第449話 クジ運の悪さ

――――――――――――――イベントダンジョン:宝探し


 急な出来事で未だに息が整わずに震えているクーリアにムクロが声をかけると。

クーリアは爆発や飛び込む際に驚いたのではなくムクロが急にヴァニスを背に乗せたことに怒りを抱えていたらしく。

ユリハ達もその話を聞いてジッとムクロを見つめていた。



「いや、アレは・・・その・・・ヴァニスが加速スキル使えないって言うから助けようとしたんだ。

それにこうやって無事にヴァニスは助かってるからいいんじゃないか??」

「いや、全然良くないよ!!!私なんてエリと爆死しかけたんだよ!?

そんな危険なダイビングをせずにムクロッちの背中にぴったりフィットなんてッ!!!」

「わ、私は別にそこまで抱き着いてなんか・・・・

それに高貴な私を背に乗せれたことを光栄に思ってもいいのよ!!!」

「うむ、この様子から見るにヴァニス達は問題ないと言った感じだな。

ユリハも大丈夫か??なんだか目が怖いのだが・・・・」

「うぅぅ~~~私も加速スキル使えないとか言えばよかったかなぁ?

何だか何でもできるようになっちゃうとムクロ君から少しずつ離れていっちゃう気がして・・・その、寂しいかなって・・・・」

ユリハの言葉にミストはそっと笑みで返すと、ムクロはそんなに薄情じゃないと言ってムクロに近づいてくと。

ユリハも自分に言い聞かせるようにして近づくとこのイベントの目玉である宝箱開封が行われようとしていた。



「まぁ、私はそれ以上何も言わないよ!!

だってこの大きな光る宝箱を開封できるんだから!!!

さぁ~~~開けちゃうよぉ~~~せやッ!!!」

クーリアが勢いよく宝箱を開くとムクロたちにクエストクリアの表示が現れ。

各自にアイテムの報酬が振り分けられていた。

それらのアイテムを見つめてからムクロたちに数分の沈黙が訪れ・・・・

その沈黙を一目散にぶち破ったのは何を隠そうクーリアであった。



「やった!!!やったやった!!!黄金の髑髏とダイアモンドスフィアゲット!!!!いやっほぉ~~~本当にムクロッちたち手伝ってくれてあんがとね!!!!

あぁ~~最高のコレクションが増えたよぉ~~~アハハ~~~シアワセェ・・・」

「ふふ、クーリアってば本当に嬉しそうだね。

私の方には永久機関電池とか無限の宝玉とかすごい名前のアイテムが多いけど・・・何に使うのかな??」

「それって隠しレアアイテムじゃないのかしら?

クエスト欄に書いてある?の部分のアイテムだと思うわよ。

それを知ったら大概クーリアが煩いのだけれど・・・・・」

「私の方にもドラゴンの宝玉石がドロップしてるな。

ムクロは何かあったか??」

「俺はそうだな・・・・古の牙歯車とか呪術王の杖とかだな。」

「私はどれがどういいかなんてどうだっていいわ。

何しろお金なんて山ほどあるから欲しい時に何でも変えちゃうし?

だけど・・・こう言うムクロたちの時だけはお金の力に頼らない方がよさそうよね・・・・うん・・・しょうがないわね!!!私もムクロたちレベルに合わせてあげるわ!!!

私のドロップしたのは・・・えぇっと・・・深淵の勾玉とこの鑑定しないとわからないアクセサリーかしら??」

クーリアは自分の持っているアイテムがレア度の高いアイテムだと知りつつも隠しアイテムが出ていない事に悲しみを覚え。

ムクロの足元で駄々をこね始めた。



「うわぁぁぁ~~~どうして私よりもムクロッちたちの方がいいアイテム出るのさぁ~~~~私だってメチャ頑張ったじゃん!!!これだけやっても隠しアイテムの1つも出ないなんてインチキじゃんかぁ~~~~こうなったら運営に文句言ってやるぅ・・・・・ハァハァ。」

「お、おい・・・クーリア・・・これも運だ、また別のクエストにでも運が向いてくるはずだから気にせずホームに戻らないか??

やっと危険なダンジョンをクリアしたんだぞ??それだけで十分―――――――」

ミストの言葉にクーリアは納得できず・・・ムクロは自分がドロップしたアイテムをクーリアに手渡した。



「クーリアはコレで満足するのなら俺のドロップしたアイテムをやるけど・・・

これってさレアアイテムの入手法だったらだが。」

「ぐぐッ・・・ぐあぁ・・・・ぐぅ!?

欲しい欲しい欲しひ!!!欲しひぃぃぃ!!!

あぁ~最後の最後でそんなコト言われたら受け取りにくいじゃんかぁぁぁ!!!!」

「手が出ないと言う事はクーリアもわかったようね。

そこで掴んでたらある意味クーリアはすごいのだけれど・・・・

こうやって私たちは時間さえ合えばクーリアとクエストに出かけるのだから今日は帰るわよ。

ムクロもいつまでレアアイテムをチラつかせてるのよ。」

「私も高貴だから上げなくもないけどクーリアの力で入手したアイテムじゃないと意味がないから私が大切に保管しておこうかな。

さぁ~話がまとまったのならホームに帰って高貴なティーブレイクよ!!」

「ヴァニスはこういう時にはハキハキと喋るが・・・場に巣の言った通り今回は我慢して戻ろじゃないか。

―――――――――――また次の機会にだな。」

ミストたちの励ましの言葉にクーリアは我慢すると言って先にポータルに触れて帰還するとムクロたちも追いかけるようにホームへと戻って行った。



「で、ご主人様たちは隠しレアアイテムを入手してが通常アイテムだったと・・・・こういう時に運がないのはクーリアの特権と言いますかある意味運がいいですね。」

「う、うるさいなぁ・・・私だってこうなるなんて思ってなかったよ・・・・

だけどこうやってアイテムを見ると私のゲットしたレアアイテムも本当にいいモノだよぉ~~ウヘヘ・・・・で、さぁ??みんな・・・・何で私と同じようにレアアイテムを引っ張り出して観察してんのさ!?何、嫌がらせなワケ!?」

「あはは・・・ううんそう言うわけじゃないんだけど・・・・

ドロップしたアイテムが希少って言ってたからクーリアみたいに見て見ようかなって思って・・・」

「だがこうやってレアアイテムを見て見ると独特と言うか何か他のアイテムと違って放つオーラが違うと言うか・・・・重みがあると言うか・・・・」

「みんなたっだいまぁ!!!高貴なヴァニスここに無事帰還!!!

見て見て!!!コレ!!!アクセサリーを鑑定してもらってきたのだけれどすごいのよ!!!

各種デバフ態勢とか防御アップに色々入っててね!!!コレで私ってばますますパワーアップしちゃうよ~~~高貴な私って・・・罪ね・・・ふふん♪」

ヴァニスが戻って来るや手に握られた輝かしいアクセサリーの説明をする中・・・クーリアはそのアクセサリーをジッと睨みつけ。

さすがに我慢の限界になったのか部屋に飛び込んでしまった。



「あれ!?クーリアが一番気合を入れて見せて欲しいって言うと思ったのだけれど・・・・マズかった??」

「あはは・・・うん、ちょっと間が悪かったね。

でもクーリアならきっと大丈夫だよ。

また新しい情報を取って来るって言って出て行くと思うよ。」

「どうだろうな・・・今回のクーリアは少し今までと違うような気がする。

俺、やっぱり心配だから少し様子を見てくることにするかな。

このままモヤモヤしてプレイしても楽しくないしさ。」

「そうだな、コレはムクロに対処させる方がよさそうだ。

悪いがムクロ・・・私たちの分まで頼んだ。」

みんなの期待を受けたムクロはクーリアの部屋をノックして入ると。

クーリアはベッドで金色に光る髑髏を抱いて寝ており。

入ってきたムクロを気にもせずに寝転がったまま天井を見ていた――――――――

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