第476話 これからの選択

―――――――――――――――王都グランデ:城内


 ムクロたちは王の前へやって来ると・・・軽く自己紹介を済ませ。

王は神獣をどうやって捕まえたのかという話を聞きたがり・・・ムクロは単純にエサを使って罠で捕まえたと語ると。

フィールはこれ以上無駄話をすることはないとムクロに呟くと・・・・・



「王様、少し付き添いの者を外して私たちと少し話をいたしませんか??

それはもう重大な無いようなので・・・・」

「な、何を言っているのかわかっているのか!?

王に何かあればお前は即刻処刑されるのだぞ!?」

「フム・・・・よい、この者たちは神獣を生きたまま届けてくれたのだ。

少しだけ近くで話す事を許そう。

そう言うわけだ・・・お前たちは席を外すがよい。」

「コレで何とか話は進んだね。

あとは王様が話を信じてくれるかだけど・・・・」

フィールはムクロにコソコソと呟き、付き添いの者が部屋から消えて部屋にカギがかかると。

王は2人の話に耳を傾ける前に2人の正体を言い当てた。



「お主たちは本当は旅人か何かじゃろ??

片方の嬢ちゃんは妖精の者かな・・・・で、お主は人間でかなりの武人と見たが。

本当の目的をそろそろ話してはもらえぬか??」

「ハッハッハ・・・国王はどれも同じように見えても場所が違えば見る目も全然違うんだな。

そうだ・・・・俺たちは

アレは俺の仲間であって王と話をするために囮をしてもらっているに過ぎない。

で、話があるのは俺じゃなくてコッチの妖精のフィールにあるんだ。」

「ご機嫌麗しゅうです、王様・・・

私はから来ましたフィールと言う妖精です。

まず率直にお尋ねします・・・王様はお考えになっておられるのでしょうか?」

ムクロはフィールに聞きたいことを全て自由に話すことを許可し、何かあればそれに合わせて対応するという流れで話させていたが。

さすがのムクロも率直に語るフィールに度肝を抜かれて驚くと王はそれに動じずに考えて口を開いた。



「私は戦争を望むというよりも戦争によって魔族との境界線を確立したいと思っている。

力の差は歴然だったとしても我々人間は引いてはならないのだ。

引けば多くの民が魔族の餌になり道具にされかねない。

そのことを考えると我々はやはり自分たちを守るためには戦うしかないという手段を取るしかないのだ。

それ以外で解決する術があればいいのだが・・・長い間考えた末の決定にもはや戦争もすぐそこまで迫って来ている。

私は多くの民を守りたいが奪いたいとは願わない弱い王なのだ。

本当にこの先に良き未来が見えるとは思えぬが・・・やらないまま終わる事を考えれば戦っているのも・・・・・」

「それは間違ってる!!!

王様!!!それはダメだよ!!!戦いたいと本気で思っていないのに他の命を奪う行為は間違ってる!!!

生きる為に戦うのではなくて守るために戦うのならそうならないように手を尽くさないと駄目だよ!!!

そんなの・・・・絶対に間違ってるよ!!!」

「フィール・・・王様、俺からもいいですか??

もしも魔族が人間との和解を発表すればどうする??

その答えによって俺達・・・いや、王様たちの未来が大きく変わる。

だから真剣に王様の意見が聞きたい。」

ムクロはフィールに変わって王に問うと。

王は王都の夜景を目に焼き付けながら魔族との和解ができるのであれば是が非でも和解したいと語り。

話を聞いたムクロは王に提案をした。



「なら、俺たちが魔族を率いるトップに話を付けてくるから・・・・それまでは大人しく手を出さずにしてもらえないか??

あと、妙な実験やラストファントムに匹敵する力を作らないことが条件だ。

どうだ??それらを約束できるのであれば俺たちは今からでも魔族のいる場所へ向かって話をしてこようと思っているんだが・・・・・

フィールもその流れでいいか??」

「うん!!!みんなが争わずに済むのなら・・・私もその話に乗るよ。

だから王様・・・私たちが戻るまで我慢できる??」

「我慢・・・か・・・ハッハッハッハ・・・・そうか・・・そうだな。

私たちは我慢というものをしてはいなかったな。

よかろう・・・ムクロとか言う人間の戦士と妖精の使いフィールたちにこの世界の命運を託そう。

それまでは戦争も実験もせずに待機して我慢しよう。

さぁ・・・騒ぎになる前に出発するといい・・・若き者たちよ。」

王はムクロたちと契約を交わして部屋から出て行き、ユリハ達と合流して王都を抜け。

フィールの案内で魔族の住処である漆黒の大地へと向かって行った。



「ムクロ君・・・そろそろ今日は解散にしない??

―――――――時間がちょっと過ぎちゃってるよ?」

「もうそんな時間か・・・あと少しでフィールの目指してる場所に到着しそうだって言うのに残念だ。

よし、そう言う事だ・・・近くのセーブポイントで解散しよう。」

「だねぇ~今日は本当に色々ありすぎて頭がこんがらがっちゃったし・・・

フィールもしっかりと休憩して明日に備えないとね!!!」

「それはクーリアも同じことでしょ。

だけど・・・本当に今日だけである程度の進歩が見られたのは事実。

あとはアヤカがどんな情報を持ち帰るのかがカギになると思うのだけれど・・・・

それは次に出会うまで楽しみにしてるしかなさそうね。」

「あと、前方にモブの襲来!!!

―――――――――ムクロ・・・それにみんな!!!戦闘準備!!!!」

ミストの掛け声にムクロたちはモブの群れと激突し・・・急な戦闘へと流れ。

黒いモブとは違うためか全員で手分けした甲斐もあってすぐに殲滅し。

セーブポイントでフィールと挨拶をして解散した。



そして、翌日・・・悠一たちは学校をいつものように過ごして自宅へ帰宅すると。

すぐにグロリアにログインしFFサーバーに移動した。



「ただいまっと・・・ん?フィール??アレ・・・・フィールはどこに行ったんだ??」

フィールと別れたセーブポイントにやって来たムクロはフィールがいないことが気になり。

この辺りで黒い獣に襲われていないか気になり・・・ユリハ達が来るまでの間探すことにして探してると―――――――――



「ん~~~この滝は水が冷たくて気持ちいいな~~

それにしても・・・ムクロ君たちッて大変だな~~現実に戻って寝ないといけないなんて・・・・え?」

「えっと・・・・その・・・・邪魔をした・・・」

ムクロが辿り着いた先にあった滝でフィールは水浴びをしており。

その光景を目の当たりにしたムクロは目を背けて何も見ていないと言って反対方向へ向き・・・セーブポイントへ戻ろうとした時。

フィールは裸のままムクロの背にくっ付いていた―――――――――

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