第448話 傾斜の先にある光

――――――――――――――イベントダンジョン:宝探し


 グリフォンを倒したことによって開かれた道を進んで浮遊島の頂である祭壇のようなところに辿り着くと。

そこには如何にもというような宝箱が置いてあり。

他にモブの気配がない事からコレで終わりなのかと思えたのだが・・・・・



「クーリア・・・宝箱を開ける前に少しいいか?

そのマップには他に何かヒントらしきものが出ていたりしないのか?

モブを倒せとか何かをしろとかさ?」

「ん~マップを見た所サンダーグリフォンの後から何にも書かれていないんだよね。

ただ・・・浮遊島のマップの先に宝箱のマークがついてたからきっとこれで終わりなんじゃないのかな??

それともまだ何かがあるとかそんなオチ??」

「どう転ぶかはあの宝箱に近づくか開けばわかるのじゃないかしら??」

不用意に近づけば何かが起こりそうな雰囲気を放つ宝箱にクーリアはおろかヴァニスでさえ開けに行こうとせず。

このまま宝箱を目の前に置いたまま帰ることもできず、ムクロはみんなを代表して開けに行くと言い出すとユリハは向かおうとしたムクロの手を握って一緒に行くと歩いて行き・・・・・


「それじゃ、開けるぞ・・・・」

「うん・・・・んッ!?

アレ??何も起こらない??」

「アレ?どうなってんのさ??何かイベントが起こるはずじゃなかったの??

宝箱も何か仕掛けられてるわけでもないし・・・・

ねねぇ~ムクロッち~ユリハ~~中には何が入ってたのさ??」

「ここから見ているよりも実際に近づいて確認する方が早そうだ。」

「わ、私は最初っから何もないって言う事は知っていたわよ!!!

この高貴な私に見抜けないモノなんてないわ!へへんッ!!!」

そう言って威張るヴァニスと共にクーリアたちが宝箱の前にやって来ると。

そこには一枚の紙きれが入っており。

ムクロは全員が揃ったのを確認して紙切れを取って読みだした。



「見事サンダーグリフォンを倒したものよ、この中の財宝が欲しくば島にある星降りの地を探せ・・・・だってさ??」

「えぇ・・・まだ終わってないの??

それに星降りの地ってどこ・・・・って、ここかぁ・・・・・」

「それはどこなのよ・・・マップを見せて見なさい。」

「コレが・・・・星降りの地??」

「どうやらそのようだな。

見た所・・・隕石が落ちてできたクレーターのようだが。

ここに宝があると言うのなら向かうしかないだろ。

手ぶらで帰るのか?クーリア??」

ミストの問いにクーリアは手ぶらでは絶対に帰らないと断言すると。

先ほどまで戦っていた場所に移動用ポータルが現れ・・・それに触れて移動すると出発地点に戻っており。

ムクロたちはクーリアの持つマップを頼りに星降る地を目指して歩いて行くと・・・



「コレが・・・星降る地・・・・すっごく大きな穴だけどどうやって下りるのかな??

落ちたら間違いなくダメだよね??」

「あぁ・・・この高さだから即死は免れないだろうな。

だが・・・あそこの傾斜を利用して滑って行けば底まで行けるんじゃないか?

みんなはどう思う?」

「如何せんあそこ意外に見える部分で安全そうな場所が見当たらないからな。

今回も私はムクロの案になるとしようかな。」

「私もムクロに従うわ。

べべ、別に何も考えてないからとかじゃないわよ!?」

「それじゃムクロの案を採用と言う事でさっそく行きましょうか。

あの先に待つのものは一体何か・・・・宝探しらしくなってきたわね。」

エリエントはそう言って歩き出し、ムクロの提案した傾斜を利用した移動方法でクレーターの底まで下りることになり。

クーリアも不安な顔をしながら傾斜地点まで移動し、準備を始めた。



「一応念には念を入れて・・・バフをかけとくね。

よいしょっと・・・これで落下ダメージを受けても少しだけ平気になったけどさ??

高すぎるところから落ちると効果がないから気をつけてね。

あと・・・・マジでここから滑り落ちて大丈夫なのかな??」

「ん~そうだな・・・少し不安もあるし俺が行って確認してみるとかどうだ?」

「それは駄目だよ!!!ムクロ君がいないと急な場面で対処できないし・・・ムクロ君にもしもの事があったら私・・・・」

「と、言う事だら全員で一斉に滑り落りるとしよう。

なに、全員で落ちるのであれば怖い事も何もないだろ?

それにムクロがいるのならきっとうまく成功する・・・私はそう信じている。」

ミストの言葉にムクロはコクリと頷いてから飛び出すカウントダウンを始め。

0と言うと同時にムクロたちは一斉に傾斜を滑り落ち始めた。



「うわぁぁあぁぁ!!!!すごいスピードだけど本当に大丈夫!?

それに・・・すでに地上から結構な距離を降りて来てるけどまだ底が見えないよ!?」

「だが、こうなったら最下層まで行くしか止まる方法はないんだ。

しっかりと付いてきてくれよ。」

「そうね・・・こういうアクションは昔からムクロは得意だったものね。

みんなの命はムクロの手の中にあるのだからしっかり案内を頼むわよ。」

「ん?何か下の方で光っているがアレは一体・・・・」

ミストは微かに光る何かを見つけると。

ムクロたちはミストの見た光りを探すと・・・・それは宝箱のような物体が光っており。

それを見るやクーリアは目の色を変えて恐怖が吹き飛びやる気に満ち溢れていた。



「宝箱発見!!!!

さぁ~ムクロッちアレを目指して行っちゃって!!!!

ワクワクドキドキ!!!宝箱ちゃ~~ん待っててねぇ!!!!」

「そうだな・・・そうしたいのは山々なんだが。

もう少ししたらから気をつけてくれ・・・・」

「えぇ!?道が無くなるって・・・・これってマズいんじゃないの!?」

「いや、この距離からして・・・私の考えだが加速系スキルを使ってあそこまで飛べばこのまま崖に落ちることはないだろうがそれ自体も賭けみたいなものだがどうする??」

「ここは色々と考えてる時間もないわね。

私とクーリアはスペルの爆風を利用して移動するから何かあれば助けて頂戴。

だからムクロたちは先に飛んで。」

クーリアはムクロたちの言葉を聞くと表情が凍り付き・・・表情が戻るには

にはそう時間もかからず。

エリエントに言われた通りに爆発系の呪文のチャージを開始し、ムクロたちは加速スキルをフルに発動したのだが―――――――――



「私まだ加速スキルなんて使えないわよ!?

でもこのままじゃ・・・・うぅぅ・・・どうしたら・・・ひゃうッ!?

む、ムクロ・・・私をおぶってたらムクロも落ちちゃうわよ!

だから私の事はいいから・・・うん・・・」

「ん?どうしたんだ?いつもの高貴なプライドを持ったヴァニスはどこへ行っちまったんだ??

いつもなら私をどんな手段を使ってでもとかいうはずだろ??

ほら、ヴァニスの本音はどうなんだ??」

「ムクロ早くしないと時間がないわよ!!!」

エリエントの言葉に急かされたように感じたヴァニスは一緒に行きたいと叫ぶと。

ムクロは全力の加速をかけて走り出し・・・・見事ヴァニスを連れて崖を突破し。

爆風に乗ってやって来たクーリアとエリエントが合流すると、無事に辿り着いたと各自はホッと胸を撫で下ろしていた――――――――

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