第472話 クレーターに潜む黒

―――――――――――――アカシックタワー近くの休憩ポイント


 フィールはムクロたちのやり取りを見て涙を拭きながら謝り。

ムクロたちは謝る必要はないと言って笑みで返すとレイとルミ子から通話が繋がり・・・・情報を収集した結果を述べ始めた。



「まず、マスターの指示通りに情報を調べて見ましたがヒットはナシでした。

情報が細かく異なるのかこのイベント自体を体験されているのがマスターだけなのか不明で何とも言えませんが。

次に向かわれる場所へのリサーチは完了しております。」

「はい、お次に向かわれるとよろしい場所はそのアカシックタワーから移動した先に兵器研究施設跡のクレーターがありますのでそこへ向かわれると何かしらのイベントが発生するかと思われます。

ですが・・・今回のイベント内容を確認してみた所・・・ご主人様の歩まれているストーリーは多少ながらズレが生じております。

どう修正されるのか私にはわかりませんがご主人様方の知恵と力で完全クリアを目指してください。

それと・・・・女神にこれ以上の介入はダメだという通告が来たので私たちにはこれ以上ご主人様方への手助けができませんのでご了承くださいませ。

ではご武運をお祈りしております。」

「えっと・・・・ムクロ君??

何かあったって言う顔をしてるけど・・・何か問題でも発生したとか??

レイちゃん達は無事なんだよね??」

「レイ達は問題なく無事だ。

だが・・・今回の情報収集が女神にバレて次に情報の提供をした場合は何かしらのペナルティが処される可能性があるからこれ以上の手助けはないらしい。

でもさすがはレイとルミ子だ・・・これからどこに向かえばいいのかルートを記してくれた。」

「そっか・・・2人はギリギリの部分まで調べてくれてたって事だね。

それじゃムクロッち・・・その2人が残したルートに従っていくしかないよね。

たとえどんな苦しい道が待っていたとしてもさ?」

「本当に苦しい道だったらどうする気なのかしら?

一番に根を上げそうなクーリアがよく言ったわよね。」

エリエントはクーリアの図星を突くと立ち上がりレイ達の記した方向を見つめてムクロたちに休憩はまだ続けるのかと問い。

ムクロはその言葉を聞くとすぐに立ち上がり、フィールに手を差し伸べて立たせると・・・・・



「ムクロ君・・・私には手を出してくれないの??」

「いいじゃんユリハ~私たちも同じように適当な扱いだしさ?

毎回ムクロッちが誰でもかんでも構うと思ったらダメだよ?ユリハを相手にしてる時の私たちなんて毎回こんな扱いだし?」

「そうだ、私にも手を差し伸べてもいいとは思うのだが・・・・

なんでだろうか知らないがこういうシチュでは全然想像通りに動かないな。

だがムクロがフィールを気にかけているのは私たちが見えていないとかではなく単純にフィールの事が心配なのだろうな。」

「いつも通りのムクロってことね。

でも何だかフィールもムクロといるときは私たちが一緒にいる時よりも笑顔が多いわね。

コレはもしかしてもしかするかもしれないわよ??

ムクロはユリハがしっかりと握ってないと飛んでっちゃうかもしれないわね。」

アヤカは少しだけユリハにいたずらなことを言うと。

ユリハはその言葉を真剣に捉えており、すぐにこうしてはいられないとムクロの側に移動しフィールと3人で歩き始めていた。



「何を楽しそうに話してるの??」

「あ、ユリハさん!!えっとね・・・ここで食べられる食べ物について話してたんだよ。

ここにはたっくさんの食べ物があるからムクロ君やユリハさんたちが気に入ってくれるといいなぁ。」

「ユリハはこう見えて食いしん坊だから大丈夫だ。

あ、だが・・・見た目が悪いものは少しNGとかあったりするから何とも言えないか。」

「本当に気の抜けた3人ね。

後方からモブが出てこないか心配してる私たちの身にもなりなさいよね。」

「全くね、近くからモブの気配がしないから許してるけど。

塔から消えたラストファントムがいつ襲ってきても良い様に注意しておくべきなのだけれど・・・・次に戦う時が楽しみだわ。」

「えぇ・・・あんなのとまた戦うとか私はヤダよ??

動きは速いし攻撃はメチャクチャだし・・・・

ミストもやり合いたくないでしょ??」

「ん~~攻撃方法がわかれば何とかなりそうな相手ではあるから私も次に出会うのならば全力でお相手したいところだ。」

「何でこの連中は強い相手を見るとすぐにしたくなるのかしら・・・穏便に済んだことを良しとしないといつか痛い目にあうわよ??」

ヴァニスの言葉は特に誰かの心に響いたわけでもなく空を駆け抜け。

そのまま何事もなく歩き続けると、レイから向かうように言われた研究所の跡地である大きなクレーターまでやって来た。



「うわぁ・・・・本当に大きなクレーターだね。

ここに研究施設があったなんて想像もできないよ・・・・」

「それに建物も何も残っていないようだな・・・・

あるのは瓦礫と・・・・ん?何か中心に見えるがアレは一体・・・・」

「ムクロ君気をつけて!!!あれは例のだよ!!!」

「チッ・・・出遅れた・・・・ヴァニス!!!私たちもフィールを追いかけるぞ!!

アヤカたちは後方支援を頼む!!!」

「言われなくてもやってやるわ!!

だけど・・・あんな瓦礫の中でずっと眠っていたというの??

―――――――――??」

「どうかしらね・・・だけどあのモブはそこそこに大きい中型モブのクラスよ。

気を抜くと面倒だからバフとと遠距離攻撃はしっかりとするわよ!!!」

「了解だぜ!!!さぁ~皆のアイドルマジカルクーリアちゃんのバフを

を有難く受け取ってぇ~~~」

ムクロたちは先に飛び出したフィールを追いかけて飛び出すと。

黒いモブはフィールを目掛けて瓦礫を投げつけて攻撃を仕掛けていた。



「わぉ!?このエネミーはすごいパワフル!!!

だけどパワフルさなら私も負けられないし譲れない!!!

――――――――でぇぇぇいやッ!!!!!」

「おぉ~~~フィールも意外とやるもんだな!!!

あのデカイ瓦礫を真っ二つか・・・・

それじゃユリハ・・・俺たちもフィールに負けないよう暴れようぜ。」

「うん!!!パワフルなのは私たちも負けてないもんね!!!」

フィールの剣技を見た2人はさらに加速を上げて移動し、フィールに追いつくと黒いモブに対して鋭い一撃を入れて回避すると。

後方支援のスペルや銃弾が辺りに炸裂し・・・・激しい戦闘へと突入していった。

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