第471話 星空の元で

―――――――――――――アカシックタワー:頂上フロア前


 ムクロの回復を待っている間、ユリハ達も自分たちのコンディションを整えていると塔から見える景色を見下ろしながらフィールは何かを考えている様で、気になったユリハはフィールの隣に立ってムクロの状態を知らせると・・・・



「そっか・・・ムクロ君は大丈夫そうでよかった。

それといいかな??私ね・・・この塔の頂上に行くのは少し早い気がする。

うまく言えないけどこの塔の頂上にいる黒い獣を倒すことが私たちの目的じゃないから・・・・

きっとあのラストファントムは私たちを試しているんだと思う。

この頂上で眠る黒き獣を倒して世界を血の海にするのかどうなのか・・・・

だからその答えが出るまで頂上で眠る黒き獣はそのままにして欲しいなって思うのだけど・・・・・私のわがまま1つでどうにかなるなんて思ってないけど・・・・」

「いや、そんなことはない。

フィールの言葉とラストファントムの言葉に幾つか気になる点があるんだ。

村を燃やしたのがラストファントムではない事とラストファントムは妙に俺たちを頂上に向かわせたがっている様でありフィールはそれを遠ざけようとしている。

これらを考えると・・・ラストファントムが村を燃やした犯人ではないという事が事実だったとしてが、今回の大きな不思議であることとこの頂上に眠る黒き獣を倒した際にラストファントムが何かを狙っているのかそれとも本当に世界を好き放題にしろとでも言っているのかわからないが俺たちはまずフィールの村が焼かれた謎を解く必要があると思う。

村を焼かれた怒りに身を任せて兵器を起動させる魂胆なのかわからないがその可能性もぬぐえないから今回は頂上には向かわずにこの塔から離脱して情報を集めよう。」

「情報を集めるにしてもどうやって集めんのさ?

妖精の村が燃えたのを知ってる?って1人1人に聞いて回るの??

そんなの時間がいくらあっても足りやしないよ??

このFFの世界に少しは詳しいマジカルクーリアちゃんでもお手上げだよ。」

「そうね、そのダメっこクーリアが使えないのなら別の情報に強い助っ人に頼むしかなさそうね。

ムクロが大好きで大好きで情報に強いあのにね。」

「あぁ・・・レイならば隠された情報を引き出すことは可能だろうが・・・・それはなんだかゲームとしての趣旨を大きく反していないか?

検索の制限もあるだろうから無茶な検索はさせられないと思うのだが・・・・」

「だけどこうなったら一秒でも時間を無駄にしたくないし。

フィールの為を思うのなら少しでも早い方がいい。

だから私もレイに頼るのは賛成だけど・・・GMに何をされるかわからないから適度に調べてもらうほかないわね。」

「何だかややこしい話になってきちゃったけどフィールは私たちの仲間なんだから何も気にせずにどんとしてればいいのよ!!

私もムクロたちには助けてもらったから私たちにできることがあったら何でも言ってよね!!!

まぁ?高貴な私にかかればどんな大変な事態でも問題ナッシングよ!!!」

その場にいた者は全員フィールの意思と意見を尊重し、ひとまず塔の頂上へは向かわずに近くの休憩できるポイントをさがし。

その休憩ポイントからムクロは頼みの綱であるレイに通信を入れると・・・・



「ご主人様、やっと連絡が来たと思えば通話ですか。

これは一大事と言う事ですか??それとも私の声が聞きたくなりましたでしょうか??」

「えっと・・・前者の方だ。

ちょっと色々あってさ・・・FFサーバーで気になることが起こっているから少し調べてもらえないかと思ってさ。

あとルミ子もいたら一緒に協力して欲しいんだが・・・・」

「変態マスターは非常事態にしか私を呼ばない癖をどうにかした方がいいと思いますが・・・その件はまた後程にじっくりと語るとして。

FFサーバーで何を調べればいいのでしょうか??」

レイとの通話中ににゅっと現れたルミ子の介入もあり、ムクロは手っ取り早く2人に調べて欲しい内容を伝えると。

すぐに調べると言ってプレイヤーでは入れないサーバーのライブラリーへダイブし。

2人は手分けしてFFサーバー内で火を放った等の目撃者や情報をGMに程度に調べだし数分間待っているようにと言って留守状態になった。



「ムクロ君どうだった??

何か手掛かりは見つかりそう??」

「ん~レイとルミ子の2人は少し情報を集めるからって言って待機指示を出して休憩していろだってさ。

2人の事だからきっと何かしらの情報を集めてくるだろうからそれまでゆっくりさせてもらおう。

フィールもそれでいいだろ??」

「うん・・・ムクロ君ごめんね・・・私のワガママで見ず知らずの2人に迷惑をかけちゃって。」

「だからそんなに気にすることないっての。

ムクロッちは人を助けることに生き甲斐を感じるほっとけないプレイヤーなんだよ。

でも私たちもそれに付き合ってるんだから人の事は言えないか・・・・

でもでも!!!私たちはムクロッち程お人よしじゃないから気をつけてよ!!

何せ私は報酬を求めちゃうタイプだから!!!」

「フィール、クーリアの言葉には耳を貸さなくていいわよ。

いつもこの調子で人様からレアアイテムの情報だとか何かしらをもらうのが癖になっちゃってるの。

だけど・・・・ムクロだけがお人好しなのは否定しないわ。」

「えっと・・・情報が集まるまで時間があるのだろ??

だったら少しは休憩しようじゃないか。

日も落ちて星明りだけになってしまってはいるからモブに狙われると大変だ。」

「そうね、夜は夜で夜行性のモブが気になるわ。

こっちのサーバーには夜行性のモブがわんさかいない事を祈るばかりね。」

そう言ってミストたちはすぐに焚火の用意をすると。

ムクロたちもミストやアヤカたちに呼ばれて焚火を囲むようにして座り星空を眺めた。



「わぁ~~ムクロ君見て見て!!

あれなんていう星なのかな??すっごく綺麗・・・・」

「あぁ、グロリアじゃこんなに綺麗な星空は中々見れないな。

以前の俺もソロだと星空何て興味を持ってみることはなかっただろうし。

本当に変わったな・・・・」

「もう!!!2人は何をイチャイチャ話こんでんのさ!!

今は2人のラブラブプレイじゃないんだから2人だけの空間は禁止だよ禁止ぃ!!!」

いい雰囲気になった2人に対してクーリアは空気をぶち壊すかのように乱入して話を戻し。

フィールはその光景にクスクスと笑って涙を拭いていた―――――――

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