第396話 殺し屋のギーゼル

――――――――――――ウェーブ戦:第1ウェーブ


 ライザーの連撃を完全に見切った黒いローブを着たプレイヤーは・・・

次はこっちの番と言わんばかりに黒いローブのプレイヤーが双剣を握りしめてライザーに切りかかると。

副団長が攻撃のカバーに入り・・・そのスキに回復させたギルメンが突撃するが・・・・


「ぐ、がぁ・・・・・・ライザー団長・・・がはッ・・・・後は頼みま・・・・す。」

「ぐぅあぁぁぁ!!!クソクソクソクソ!!!

副団は下がってろ!!!それから他の連中をモブに集中させてこっちに近づけさせるな!!!コイツは想像以上にヤバイぞ!!!」

「クク・・・お前1の力だけで俺が止められると思っているのか??

ん?いや・・・お前のおかげで攻撃対象を誘き寄せることに成功した。

ただのエサにしては上出来だ。」

「すまないライザー!!!急に駆けだして見つけるのに時間が・・・・

お前がファムたちの言ってた名無しの・・・黒いローブの・・・・

ライザー・・・コイツに何かされたのか?」

地面を殴りつけるライザーの元に現れたムクロは黒いローブを着た男に注目すると。

ライザーがムクロに忠告をする瞬間にはその男が攻撃を仕掛けていた。


「フム・・・・やはりこの程度の不意打ちでは効果がない・・・か。

噂通りの強さを持つと言う事だな―――――――――

そう言う事ならもっと力を出していくとしよう・・・・」

「何をごちゃごちゃ言っているんだ?戦いは初期の一撃から勝負の流れが大きく変わるって言うのを知らないのか?」

「なッ・・・さっきの一撃の際にダガーで一撃を入れていたなんて・・・・

そんなことよりもライザー団長!!私は仲間たちにモブをそのまま狩るように伝えてくるので・・・・クッ・・・・無茶をしないで!!!

ムクロさん・・・ライザーさんを頼みました!!!」

「ちぇ・・・ムクロに先を越されちまったが・・・・

俺は無茶でも何でもするのを副団長も知ってるだろうに・・・・

まぁ、今回はしゃねぇ・・・・ムクロ・・・俺がカバーするからお前は攻撃に徹しろ。

こういう戦いは慣れっこだ・・・行くぞ!!!」

ライザーギルドの副団長を逃がしてからライザーは黒いフードの男に突撃して攻撃を叩き込むが・・・・双剣の前に切り崩されるが。

そのスキを狙い撃ったムクロの攻撃によってモブのいる方まで弾き飛ばすと。

後方から追いかけてきたクーリアたちが現れ――――――――


「ククク・・・・この攻撃をお前はどうする?

――――――――――ハァァァッ!!!!」

「え?何がどうなって・・・・・えぇ!?」

「クソ・・・間に合わねぇ・・・・すまねぇ・・・ムクロ・・・・」

「うぉぉぉぉぉおおおぉ!!!!間に合えぇぇぇえぇ!!!

―――――――――クイックシフト!!!」

クーリアに向けられて放たれた黒いフードのスキル攻撃を何とかムクロがガードしようと飛び込んだが、その移動が間に合わず・・・クーリアはスキルに飲まれていた。


「がぁ・・・・何コレ・・・モブの攻撃より・・・痛いじゃん・・・・」

「ククク・・・まずは1人目・・・・さぁ・・・次はお前か?それともムクロか?」

「いや、お前だ・・・・」

「なッ!?いつの間に背後を――――――」

クーリアが倒れた際にムクロはクーリアを助けることなく移動し・・・・

黒いフードのプレイヤーに一撃を叩き込むと。

その黒いフードが破れ・・・中から白い肌の死神のようなプレイヤーが現れていた。


「ぐふッ・・・まさか・・・隠密のフードが崩されるとは・・・・

だが・・・ここまで来た時点で隠すことも何もあるまい・・・・

俺は双刃使いの殺し屋・・・ギーゼル。

お前達をヤレととあるモノからの依頼を請け負ったモノだがまさか素性と共に素顔までバレるとは・・・確かに俺に依頼をするわけだ――――――」

「ごちゃごちゃとつまらない話をしてないでかかってきたらどうだ?

お前は俺の仲間とライザーの仲間を攻撃したんだ・・・タダで済むと思うなよ?」

「そうだぜ!!お前は俺の仲間を・・・仲間を・・・ぐッ・・・お前だけは絶対に許せねぇ!!!オラァァァ!!!!!吹き飛びやがれ!!!」

ムクロが飛び出す前にライザーが仕掛けると・・・先ほどの二の舞になると感じたギーゼルはライザーを蹴り倒し。

ムクロを倒そうと双剣をギラっと光らせて突撃してスキルを発動した。


「この距離でこの技をどう避けるか・・・・見せてもらおう!!!!」

「お前の熟練度もまだまだ未熟だな・・・そんな荒っぽいスキルで俺が倒せると思っているのか?

ハァァァァ!!!!ゼイ・・・・ゼイゼイゼイゼイ・・・・ゼイアァァァァアァァ!!!!!」

「スキルを全部・・・剣で粉砕しやがったのか・・・・

流石はムクロだ・・・だが・・・俺の動きは完全に見切られているな。

この状況じゃ俺は足手まといになっちまう・・・・クソ!!!

俺はクーリアの救護をするからムクロはそのクソ野郎を頼んだ!!!」

ライザーは自分がいると戦いが不利になると感じ、クーリアを救護するために駆け付け。

すぐさま回復薬をクーリアに飲ませていると、ギーゼルはムクロの方からライザーとクーリアの方に向かって少しずつ移動を開始した。


「それは俺がトドメをさすために置いているんだ・・・勝手に回復なんてしないでくれないか。

いや・・・お前もついでに消えてろ・・・・」

「俺を前に随分と余裕だな・・・若いの!!!

それなら俺のこのスキルをどうやってしのぐのか見せてくれないか?

――――――――――シャドウクリエイト!!!

―――――――――――――ブレイブダンス!!!!」

「クソ・・・ここにいたら俺たちが狙われるだけだ・・・

すまないがクーリア・・・辛抱してくれよ!!!」

「うぅぅぅ・・・地面が浮いてる??ん?尻尾??」

意識がフワフワとしているクーリアをライザーが抱きかかえ。

ファムたちのいる方へ全速力で駆け出し。

その後方ではムクロのスキルをギリギリでガードをして凌いでいるギーゼルがいた。


「ぐあぁ・・・ハァハァハァ・・・・まさか・・・この俺が・・・このプレイヤー1人にこの有様とは・・・・ぐはッ・・・ついに俺もヤキが回ったか・・・

それに・・・ムクロのその底知れない強さ・・・一体お前は何者なんだ?」

「俺はただのプレイヤーだ。

それ以上でも以下でもない・・・プレイヤーさ。

で、この戦いはどうする・・・このまま俺たちを追いかけ続けると言うのならいつでも相手になってやる。

その時は

お前がこの時点で手を引くと言うのであれば・・・俺たちはお前を見過ごし。

名前と素顔の公表をしないと約束してやるがどうする?」

ムクロは暗殺を仕掛けてきたギーゼルに面倒事がこれ以上広がらないようにと提案すると。

ギーゼルは自身の体力とスキル状況を確認し・・・ムクロの体力バーを確認すると、どうやっても勝てないだろうと言う結果から指令されたモノにはキルをしておいたという名目で伝えておくと語り。

双剣をしまって姿を消すと、ムクロもその場から離れ・・・ライザー達の走って行った方向に向かうと――――――――――


「おッ!!ムクロ!!!で・・・あの野郎はどうなったんだ?倒したのか?

それとも逃げたか?アイツはすばしっこい野郎だからムクロの強さにビビって逃げたに違いないだろうが・・・・」

「あぁ・・・ヤツは今後一切俺達には手を出さないと言う条件で交渉して

だが、安心しろ・・・・ライザーたちにも手を出させないように断わっておいた。」

「うぅぅ・・・いやいや・・・私がこんなことになっているのに生け捕りにして連れてこないとかムクロッちって本当に私の事を大切に思ってたりする?

それとも私だからこの程度で良いとか思ってない?」

何とか回復したクーリアヴァニスに支えられながらやって来ると。

ムクロに飛び掛かって手でポカポカと殴りつけていた―――――――――

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