第477話 漆黒の大地
――――――――――――――とある滝つぼ
辺りは大きな滝から流れ落ちる水の音で声が聞こえにくく・・・ムクロの声が聞こえなかったのかフィールは聞こえやすくするためにムクロの背にくっ付き。
――――――――そっと声をかけた。
「ムクロ君・・・もしかして覗いてたのかな??」
「い、いや・・・フィールがセーブポイントにいなかったから探しに来たらこの状況にばったり偶然にだな・・・
あと、悪いんだが少しだけ離れてくれると助かる・・・・かな??」
ムクロの声が聞こえたのかフィールはそっとムクロから離れて服を着替えると。
ムクロの前にバッと現れて頬をツンツンしていた。
「つまりムクロ君は私を迎えに来てくれたんだね。
ありがとね!!心配までさせちゃって・・・・その・・・ムクロ君たちはまだ来ないかなって思って水の音が聞こえたから探して水浴びしてたの。」
「へぇ・・・と言うとフィールの耳はかなりいいのか??
他に妖精ってどんなスキルが使えるんだ??」
ムクロはフィールの素肌を見たことに対して謝ることなくフィールのスキルに興味が湧き。
フィールに妖精にしか使えない特別なスキルがあるのかと問うと・・・・
「ん~私には使えないけど熟練した妖精なら自分の姿を隠せるスキルが使えたり魔法での治癒時間が違ってたりするよ。
えっと・・・その・・・ムクロ君は別の世界から来たようだけど・・・・
ムクロ君たちの世界ってどんなところなの??
時々出てた・・・・グロリア?って言うところについて聞いてみたいなって・・・・ダメだったら別にいいんだけど。」
「特に話したら駄目だとかいう事はないから話そうか??
ユリハ達もまだ来ていないみたいだしな。
―――――――――だが、どう話せばいいんだろうか・・・・」
ムクロは目をつむって考えていると、フィールはムクロの腕を掴んで話をする前に場所を変えようと歩き出し。
セーブポイントに戻って来ると・・・焚火の前で2人仲良く座ってムクロは街の作りや世界の風景を思い出せる限り伝えた。
するとフィールも目を閉じてムクロの言葉からできうる限りの想像力を働かせてイメージし・・・そっと目を開いてムクロの方を向いてニコッと笑みを浮かべた。
「ムクロ君たちの世界は色々な人たちが共存するいい世界なんだね。
それに大勢の仲間たちもいて・・・毎日が楽しそうだね。」
「今だって十分に楽しいさ。
フィールはグロリアには行けないかもしれないけどさ。
ここだってグロリアと同じ・・・ここはここで特別な世界だと俺は思う。
グロリアにも色々とややこしい事もあるけど俺はこのフェアリーファンタジーの世界も気に入っている。」
ムクロも笑顔で言葉を返すと、フィールはムクロの手を取って寄り添う形になろうとした時・・・・・
「ねぇお2人さん・・・何しようとしちゃってのさ???
コレ・・・ユリハに見られたら怒られちゃう案件だよ??
本当にこれから仕上げってところでイザコザを起こさないでよ??」
「俺はそんなつもりは・・・・」
「私も・・・ただ・・・少し・・・フラッとしただけだから。
もう大丈夫だから!!!うん!!大丈夫!!!
で、ムクロ君・・・グロリアの世界の話をしてくれてありがと。
それからこの世界の事を好きだと言ってくれて私も何だか嬉しい。
だから・・・これから先も頑張ろうね!!」
クーリアの注意を聞いたはずのフィールであったが話しているうちに感極まってムクロに抱き着いて喜びを表現していると。
間が悪くミストたちが現れ・・・ムクロを引き剥がして説教となった。
「ムクロはいつもいつも・・・私たちの見ていないところで好き勝手ばかりしおって・・・・本当に次はないからな??
ユリハ達は何か言いたいことはあるか??」
「ん~私もミストが言ってくれた内容のままだけど。
そうだね・・・今回の場合だとフィールちゃんの言葉からムクロ君には罪がないようにも思えるけど・・・ちょっとね・・・」
「そう言うわけだからダメなものはダメだとムクロもしっかり伝えないと駄目よ?
さぁ・・・フィールたちも気になってこっちを見つめっぱなしだし戻ってこれからの話し合いでもしましょうか。」
「そうだな・・・・あはは・・・」
話し合いはミストたちの気が済むまで行われ、無事に解放されたムクロはミストたちと共にフィールと合流し。
少し先にある魔族たちの住まう漆黒の大地へと向かい始めた。
「漆黒の大地かかぁ・・・私もゲームをプレイしてるけどこんなステージがあったなんて・・・・
意外な隠しステージだったりするのかな??
それともここにしかないレアなアイテムがあったり!?」
「それはどうかしらね・・・だけどそんな事よりも・・・・
異形系のモブが多いから気をつけななさい!!!
――――――――ムクロ!!!上空から来るわ!!!」
「あいよッ!!オラァァァッ!!!」
「さすがだねムクロ君!!
だったら私も妖精の羽で・・・・テイヤァァアァァ!!!」
「フフ、2人とも息がピッタリだな。
それじゃ私たちも負けじと援護に向かおうか。」
「うん!!2人に良い所全部取られないようにしないとだね!!!
―――――――――いっけぇ!!!
「私もガンガンやってやるんだから見てなさいよ!!!
――――――――スティールスラッシュ!!!!」
異業系のモブとの戦闘にも後れを取ることなく全てを倒し切るとムクロたちは自分たちの安全確認を行い・・・誰1人として負傷した者がいないことを確認したムクロたちはそのまま漆黒の大地へ入り。
魔族を統括する魔族の王・・・ベイルスに会いに城を目指して歩いていたのだが・・・・
「なんだ・・・・人間かぁ??食っちまうか??」
「いや、アレは妖精・・・なんだ?奴らは仲が悪いんじゃなかったのか??」
「どちらにせよここで全員捕まえて胃袋に入れるのもありだよなぁ。
「それよりもあの耳の長いの神獣じゃないのか??」
「女は生かしておいてもいいが男はどう転んでもダメだな。」
「この流れはあまりいい歓迎ムードではなさそうだ。
どうする??全て薙ぎ倒して進むか??それとも・・・・」
「そうだな・・・ここは俺が話をしてみよう。
だから少しだけユリハ達は何があっても我慢してくれるか??」
ムクロの問いにユリハ達は頷く事しかできず。
笑みを浮かべて前に出るムクロを見送ると・・・・ムクロは魔族のNPCに魔王の居場所を問うていた―――――――――
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