第478話 魔族の王ベイルス

――――――――――――――――漆黒の大地:暗闇の街


 

 ムクロの言葉に疑問を持たなかったユリハ達の目の前で行われている行為に対してどうしてあの時ムクロを止めていなかったのかと自分に嫌気がさしていたがそれはもう後の祭りで・・・・ムクロは返って来るのが暴力と知りつつも魔族のNPCに問いを投げかけていた。



「ムクロ君!!!もうやめて!!!そのままじゃNPCに消されちゃうよ!!!

ここまで来た意味がなくなっちゃうよ!!!」

「ユリハさん・・・大丈夫・・・ムクロ君ならきっとこの窮地を何とかする・・・なんでかわからないけどムクロ君は私のやり方と少しだけ

私だってきっと・・・話が聞けるのならきっと同じことをしていたと思う。」

「だが・・・コレはあまりに酷すぎる。

ムクロが一体何をしたというのだ・・・攻撃するのならムクロではなく他の人間だろう。

くッ・・・・私はそろそろ限界だぞ・・・・もしも私が前に出た場合。

ユリハ達は付いてくるんじゃないぞ・・・ムクロに怒られるのなら私だけで十分だからな。」

「何を水臭い事を言っているの??

そんなのミストだけに任せられるわけないでしょ??

それに・・・ムクロを虐めていいのは私だけよ。

コケにしてもいいのも私だけ・・・他の者になんて1ミリも1秒もムクロに触れさせたくない・・・本当に不愉快だわ。」

「えぇっと・・・それじゃ私は後方で待機して見てるから・・・・ひぎッ!?」

「ヴァニスは悔しくない??仲間が・・・誰よりも私たちを信頼してくれてるムクロがあんなにされてるのに手が出せない状況に・・・出すなと言われている状況に・・・・??

普通なら私も逃げちゃいたいところだけどさ??相手も多いしここでややこしくしたら本当に戦争になるかもしれないし・・・・だけどそれがどうしたのさ!?

私たちの方が戦争よりもよっぽど怖いって言う事を知らしめてやればいいんだよ!!!

刃向うやつはみんな散りにして消してやればいいんだよ!!!だけどまずはムクロッちを・・・私たちの仲間を守る事が最優先だよ!!!」

「がッ・・・・ユリハ達に手を出すなと言って決めた所までは良かったけど・・・・まさか・・・ここまで数の暴力に合うなんて想像もしていなかったな・・・・ガハッ・・・・」

ムクロの体力が付きかけようとした時、ミストたちではない他の者の声が響き。

その声を聴いた魔族のNPCたちは膝を地につけ・・・・背を低くしていた。



「魔族の民共・・・この場から一刻も居座る事を許さぬ。

―――――――――――去れッ・・・・」

「この美人で角の生えたのがフィールの言っていた・・・・」

「そうだよこの人が魔族の王・・・だよ。」

「やっと本命の・・・到着か・・・・ぐあぁッ・・・少し我慢し過ぎたか・・・・」

「ムクロッち!!!すぐに回復するから待ってて!!!

ユリハはムクロッちの体にバンテージとポーションを飲ませてやって!!エリは私とスペルで回復だよ!!!

ヴァニスとミストは何突っ立ってるの!!!ムクロッちが危ないんだよ!?」

「えぇ、任せて!!!」

「私たちはムクロの盾になるぞ!!!」

「そ、そうね!!!ムクロがここまで頑張ったんだもんね!!!

私たちも身を貼らないとフェアじゃないわ!!!

で、そこの偉そうにしてる角の生えたのはこれからどうする気なのよ!?

私たちとやり合おうって言うのならムクロの回復を待ちなさいよね!!!」

ヴァニスたちの迅速な対応と行動にベイルスは扇子を取り出してバッとひらき。

戦闘を持ち掛けるのではなく城へ来ないかという提案をムクロたちに持ちかけてきた。



「で、どうだろうか??私の城へ来ぬか??

私にがあって来たのだろう??」

「今はそんな状態じゃないんでな、ムクロが回復しさえすればすぐに返答してやろう。

何せベイルスの民とやらがムクロを散々いたぶってくれたからな。

この怒りも何とかギリギリで抑えている状態なのだ・・・言葉を選んで発してくれないと・・・。」

「ミスト・・・・落ち着いてって・・・簡単には落ち着けないと思うけど・・・今ミストが暴れたらムクロの行為が無駄になっちゃうしさ。

ここは冷静になろうよ。

私が言っても火に油かもしれないけど・・・・ムクロならきっとそう言うと思うから。」

「ヴァニスちゃん・・・・あ、ムクロ君・・・体は大丈夫!?

他に痛い所とかない??何かあれば言って!!」

「あはは・・・これだけ回復されてたら嫌でも治るさ。

で、そこにいるのがベイルスか・・・王って聞いてたから男かと思ったが女の王だったのか。」

「ムクロッち・・・話がずれてるよ・・・

今は招待されてる件についてイエスかノーで答えないとだよ。」

「だけど・・・さすがは王って言うのかしら。

この魔族NPCたちをすんなりと言う事を聞かせちゃうなんて・・・あと、ベイルスとかいう王様はこうなることがわかっていてワザと高みから見ていたんじゃないのかしら??どう??」

エリエントは何か裏があると思いベイルスに尋ねると、ベイルスは扇子を閉じてエリエントの答えにイエスと答え。

どうしてこのような事をしたのかを説明し始めた。



「私は人間を好まぬ。

特に暴力と甘い言葉でたぶらかし陥れようとする連中が特にな。

だから私は民に人間が来ると叩きのめし、真実を暴くように命じたのだ。

そして、このムクロとか言う者は私の知っている暴力的で裏のある人間とは

単純に王である私を探している事だけを話し続け攻撃にも耐えて見せた。

だから私がこうして直々に迎えに来たというわけだ。

さて・・・この真実を知った上でもう一度だけ問おう。

―――――――――私の城の中で話をしないかえ??」

「いいぜ、そのベイルスの提案に乗らせてもらおう。」

「え!?ムクロッち!?マジでこの城の中で話をするわけ!?

話ならここでも・・・・あぁ~~そうだね・・・ここで話すとラストファントムに聞かれちゃうかもだし・・・ん~~もう!!どうにでもなっちゃえ!!!」

「話は決まったようだが・・・妙な真似をすれば本当に剣を存分に振るわせてもらう。」

「私も・・・さっきのようなことが起これば我慢ができないから言っておくわね。

さぁ・・・王の城の中でたっぷりとお話をしましょ。

―――――――――――互いが納得のいくまでね。」

話は王ベイルスの提案通りに城中ではなし合いをすることになり、ムクロたちはベイルスに案内されて部屋の中に入り。

何故か畳のある部屋につられ・・・その部屋で話し合いをすることとなった。

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