵わないのならどうするべきか?動きをよく観察し弱点を見つけ一気に叩く。

きっとユリハは今、死に物狂いで弱点を探しているわね。

けど、相手もそろそろシビれを切らした様よ??」

「アレは黒甲虫のスキル発動のオーラ??

このままではユリハが完全にやられてしまいますが本当にこのまま・・・・

いえ、失礼しました・・・・このまま見ていればいいのですね。

本当にご主人様方のスパルタ教育は私の度を越えているようにも思えます。

それだけユリハは期待されているのでしょう。

ですからユリハ・・・・ご主人様方が信じた方なのであればその期待に応えて見せてください。」

全員の視線がユリハに集中する中、黒甲虫は角の先に黒いエネルギーの塊を作り出しユリハに放出すると。

その攻撃を持ち前の身軽さと回避能力を生かして難を逃れたユリハは攻撃のチャンスと見抜いた部位に攻撃を仕掛けた。



「これがあなたの弱点!!!一気に叩かせてもらうわよ!!!

―――――――――――4連星突きフォースターレイン!!!!」

「グギギギギギギィィィイイィィィ!?!?」

「ふふ、本当にギリギリのところで黒甲虫の弱点であり脅威な角を見抜くなんて。

ユリハはのように面白いわね。

けれどこれでユリハも一歩前に前進ね。」

「いや、弱点に攻撃が入ってはいるがまだ狩りきれていない!!!

ユリハ!!!!まだヤツの体力は残っている!!!離れてもう一度トライするんだ!!!」

「ミスト、その必要はございません。

この勝負は始めからわかっていたのです・・・・ですからご主人様が向かっておられます。」

レイの語る先にはムクロが移動しており、黒甲虫がユリハに攻撃を仕掛ける際の盾役として前に現れると。

ユリハはヒビの入った角へコレが最後とばかりに最大のスキルを叩き込むと黒甲虫の体力は完全に消滅し大きな鳴き声と共に崩れ落ちた。



「あはは・・・やったなユリハ・・・・でも最後の最後に手を出して悪かったな。」

「ううん・・・・ムクロ君がいてくれたから・・・ここまでやれたんだよ。

それにみんなもいてくれたから。

みんな・・・私を信じて任せてくれてありがと。」

のは置いておいてよくやったわ。

―――――――――これでもまだ虫は怖いかしら??」

「そんなに簡単にムシが平気になったら病院もカウンセリングも必要ないじゃん。

でも、この感じだと少しは慣れたのかもしんないけどさ。

で・・・どうする??ムクロッちに処罰するんでしょ??勝手に飛び出して行った処罰をさぁ??」

「うむ、アタイも出て行きたかったのじゃがそれを主殿が破るとはコレはアタイも見過ごせない案件なのじゃ!!!」

「だよね!!私も今回は見てろって言われたから見てたのにぃ~」

「と、言う事でムクロを少し借りていくが構わないか??」

「ご主人様、こういう場面で本当に詰めが甘いですね。

ですがユリハの危険を察知しこうなる事を前提に身を投げたと言う事なのであればご主人様はやはり素晴らしい方です。

私がこうなった場合にもご主人様は来てくださるのでしょうか。」

レイの言葉にユリハはコクリと頷いて手を握り。

「絶対に助けに来る」と言って自分たち全員も助けに行くと語る中、ムクロの方はと言うとクーリアたちに囲まれて処罰をどうするかと言う話でワイワイと騒いでいた。



「で、ムクロッちにはどうしてもらおうかなぁ~~~これから戦う昆虫モブを1人で・・・・ん~それだと喜んで戦いそうだし・・・

何かこうムクロッちが嫌がるような罰って何かないの??

想像してると大体の事ができそうで罰にならないような気がするんだけどさ??」

「その・・・適度な内容が好ましいんだが。

俺はユリハが勝てると思ったから飛び出しただけであってそこまでの行為じゃなかっただろ??

それに・・・俺じゃなくても誰かが飛び出してカバーしていたと思うんだが・・・・」

「ん~そうだな・・・あの場面では私もムクロが出なければ飛び出そうかと考えていた。

それは事実だが・・・結果は結果だからな。

だけどムクロのとった行動は間違いでもない・・・だから私もムクロを許してやってもいいと思う。」

「またミストはムクロに甘々ね。

それならいいわ・・・だったらこれからムクロは1人で昆虫モブを沢山倒してきなさい。

武器とスキルの使用は許可するけどアイテムだけは禁止よ。

それで・・・いいわよね??」

「ぬぅ・・・エリの指示が妙にハードのような気がするのはアタイだけじゃろうか???アイテムの使用を禁止したらリザードマンのお肉が食べられないのじゃ。」

「あ、それは大変だね。

本当にすごいだけどムクロは平気??」

「あの2人は何の心配をしているのやら・・・・

大丈夫ですよ、お2人のようにご主人様はずっとハラペコではありませんので。

それにこれはきっとエリがご主人様の動きを観察するようにと言う意味での事でしょう。

ですから私たちはご主人様の狩る勇姿をその目に焼き付けるべきかと。」

レイの内容にエリエントはニヤリと笑みを浮かべるとムクロに開始の合図を出し出発させるとレイたちは何も言わずムクロの駆け出した方へ付いて行くのであった。

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