第393話 行きたい場所

―――――――――――――デパート内


悠一はフラフラになり・・・由里と共に椅子で休憩していると。

由里のブロッサムにメールが入ったのか、内容を読むと・・・それは姉さん達からのメールで。

今、買い物が終わったからとどこかで合流しようと書かれており。

悠一がこの状況であることから由里は3人にバッティングセンターまで来るように連絡をすると・・・・・


「あぁ~もう・・・悠一は本当にグロリア以外だと全然ダメダメだね。

本当に大丈夫??で、何で2人はバッティングセンターにいるわけ?

悠一が来たがるワケでもないし・・・・コレは怪しい・・・」

「そうね、何かを隠しているのは確かだけれど・・・

私たちも涼孤さんと色々と楽しんだからお相子と言うところかしらね?」

「その件については他言無用で頼む。

何せ・・・その・・・悠一に知られたくない事だからな。

で、悠一はいつまで由里さんにもたれかかっている気なのだ?」

ひとまずこの場にいれば他の人たちに迷惑になると考えた姉さんたちは。

フラフラな悠一を立たせて・・・先ほどまでいた喫茶店にやって来ると、コーヒーを注文して席に着いたのだが―――――――――


「あれ?由里・・・コーヒー飲まないの?

いつもここに来たらホイップ増しのコーヒー頼んでたよね?

あれれ~~もしかして・・・2人とも先にここでコーヒーとか美味しいもの食べたでしょ!?

あぁ~もう!!ズルイズルイ!!涼孤さんの下着を選んでる間にラブラブデートするなんてズルイよ!!」

「ちょっと耀子・・・それ以上言ったら涼孤さんに悪いよ。

ごめんなさい涼孤さん・・・私たちここで先にお茶をしてて―――――」

「いや、構わない・・・ただ・・・私のしていたことが悠一に暴露された事実に対してダメージが・・・ハハハ。」

「ん・・・やっとフラフラがマシになった・・・

さっき何か買って来たって聞こえたけど・・・2人も何か買ったのか?」

「えぇ、私も耀子も新しい下着を買ったのよ。

でも・・・ふふ・・・そうね・・・悠一が見たいって言うのなら見せてあげなくもないわよ?」

コトハの言葉に由里と姉さんは同時にそれは駄目だと強く発言すると・・・

耀子もコトハに負けじと下着の入った袋をテーブルに取り出していた。


「私もぉ~新しい下着を買ったんだけどぉ・・・悠一ぃ・・・見たい?」

「い、いや・・・俺は遠慮しておくかな・・・あはは。

それよりも由里と姉さんの視線が怖い・・・」

「由里に涼孤さん・・・これは悠一に悪戯をしているだけだから気にしないで。

耀子もそこまでバカじゃないと思うから。

でも・・・先にここで2人がお茶をしていた事は仕方ないとして。

他に何かしてたりするのかしら?」

「え?あとは・・・そこにあるドーナツ屋に行って2人でドーナツを食べたくらい・・・かな?」

「何ッ!?コーヒーを2人っきりで飲んだだけでなく・・・・ドーナツも2人で・・・悠一ィ~私とはあまり一緒に飲み食いしてくれないのに由里さんとはするのだな・・・・ぐぅぅ・・・悠一はお姉ちゃんのことが嫌いになったのか!?」

急に姉さんの態度が変わったことに悠一は焦り・・・そうじゃないと答えてから続けて時間があればちゃんと付き合うと念を押して語ると。

姉さんは見えないところでガッツポーズをとり・・・・ケロッとした表情でコーヒーを飲みなおし―――――――


「へぇ~悠一たちは先にドーナツの食べさせ合いをしてたのね。

本当に別行動中だって言うのにデート気分で悠一は気楽でいいわね。」

「あはは・・・でも、姉さんたちの用事がこれで済んだのならコレで解散なのか?

それとも他に用事は?」

「私のやりたいことは基本的に悠一と一緒にお出かけさえできればどこでもOKなのだが・・・・耀子さんにコトハさんはどこか行きたいところがあるのなら行ってくれて構わない。

何せ今日は私の用事で振り回してしまったからな。」

「え!?いいの!!それじゃ~~ん~~どこに行こうかなぁ~~

やっぱりゲーセン?でもでも最近オイシイ景品置いてないし・・・・むぅ。

急に言われてもわからないからコトハが先に行きたいところを指定していいよ。

私はラストに取っておくから。」

「あれ?私は行きたいところを指定できないの?」

「私たちがここに戻って来るまでに好き放題に悠一を独占してたから由里は文句を言えないと思うのだけれど?

で、行きたいところ・・・ねぇ・・・そうね。

私もあまりココに行きたいって言うところがあるわけじゃないのだけれど。

それじゃ・・・私は本屋さんにでもしておこうかしら。」

コトハの一言で次に向かう場所が決まると。

姉さんたちはコーヒーを飲み干してすぐにデパート内にある本屋に向かった。


「それじゃここで自由に見て回って・・・用事が終わったらこの地点で合流しよう。」

「はい、わかりました。

それじゃ私も読んでる本の続きが出てないか見ようかな。」

「へぇ~由里って本読んでるんだ。

漫画?小説?それともアレな本だったり??」

「本当に耀子は全く・・・それじゃ暇そうな悠一・・・見に行くコーナーがないのなら私に付き合いなさい。」

「あはは・・・お手柔らかに頼む。」

コトハの命令からは悠一は逃げることができず・・・腕を組まれながら2人は手料理コーナーへとやって来ると。

コトハは色々な本を読みながら悠一に今度の弁当で食べたいおかずはないかと尋ねて来た。


「そうだな・・・俺はコトハの作ったから揚げの味付けが好きだから。

こったモノよりもコトハのから揚げが食べたいな。

これじゃ・・・参考にならないか?」

「ふふ・・・本当に悠一ってば・・・新作を注文して欲しかったのだけれど。

そう・・・そこまで私のから揚げが美味しかったのね。

あと・・・その・・・も・・・美味しかったのかしら?」

コトハは2人よりも美味しかったのかと尋ねると・・・悠一は苦笑いしながら頷くと。

コトハは料理の本を片付け・・・明日のお昼を楽しみにしているようにとだけ言って本を買わずに悠一と腕を組みなおして本屋を出てくると。

先に姉さんが本を読んで待っていた。


「2人とも・・・はやい・・・にゃッ!?な、何で2人は腕を組んでいるんだ!!

今回は行きたい場所を指定できる権利を与えたが悠一を好きに扱える権利まで上げた覚えはないぞ!!!

だ、だからホラ!!2人とも離れるんだ!!」

「ふふ・・・涼孤さんの頼みだから仕方ないけど。

もしも悠一が私と腕を組みたくなったらいつでも言いなさい・・・私の腕は悠一の為にとっておくから。」

「あはは・・・姉さん・・・離れたからそんなに興奮しないでくれ。

で、姉さんはなんの本を買ったんだ?」

悠一はこの場の流れを変えようと姉さんに呼んでいる本の内容を尋ねると。

グロリアが舞台となっているライトノベルと言って悠一も少しだけ中身を読ませてもらうと。

1人の冒険者が仲間たちと共にダンジョンに隠された謎のエリアを調査していくと言う内容で・・・その小説が気に入ったのか悠一は読み終わったら是非とも読ませて欲しいと尋ねると。

姉さんはもちろんと二つ返事で返し・・・・3人は由里と耀子を待っていると。

数分後に2人が本を買って戻ってきた。


「いやぁ~ごみんにぃ~~思ったよりも欲しい本が色々と出てて選ぶのに苦労したよ。」

「私も欲しい本を探してたら遅れちゃったよ・・・ごめんなさい。」

「いや、2人を待っている間に良い所まで小説が読めたから助かった。

それじゃ今度は耀子の番だが・・・どこに行きたいんだ?」

「どうせ耀子の事だからゲーセンとか低俗な所じゃないかしら?」

コトハのとげのある言葉に耀子はぷんぷんと頬を膨らませながら怒ると。

行きたい場所を指定し・・・移動を開始した―――――――――

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