第374話 教え上手な由里との宿題
―――――――――――――――下校中:デパート内
悠一は耀子からひと口分のアイスをもらい、味の感想を言うと。
耀子が気に入っているフレーバーらしく・・・自信満々に美味しい食べ方を伝授してから再び食べようとしていたが――――――――
「ん?待て待て待て私ッ!!
これって・・・意識して無かったけど・・・か、かかか・・・間接キスなんじゃない!?
そ、それでは・・・・いただきまぁす!!」
「ちょっと耀子?聞いてるの?」
「耀子~コトハが呼んでいるぞ~お~い。」
耀子がスプーンを口に含もうとした瞬間、コトハの少しだけ大きな声にびっくりしたのか・・・・耀子の食べかけたアイスのスプーンが転がると。
耀子は両膝をついて絶望していた。
「な、どうしたのよ・・・スプーンが落ちたのなら換えればいいじゃない。
で、荷物を持つのを手伝って欲しいのだけれど?」
「なら、俺が行くかな。
力仕事は俺がいないとだろ?
それと・・・耀子?大丈夫か?」
「うぅぅぅ・・・・千載一遇のチャンスが・・・・ぐぅぅ・・・このチャンスは明日に持ち越しだよッ!!!荷物持ちでしょ!!私も手伝うから任せて!!!
悠一!!レジの人から換えのスプーンもらってきて!!」
耀子は悲しげな声を出しながら悠一に指示してスプーンを受け取ると。
秒速でカップアイスを食べ、由里達が購入した材料のレジ袋と無くなっていた自宅の米を手分けしてもって悠一たちの家に帰還した。
「はぁはぁ・・・結構お米って重いんだよなぁ・・・それにあの距離は長い・・・・うぅぅ・・・腰が少しだけ痛い――――――」
「何、おじいちゃんみたいなこと言ってんの?
悠一も私たちもまだまだ10代なんだよ?コレくらいでへばってちゃだめだと思うよ?」
「何だか今日の耀子は勇ましいわね。
何か自信を奮い立たせる何かがあったの?」
「悠一君お疲れ様。
本当に男手があると重いものが運べて助かっちゃったね。」
「そうだな、悠一と買い物をして帰る時はいつもレジ袋をもってくれるが。
今日はお米が安くてついつい重い方を狩ってしまって・・・悪かったな。
あと、みんなもご苦労だった。
帰って来て早速だが・・・茶の間でお茶でも飲みながら宿題でもしないか?
明日の為にも宿題を終わらせておいた方が楽だろ?
それと、今日はウチで夕食を食べていくといい。」
そう言って姉さんは耀子たちに言ってから台所で夕食を作り始め。
そのあいだ、悠一たちはリビングで宿題を始めた。
「あ、悠一君ここ間違ってるよ?
ここはこうしてから・・・ここを・・・・こうね?」
「あぁ・・・そういう事か。
今日習ったばかりで少し油断していた。」
「んん~~コレがこうなってこうしてこう?
コトハ~ここってコレで合ってる?」
「見せて、ん・・・これは全然違うわね。
まずこの数値はどこから出て来たのよ。
それに・・・しっかりやらないと赤点でも取ったら補修で夏休みが削れるわよ?」
悠一たちは数学のプリントをしており、由里は悠一の隣で古文の宿題をしながら間違いを指摘し。
耀子とコトハも同じように宿題をしていたのだが、耀子は数学が苦手なのか大の字になって倒れていた。
「あぁぁ~~~こんなんじゃ本当に赤点で夏が終わっちゃうよ~~~
ん~もっとわかりやすかったらいいんだけど・・・」
「解き方を先生が説明している間によそ見してるからでしょ。
そんなだから問題が解けないのよ。
もっと予習と復習をして覚えなおすことね。」
「あはは・・・コトハは本当に容赦ないな。
でも、それしかないよな・・・・それか頭のいい由里に教えてもらったらどうだ?
由里の説明は俺よりも分かりやすいしさ。」
「そ、そうかな?
でも・・・悠一君がそう言ってくれるのならそうなのかも。
だから私に教えられるところがあったら協力するよ。
答えを教えるだけはできないけど解き方とかのお手伝いなら任せて。」
由里が優しく語りかけると、耀子はコトハの隣から由里の方に移動して。
教科書を見ながらプリントを解いていると・・・・
「あ、耀子・・・こことここが間違ってるよ。
あとこことここも。
この問題は教科書の・・・コレかな。
で、こっちのはコレで解けるはずだから試してみて!」
「う、うん・・・コトハより優しくなったけど・・・何だろ・・・殆どの問題が間違っている・・・コレはこれでダメージがあるんだけど・・・由里の教えてくれた方法で試してみるよ・・・トホホ・・・」
「あはは・・・ドンマイ。
よし・・・後はココをこうしてっと・・・・宿題完了っと。」
「やっぱり、悠一はやり方のコツを掴むとすぐにモノにするわね。
それなのにどうして料理だけはダメなのか不思議ね。」
コトハの毒のある言い方に悠一は苦笑いをしながら部屋に戻り、服を着替えて戻って来ると。
コトハも宿題が終わっており、耀子の宿題を待つだけとなっていた。
「そうそう!!そうだよ耀子!!ちゃんとできてるよ!!」
「わ、私だってここまで言われたらできるよ!!
殆ど由里のあぁ~とか変な声に誘導されてる感しかなかったけど・・・
そのおかげか何とか自分で解けるようになったよ。
はい、コレでおしまい!!!ハァァァ~~~づがれだぁ~~~」
「お疲れ様ね、でも・・・本番は今日の夜からのグロリアと明日の調理よ。
あと・・・耀子の注文していた杖はそろそろできてるんじゃないかしら?」
「そう言えば耀子の杖ってまだ完成して無かったんだっけ?
それならこれから取りに行ってみたら?」
由里達に言われ、耀子は思い出したかのようにブロッサムを起動し。
グロリアにログインしてガヘリスの所に向かい――――――――――――
「遅いな・・・一緒に行った方がよかったか?」
「きっと試し撃ちに力が入って遊んでるんだと思うわ。
いつもの事でしょ・・・
それに、何かあれば悠一なり私たちにチャットが来るはずだから大丈夫よ。
耀子もそこまで弱いわけじゃないのだから。」
「そうだね、耀子とは割と最初から一緒にプレイしてたけど。
すごく成長したよね!!私ももっと強くなれるように頑張らなくっちゃ!」
「あはは、由里は十分強いじゃないか。
まださらに上を目指すのか?」
悠一の問いに由里やコトハは悠一とサシでPVPをして勝つまでは強くなるのを止めないと断言すると。
グロリアから戻ってきた耀子が騒ぎ出していた。
「うぉぉぉっしゃぁぁ!!!武器がメチャクチャパワーアップしちゃったよ!!!
これでどんな相手でも負けることはないかも!!!ウシシ・・・・」
「何だかご機嫌だな・・・夕食の準備ができたから運ぶのを手伝ってくれないか?」
「私、手伝います。」
「それじゃ私も、悠一は耀子の自慢話でも聞いてあげてたら?
と、言うよりも聞いてあげなさい・・・後でぐだぐだと説明されるのも面倒だから。」
「えぇ・・・まぁ、いっか。
で、耀子・・・武器はどう良くなったんだ?」
悠一は耀子に杖の性能を尋ねると、ニヤニヤとしながら特殊スキルが幾つかついたことや。
強化される項目が多いだとか大雑把に説明し・・・今日の夜から行うポイント集めに期待していて欲しいとだけ最後に答えると。
夕食がテーブルに並べられていた。
「さぁ、夕食を食べようか。
私が作った軽いモノだが・・・たんと食べて行ってくれ。」
「これで軽いって・・・涼孤さんの料理ステータスが未知数なんだけど!?
ねぇ由里・・・前々から思ってたんだけど涼孤さんのこの神がかった家事スキルは何だと思う?」
「きっと・・・悠一君の為に頑張ってきた証だと思うよ。
それに涼孤さん!!どれもすごく美味しそう!!」
「そうね、私の作る料理とはコンセプトが違うからいい勉強になるわ。」
そう言って悠一たちは夕食を食べ始め、賑やかな食事をしつつ作り方や味の評価をしながら時間が流れ。
由里達は日が暮れて暗くなる前に家に戻って行った―――――――――――――
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