第392話 デパートで過ごす甘い時間

――――――――――――――――商店街:料理店


耀子のパスタを一口貰ってから由里のパスタを食べるだけで話が終わると踏んでいた悠一だったが。

その想像は簡単にぶち壊され・・・・隣にいた姉さんからもパスタをもらい。

口の中が色々な味でもはやどれがどう美味しいのかわからない状態から由里達はどのパスタが美味しかったのか尋ねてきた。


「もっちろん私のパスタが一番美味しかったよね!!

このキノコとバターのパスタは最高だよ!!

和風パスタって言うのかな?ほんのりと醤油の味がして・・・・」

「わ、私の方も・・・みんなに負けてないいい味だったと思うよ。

でもそれを決めるのは悠一君だから・・・素直に答えてくれていいよ。」

「そうね・・・ソレがわかれば悠一の味の好みがわかるモノね。

由里のカルボナーラか耀子の和風パスタか涼孤さんの明太子パスタのどれが美味しかったのかしら?」

「悠一・・・どうなんだ?私の明太パスタはダメなのか?」

この中で悠一はどれが自分好みの味かと問われ・・・素直に姉さんの明太子パスタを選ぶと。

姉さんは悠一の頭を撫でて喜んでいた。


「そうかそうか!!!私の明太子パスタが美味しかったか!!

それならまた家でもパスタを作ってあげるから楽しみにしていてくれ!!

私の自慢の腕を悠一の為に振るおうじゃないか!!」

「あはは・・・姉さん・・・もうちょっとだけ静かに・・・」

「ぐぅ・・・まさかこんな結果になるとは・・・でもでも・・・よく考えてみたら涼孤さんと悠一っていつも同じ味付けを食べてるからそっちに転ぶ確率の方が高いんじゃない?」

「言われてみればそうね・・・でも・・・この様子を前にそれを言うのは無理ね。

でも2人はそんな事よりも「アーン」ができた事の方が嬉しいんじゃないのかしら?」

「そう・・かもね・・・でも、本当にこのパスタが美味しくて食べてもらいたかったのは事実だよ。

だけど・・・明太子パスタが悠一君の好みの味なんだね。

だったら私も明太子パスタを練習しとかないと。」

由里はそう言ってガッツポーズを1人ですると・・・残ったカルボナーラをパクパクと食べ始め。

それを見た悠一たちも待たせないようにと同じように食べ。

食べ終えるとこれからどこかに行くのかと言う話になり、姉さんはデパートに行きたいと言うと。

由里達も同意してデパートに向かって移動を開始した。


「で、姉さんはここで何を買いに来たんだ?」

「そ・・・それは・・・その・・・えっと由里耳を貸してくれ・・・その、コショコショ。」

「あぁ・・・はい、わかりました。

悠一君は私と一緒にこっちで休憩しよ?」

「えぇ~ずる~い!!悠一はみんなのモノだよ!!

由里だけの独占はって・・・・りょ、涼孤さん!?あぁ~~~手を放して~~

――――――――――――悠一ぃ~~悠一ぃ~~~」

「何をヒロインを気取っているの?

こういう場合は長いものに巻かれろよ・・・でもどこに行くのかしらね。」

2人の手をぐいぐいと引っ張って姉さんがどこかへ行ってしまうと。

悠一は由里に背中を押されてカフェに入り・・・時間を潰すこととなり。

その際に悠一は由里に姉さんがどこに行ったのか尋ねた。


「もう・・・悠一君・・・せっかく秘密にしてここに来たのにそれを聞いたら意味ないと思うんだけど・・・

でも、今さら後を追いかける事なんてないと思うからここだけの秘密だよ?

その・・・涼孤さんは新しい・・・その・・・下着を買いに行っただけだよ。

それに伴って2人にデザインを見てもらおうと連れて行ったの。

これが悠一君の聞きたがっていた答えだけど・・・納得した?」

「あ、あぁ・・・あはは・・・今回の話は流す方がよさそうだな・・・

無理に聞いたりして悪かったな・・・ここは俺が奢るから好きなものを注文してくれ。

悠一はそう言ってメニュー表を渡すと・・・由里はニコニコと喜びながらメニューを見ると。

すぐに注文を入れ、すぐに2人の注文した商品が届いたのだが――――――――――


「えぇっと・・・由里・・・それ・・・ホイップ多すぎないか?

そんなに甘いもの飲んだら・・・ふと――――――――」

「ゆ、悠一君!?そ、それ以上は言っちゃダメ!!!

わ、私だって・・・その・・・大切な人に太るとか言われなくないよ!!

そ・・・それに大丈夫だよ!!ちゃんと運動とかしてるから。

そ、それとは別に悠一君はブラックコーヒー?」

由里はホイップが大量に乗せられたコーヒーを飲みながら悠一のコーヒーについて聞き返してくると。

悠一は他にどういうものなのかイマイチよくわからなかったからコレにしたと答えると。

由里は少しだけクスクスと笑いだした。


「ご、ごめんね・・・でも・・・フフ。

悠一君ってグロリアじゃ本当に物知りなのに現実だと本当に何も知らないって感じだね。

それじゃ・・・ん~この近くにあるドーナツ屋とか知ってる?」

「ドーナツ?姉さんが時々おやつにって作ってくれるアレか?

その、外食は姉さんとしかあまりしないからその店も知らないな。」

悠一の回答に由里はそれならばとコーヒーをもって悠一を引っ張って近くにあるドーナツ屋にやって来ると・・・今までに見たこともない数の種類のドーナツが並べてあった。


「へぇ~ドーナツってこんなに種類があったのか・・・・

でも、思ったんだが・・・由里って本当に甘いものが好きなんだな。」

「も、もう!!!お、女の子はみんな甘いものが好きなんですぅ!!

た、体重の事はこの際気にしないで・・・悠一君はどれがいい?

私のおススメはこのもっちりリングだよ。」

トングとトレーを持つ由里の手元にはお勧め以外の商品が並べられており。

これを全部食べるのかと聞けば間違いなく怒ると悟った悠一は・・・由里のおススメしたリングだけ買って席に着くと。

由里は悠一にまずは一口と言って先に食べることを勧められた。


「そ、それじゃ・・・・あむあむ・・・

お~これはもっちもっちしてるな。

例えると何だ・・・・あ~グロリアにあるバウンドマッシュの触感だ。」

「も、モブで例えるのはどうかと思うよ・・・あはは。

で、でも・・・この触感は本当に独特で美味しいんだよねぇ~

あとはこのホイップの入った・・・あ・・・・あはは・・・悠一君その・・・

あまりじろじろ見られるとその・・・ちょっと恥ずかしい・・・かな。」

大きな口で食べようとした由里をじっと見つめる悠一に気が付き。

恥ずかしくない程度にパクパクとかじって食べ始め。

悠一は徐に味の感想を尋ねた。


「ん~やっぱりここのドーナツは美味しいよ。

コーヒーにもなんにでも合うし・・・こうやって誰かと一緒に食べるのにも最高なんだよ。

悠一君は気に入ってくれたかな?」

「あぁ、由里が大胆にドーナツを食べる姿が新鮮でよかったよ。

何でも美味しそうに食べる由里が微笑ましいって言うか。

可愛いって・・・いうか・・・アハハ。」

由里は悠一の返答に照れだし・・・また一つ新たなドーナツに手を付け始め。

お皿に乗っていたドーナツを全部食べてしまうと。

由里は食べたドーナツとホイップを増して飲んだコーヒーの事を計算し、とっさに運動をしようと言って悠一をバッティングセンターに連れ出した。


「さぁ~悠一君!!どっちが沢山の玉を撃ち返せるか勝負だよ!!」

「あはは・・・お手や分からに頼む。

こっちはこう見えてインドア派だからな。」

由里はプレイカードを悠一に渡すと・・・すぐにバットを持ってプレイを開始し始め。

由里はスポーツもできるらしく、打ち出された球を全て打ち返しており。

それを見た悠一はこれがグロリア内ならまだいい戦いができただろうと呟き。

由里と交代してプレイすると・・・案の定の結果でフラフラになっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る