第362話 大切なモノの痛み
――――――――――――――中級層:奥地
ムクロたちがキメラやゴーレムと戦闘を開始してからある程度の時間が経ち。
そろそろ大型のボスクラスのリスポーンがあると踏んだムクロは。
全員を招集して回復とバフを行っていると。
予想通りに巨大なグランドベヒーモスが現れ。
巨木を薙ぎ倒して突き進んできていた。
「すごいパワフルなボスが出て来たけど・・・・コレがムクロ君の言ってたモブ??」
「そうだ・・・その1体だが。
コイツはパワーと体力が高い代わりに動きがそこまで早くないからよく動きを見て行動してくれ。」
「了解なのじゃ!!!ぬぉぉぉぉおおおぉぉ!!!
先程はプレイヤー相手に後れを取ったのじゃが・・・モブ相手には遅れは取らないのじゃ!!!
―――――――――――牙狼拳:瞬激!!!」
「決まったけど・・・あんまり効いていない!?
これってどういう・・・・」
「ベヒーモス種は物理防御が高いのよ。
だから魔法で弱らせてから叩かないと大変なの。
だから私たちがいるのだけれどね。
さぁ・・・行くわよクーリア。
私たちの数少ない出番だから派手に行くわよ。」
「あいよ~それじゃ・・・やっちゃいますか!!!
――――――――ファイヤーボール!!!
―――――――――――アイスブリッツ!!!」
クーリアとエリがベヒーモスの前に現れるとクーリアが右にエリが左に回り込みながらスペルを撃ち込んで四方八方から攻撃を繰り返し。
じわじわと体力を削って行くとベヒーモスに変化が見られた。
「よし・・・ベヒーモスがバーサクを使って一気に防御が下がるからこの機会に一気に叩くぞ!!!
いくぜ!!!クイックシフトォ!!!」
「さぁ!!!私も久々にやらせてもらおうとするかな!!!
入って来てみれば巨大モブと戦っているんだ・・・参加しない手はないだろう!!
―――――――――アークブレイク!!!!」
「ミストまできちゃったよ?どうする?もっとガンガン行っとく?」
「そうね、このまま押し切るわよ!!!
――――――――ファイアーバースト!!!
――――――ブレイクスプレッド!!!」
「ぬおぉぉぉぉ!!!みんなどくのじゃ!!!
ベヒーモスの攻撃とどっちが強いのか力勝負なのじゃ!!!!
――――――――――牙狼拳:撃滅!!!!」
「すごい!!!ユキシロがバーサク状態のベヒーモスの攻撃を弾き飛ばした!!!
よし!!!それなら私も行かせてもらうよ!!!
――――――――――ブレイクランス!!!」
「あと少し!!!あと少しで・・・・はぁぁぁぁぁ!!!!
――――――――――
ムクロたちの攻撃だけではトドメにはならず・・・ユキシロの跡から続けて放ったユリハのスキルによってようやくベヒーモスの討伐が完了すると。
全員は息を切らしてその場に座り込んでいた。
「ハァハァハァ・・・みんなお疲れ。
それにしても・・・すごい戦いだった。
これだけやってギリギリって言う事はこのベヒーモスは体力が高めに設定されているな。」
「ハァハァハァ・・・いや、それにしても・・・いざ入って来てみればムクロたちがボスと戦っていて驚いたぞ。」
「お疲れなのじゃ・・・ぬはぁ・・・にしてもいい戦いじゃったのぉ。」
「だね~この後はテントで腹ごしらえでもする?
お肉買ってきているんでしょ?」
「あ・・・いけない・・・ムクロ君!!早く買い出しに行かないと!!!」
「ぐぅぅぅ・・・ま、待て・・・ガクッ・・・」
「今回は追いかけるほど体力が残ってないわね・・・ずっと動いて戦ってたらこんなものよね。
でも・・・武器が新しくなって少し火力が上がったわ。」
そう言ってエリは杖を支えにして立つと。
疲れ果てたミストたちと共に先に拠点のテントに戻って休憩をすることにした。
一方ユリハ達は拠点のポータルから街へ戻り、商店街で肉や食材の調達をしていたのだが。
ムクロは回避をした際に脚を痛めており。
それに気が付いたユリハはムクロと共に噴水のあるベンチで足の治療をしていると・・・・
「ごめんねムクロ君・・・こんな状態で走らせたりして・・・・はい、できたよ。」
「いや、ユリハにさせてきた心配に比べたらこんなの平気だ。
それにユリハの手当のおかげで結構楽になったから早く買い物を済ませて戻らないとユキシロたちがウルサイだろうな。」
そう言ってムクロはユリハに立って見せると。
それでもやはり心配なのかユリハはムクロを支えるようにして歩き始め。
少し歩くたびに脚は大丈夫かと尋ねる程であったが無事に買い物を済ませ、急いで拠点に戻るとユキシロとファムがあまりにもお腹が減りすぎて伸びていた。
「ごめん、少し遅れちゃったよ。
でもこれからとびっきり美味しいもの作るから待ってて!!」
「ぬぉ!?それは肉かのぉ??早く作って欲しいのじゃ~~」
「あはは、ユキシロもファムも派手に暴れて頑張ったからな。
それに今回は俺も少しお腹が空いたな。」
「それよりもムクロ・・・その足の包帯は大丈夫なのか?
先程のベヒーモスで庇うような動きをしていたように見えたが・・・」
「きっとユリハが手当てしてるから大丈夫だと思うよ?
だってムクロッちだったら何もしないと思うし。」
「そうね、ムクロは自分からケガをしてても痛いって言わないものね。
だから余計にこっちは心配するのよ?わかってる?」
と、流れはムクロが何も言わずに皆を不安になせると言う話になっており。
ムクロはただただみんなに謝り続けていると。
ポータルからアヤカがやってきていた。
「ん?どうしたの?ムクロを正座させて・・・・また何かやらかしたの?」
「またって・・・俺は特に何も・・・・」
「何も?何もなわけないじゃん!!!
ムクロッちってばすぐに何でもない何でもないって言うけど・・・
痛かったら痛いって言わないと駄目だよ?
私たちは仲間なんだから助けに呼んで欲しいって言うか・・・・
ユリハ以外にも頼れる仲間がこれだけいるんだからもっと頼っていいんだよ?」
「今日はえらく語るじゃない・・・クーリアにしては珍しいわね。
何かあったのかしら?」
「だが、今回はクーリアの言葉が正しいな。
ムクロはもっともっと私たちを頼っていいんだ。
今はソロプレイじゃないからな。」
「なのじゃ!!アタイでよければ何でも付き合うのじゃ!!」
「わたしだって!!!ムクロ以外にも私を必要ならユリハでも誰でも呼んでね!!
すぐに飛んで駆け付けちゃうから!!」
最終的にはいつもの流れとなり、仲間との絆が深まると。
ユリハは今回作ったチャーハンを皆に配ると、ユリハは1人自分の分だけを持って離れた場所に移動して食べているのが気になったムクロはユリハの隣に座り・・・
「どうした・・・ユリハ・・・」
「ううん・・・その・・・みんなはムクロ君のケガの事を知ってたのに私だけダメだなって・・・それで・・・少し落ち込んでたの。
私、ムクロ君のことを大切に思っているのに些細な見落としをしちゃってて・・・・」
表情を暗くするユリハにムクロはユリハの髪がくしゃくしゃになるくらいに顔を見ずに撫でてからそっと胸に抱きよると・・・ユリハは小さな声で「ごめん」と言ってから泣き始め。
心配そうに見守るクーリアたちにジェスチャーで任せてくれと合図を送ると。
ムクロはユリハが泣き止むまで胸に抱きながらユリハの作ったチャーハンを口に含むと・・・・
「これ、美味いな・・・ユリハの料理って現実でもこっちでもウマいよな。
良かったらまたユリハの手作り弁当をご馳走してくれないか?
それと・・・また料理を教えてくれたらありがたい。
だってオムライスしか作れないのもあれだろ?どうだ?」
「ふふ・・・うん・・・いいよ。
ムクロ君の欲しいモノ・・・私があげられるものなら何でも上げるよ。
あと、慰めてくれてありがと・・・さぁ!!私も元気出さないとだね!!」
涙を拭いたユリハは自分の分のチャーハンを手に取って食べ始め。
それを見ていたクーリアやミストたちはホッとしたのか自分たちも同じように食べ始めた―――――――
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