第361話 ギルド「赤の戒め」の戦い

―――――――――――――中級層:奥地


ムクロは森の中を加速スキルを使って駆けだし・・・・ユキシロの叫び声が聞こえた方に辿り着くと。

そこには負傷したユキシロをファムが必死に手当てをしていた。


「ユキシロもう大丈夫だからね!!少しだけ痛むかもしれないけど我慢してね。

きっと誰かが・・・・あ、ムクロ!!!」

「どうしたんだ!!さっきのユキシロの悲鳴は。

それに・・・この損傷具合・・・背後からのクリティカルだな。」

「ぬぅ・・・主殿ォ・・・はぁはぁ・・・聞いて欲しいのじゃ。

アタイを背後から襲った相手は・・・プレイヤーなのじゃ。

それも・・・ぐぅ・・・姿と気配を感じなかった幽霊のようなプレイヤーなのじゃ。」

ユキシロの言葉にムクロは剣の振りかざされる音が聞こえ。

その音のする方向に剣を出してガードをすると。

そこには何も無いはずなのだが・・・剣同士がぶつかり合って出す音が響いており。

ムクロはその剣を振るうモノを全力で吹き飛ばした。


「・・・・ッあぁ!?」

「姿が見えた!?あれが・・・・ユキシロを襲った正体!?」

「あぁ・・・賞金稼ぎ系の荒らしギルドか何かだろ。

名前が真っ赤だ・・・・それに名前を隠すほどの隠密スキル。

本当に面倒な野郎だ。」

「ぬぅ・・・・」

ムクロは相手が立ち上がる前にユキシロを連れて逃げるようにファムに告げると。

その男はゆっくりと立ち上がり・・・剣を構え。

ムクロに襲い掛かった。


「フッ!!!フンッ!!!ハァ!!!」

「遅いッ!!!ゼイアアァァァ!!!!やったか?ぐあぁ・・・・そうか。

始めからそういう事だったのか・・・・お前ら・・・・」

「気付いたからとてすでに取り囲んでお前は我らの胃の中よ。

だが、攻撃を止めて反撃をしたお前にせめてもの褒美として我らの名を覚えてから冥府に消えるのも悪くは無かろう。

我らのギルドは名を赤く染めた赤き隠者集団・・・「赤の戒め」だ。

そして、この場を我らがギルドがもらい受けよう。」

男との戦闘に決着がついたかと思った矢先、背後からの一撃にムクロはダメージを受け。

「赤の戒め」と語るギルドに囲まれていた。


「そうかよ・・・お前らが掲示板で噂になってる暗殺集団か。

どいつもこいつも名前が真っ赤で・・・お前ら全員プレイヤーキルがそんなに楽しいのか!!」

「あぁ・・・現実ではできない事ができるからこの世界は楽しいんだ。

それに我らはザコを屠り楽しむゲスではない。

お前達のような強者を狙う・・・強者狩りを重んじている。

そして・・・お前はその対象者にふさわしい。

さぁ、最後の最後まで暴れて華々しく散ってくれ・・・・強者ムクロ。」

「ハァァァァ!!!!死ねぇぇぇ!!!」

「ムクロ君!!!目を閉じて伏せて!!!」

ユリハの声が聞こえたと思えば・・・目の前が激しく光り。

次の瞬間にはユリハに連れられて拠点に戻るルートを全速力で走っていた。


「ムクロ君大丈夫?ダメージがあるみたいだけど・・・」

「あぁ・・・ちょっと気配を断つのがうまい連中でやられたが。

ユリハ・・・もうこの辺でいい。

スピードは奴らの方が上手だ・・・だが、それとは別に俺にケンカを売ったんだ。

奴らには誰にケンカを売っているのか覚えてもらう必要がある。

これも長い間プレイしてきたクセみたいなものだな・・・・」

「ほう・・・気付かれていないと思っていたが・・・ここまでやるとは・・・

ならば・・・小細工なしでやり合うのみと見た。

さぁ・・・心行くまで潰し合おう。」

ムクロは負傷した体にムチを打ち・・・背後から襲い掛かる男をスキルを使わずに一瞬でキルをして見せると。

集団は立ち止まり、陣形を変えて突撃してきたが・・・・


「あと4人・・・ユリハ!!!援護を頼む!!」

「任せて!!!

――――――――――――4連星突きフォースターレイン!!!」

「ぐあぁぁぁ!!!」

「この女もなかなかの腕だ・・・・他の者はその女を狙え。

俺はこっちのムクロとサシで仕掛ける・・・・さぁ、コレで本当の一騎打ち。

お前の神髄を見せてもらうぞ!!!!」

ユリハの助太刀で1人のプレイヤーを倒すと、残った3人となり。

ユリハの方には2人が囲みムクロの方には1人の猛者。

それらから考え2人は互いに背中を合わせてから互いの意識を集中させ。

互いの手の甲を合わせて合図をすると。

ムクロは2人の男をキルし・・・ユリハはギリギリダメージを受けつつその男に致命打を与えていた。


「ぐ、ぐぅぅう・・・・ガハハハ・・・・こんな所で散るとは。

まだまだ力が足りなんだ・・・・出直すとしよう。」

「力が足りないんじゃない・・・お前には仲間がいたが頼らなかった。

それが負けた原因だ。」

「私たちは互いに信頼しているから背中も前も任せられるの。

だから私たちは絶対に負けない。」

2人の言葉を聞いた男は、クスクスと笑みをこぼしながら消えて行き。

その場に他のプレイヤーがいない事を確認した後、すぐにユリハはムクロの背中の手当てを始めた。


「で、2人は・・・大丈夫なのか?」

「うん・・・2人とも平気だよ。

今のムクロ君の方が危なかったくらいだよ・・・でも。

今回は私をちゃんと頼ってくれたし。

2人を全力で逃がそうとしたのが伝わったから私は怒ってないよ・・・エヘヘ。」

そう言いながらユリハに治療を受けていると後方からクーリアとエリも援護にやって来ていたが。


「んえ?戦闘はどうなったの??まだどこかに隠れてんじゃない??

エリ!気配は??2人の言って立見えない攻撃に注意して!!」

「クーリア、ユリハとムクロの状況を見てみなさいよ。

2人がこうして回復しているって言う事は無事に戦闘が終わったってこ事よ。

それにしても1日でキルできる数に殆ど制限がなくなったこともあってPKが横行しているみたいよ。

それも中級層のある程度の知識を持った連中が・・・でも話を聞く限りだと今回の連中は部類もやり方も違うから常習犯の連中ね。」

「俺もそうだと思う。

あの動きは昨日今日でできる動きじゃない。

その使い道がPKになっているのが悲しいくらいだ。」

「うん・・・でも、何とか勝て方ら私たちは当初の予定通りモブを倒して行こうよ。

問題が出ればみんなで話し合って解決すればいいんだし。

だからムクロ君は1人で背負い込まないでね?皆との約束だよ?わかった?」

ユリハはムクロにある程度の無茶は認めるが度を超す無茶や行為は仲間にしっかりと連絡するようにと語ると。

クーリアとエリの回復スペルもあって、すぐに回復すると。

4人は拠点のテントに向かうと・・・そこには元気になったユキシロが待っていた。


「主殿ぉ~~~さっきはごめんなのじゃ~~

アタイ・・・匂いでは気が付いておったのじゃが気が付いたころには切られていたのじゃ。

本当に不甲斐ないのじゃ。」

「だが、致命傷を受けていたにしてもなんとか即死しない程度に体を反らしたのはすごい事だぞ?

それに・・・よく頑張った。

ファムもユキシロと頑張ってくれてありがとな。」

「うん・・・私は移動して少し治療したくらいだから。

そこまで役には立っていないけどそう言ってもらえてうれしい。」

「あれぇ?私にはお礼の言葉はないのかなぁ??

私がいないと危なかったんじゃない?な~んてね!!ウソウソ。」

「それなら私たちも回復したんだから褒めてくれてもいいんだよ?

ねぇ?コトハ??」

「そうね、私たちがいなかったらムクロはここに戻るのにもう少しは時間がかかっていたでしょうね。

で、アヤカは何かほかに怪しいモノは見つけた?」

「いいえ、視覚と聴覚強化のスキルを使って確認してみたけど反応も何もないわ。

だからムクロたちが倒したプレイヤー達しか来ていなさそうね。」

アヤカの言葉にホッと胸を撫で下ろす一同は。

装備とアイテムの準備を済ませて再びキメラとゴーレムの討伐を開始し始めた。

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