第466話 フィールとの約束

――――――――――――――廃墟:広間


 ムクロたちは黒いパーツを回収すると・・・消えて行く黒き獣を見送った後。

アイゼンバルツ軍のテントに戻り報告を行った。



「指揮官や数名の兵士が見ていたと思うのだけれどコレで私たちの目的である黒い獣の戦いは終わったわ。

だからこの先からは自由にさせてもらうけれど文句はないわよね??」

「くッ・・・・指揮官殿にまたしても無礼な言葉を・・・・」

「お前は引っ込んでいろ。

この者たちは力で勝つところを見せてくれたんだ。

それもこの少数の人数でだ・・・・

そうだな・・・この黒き獣との戦いは終わったがまだ我々にはなすべきことがある。

噂ではさらに廃墟を抜けた先にある塔に黒き獣の類とされるものがいるとかいう噂を耳にするのだが。

すまないがムクロたちに見て来てはもらえないだろうか??

君たちの力量ならどんな相手でも問題なさそうだが・・・・どうだ??」

「次の目的地は塔か・・・・あぁわかった。

黒き獣は見過ごせない強さがあるから見て来てやるよ。

それじゃレヴィオ世話になったな。」

ムクロたちはそれ以上何も語らずにテントを出るとユリハ達と合流しマップを調べてクーリアにこれからどうするか話し合うこととなった。



「この塔にレヴィオが言うには黒き獣がいるらしいんだが・・・・

フィールとクーリアはこの塔に何か心当たりないか??」

「ん~この塔は私のプレイした時には載ってなかったよ?

それにここに何かいるとしたらそれはレアアイテムを持ったボスか何かじゃない!?レアハンタークーリアちゃんの耳と勘がそう言っているゾ!!」

「概ねボスクラスのモブがいそうな感じはするから注意して向かうのが良いのだけれど。

――――――――フィールの容体はどう??」

「フィールちゃんならすっかり元気になってるよ。

元気になった途端廃墟の辺りまで散歩するって出て行っちゃったけど。」

「ふむ、きっとこれだけ近くに人間がいるんだ・・・気を抜けば何をされるのかわからないと感じての事だろう。

よし・・・そう言う事ならこの私がフィールに付き添ってやるとするかな。

私は一足先にフィールと合流して待っているからムクロたちはこれからのルートを考えてから来るといい。」

と、ミストはこれからのルートを任せると言ってフィールのいる廃墟に向かって行くと。

ムクロたちはすぐさまクーリアの記憶を頼りにどのルートで行くのが危険と障害が少ないかと話し。

廃墟を抜けてからそのまままっすぐに前進するのが一番早くてわかりやすいという前進あるのみという作戦にアヤカたちも納得し、ムクロたちはすぐさまミストたちを追いかける準備をして廃墟に向けて移動をすると・・・・



「わ~いわ~い・・・ミストさ~んこっちこっち~~~あはは~~~」

「何てすばしっこいんだ・・・・

コレが妖精のスキルなのか??」

「ん~~2人で追いかけっこしてない??

それにフィールってあんなに早かったんだ・・・・」

「そうだね・・・あの速さならさすがにムクロ君も追いつけないんじゃないのかな??」

「っと・・・フィールにタッチだ!!!

さぁ次の鬼はフィールだぞ~~」

「追いついたわね。

本当にムクロはこういう戦闘以外でも手を抜かないわね・・・・

子供でも女でも容赦しないって言うのはどうなのかしら??」

「だけどそのおかげかフィールのメンタルも良い様に戻って来たんじゃない??」

その言葉から全員はフィールの表情を見ると・・・フィールはすごく楽しそうに笑っており。

先ほどまでの寂しそうな表情が嘘のようでムクロと鬼ごっこをするとムクロに触れられないままフィールとムクロはユリハ達の元へ戻ってきた。



「はぁはぁ・・・中々フィールもやるな。

あと少し俺の移動が間に合わなかったらタッチされていたところだった。」

「くぅ~~後でもう一回勝負だよ!!!

今度こそはタッチしてムクロ君をぎゃふんと言わせてやる!!!」

「あはは・・・2人ともそんなになるまで遊ばなくてもよかったんじゃ・・・・

でもフィールちゃんが元に戻ってくれて私は嬉しいからいいんだけど。

これから塔に向かうけど大丈夫??」

「それにこの先にどんなモブが待ち受けているのかわからないのに無駄な体力使っちゃってさ~~~いつもは私たちに色々言うのに今回はムクロッちが悪いよねぇ~~」

「クスクス、そうね・・・・今度はこっちがムクロにぐちぐち言ってあげる番ってところかしら??」

「まぁ今回は特別に目をつぶるとしてだ。

2人の息切れが回復次第ここから出発してまっすぐ塔を目指そう。

今日は塔の攻略をする時間がなさそうだから明日になるあろうがな。」

「本当だ・・・もうこんな時間なんだ。

と言う事はセーブポイントで解散って言う事ね。」

ヴァニスの言葉にミストがコクリと頷くと、ムクロたちの状態が回復したのを確認してから塔の見える辺りにあるセーブポイントポータルまで移動し。

今回はそこでセーブをしてから解散することとなったのだが・・・・



「あれ?ムクロ君たち・・・どこ行っちゃうの??まだ冒険の途中だよ?

塔はあそこに見えてるのに・・・・」

「あぁ、あの塔は明日攻略しよう。

今日は俺達疲れたからこれから睡眠の時間なんだ。

だからフィールもここでゆっくりと休んでいてくれないか??」

「それにフィールちゃんも今日は色々あったでしょ?

だから気持ちの整理も兼てここで休憩にしよ?ね?」

ユリハ達がフィールに優しく語るとフィールはムクロたちが戻って来るまで昼寝をしてまってると言ってセーブポイントに建ててあるテントの中へ消えて行くと。

ユリハ達は各自ログインしていき・・・・・



「フィール、それじゃ俺もログアウトするけど1人で危ないことをするんじゃないぞ??

フィールに何かあったらやだしさ?」

「うん・・・ここで待ってるから・・・早く・・・できるだけ早く戻って来てね!!

私1人は寂しいから・・・・」

しょぼんとするフィールの頭をポンとなでてからムクロはホームから持って来たリザードマンの燻製を取り出してフィールに与え。

戻って来るまでこっそり食べるようにと言うと、フィールは目をキラキラと輝かせて燻製をもって喜んでおり。

ムクロは喜ぶフィールをテントに置いてログアウトして眠りについた。


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