第330話 マージのログアウトポイント

―――――――――――――プライベートホーム


ムクロはホームに戻ると・・・誰もいないのかと声をかけると――――――――

リビングの方から夕食を作りに出て行ったクーリアの声が聞こえ。

ムクロはリビングに向かうとそこにはソファーに座ってクーリアが情報を集めながらお茶を飲んでいた。


「お帰り~情報収集は順調に進んでるよ~~いやぁ誰もいないって本当に集中できるね~~ん?どったのムクロッち??何かあった??」

「あぁ・・・ちょっとな・・・・でも、クーリアたちを見てたらまだまだ頑張らないとなって思えてさ。

くよくよしていられないよな・・・」

ムクロの言葉に何かあったと感じ取ったクーリアはムクロを自分の座るソファーの真横に座らせ。

クーリアは急にムクロの肩を寄せて写真を撮った。


「どうしたんだ急に・・・」

「んにゃ~これだけ密着した写真をユリハ達に送ったらどうなるかなって・・・ニシシ・・・そうだね・・・コレをばら撒かれたくなかったらシャキッとしなよ?

私たちのリーダーはムクロッちなんだからさ?」

クーリアはできた写真をペラペラとしながらムクロにそう言うと。

ムクロも気遣ってくれての行動だとわかると・・・クーリアに感謝し、集めた情報はどうなのか見せてもらう事にした。


「えっとね・・・私が独自で集めた情報の結果から考えたのはこれかな。

特異モブは何かしらの目的があって意図的に操作されて作られたウイルスが変異させたもの・・・と言うことくらいしか・・・・ムクロッちは何か収穫あったの??

知ってるよ?私たちに内緒でどこかにお出かけしてたでしょ??

ムクロッちの事なら何でもお見通しだってのよ!!えっへん!!」

「あはは・・・何かクーリアにそう言われるとプライベートも何もないよな。

でも、クーリアの考えた答えはおおよそ当たっている。

俺もついさっきキャレットたち本部に情報を提供してきたところだ。」

と言ってムクロは先ほどあった白騎士との戦いやマージの行っている計画について話すと・・・

クーリアはマージと言う名前にピンと来たのか。

情報交換している仲間に最近噂になっているマージの情報を集めてもらうと・・・仲間からマージと言う名のプレイヤーについての情報ファイルが送られてきた。

ファイルを開くと、そのマージと言うプレイヤーはアバターを構成し動かすための脳神経とブロッサムを繋ぐ機密コードやアバターコードの解析に外部ツールを使ったアバター情報の書き換えを行うという狂ったプレイヤーとされており。

マージ自身のアバターも何かしらの改造を施しており・・・探し出すのは難しいと書かれていた。


「ムクロッちの言ってた・・・マージの計画と内容が合致するね。

マージは間違いなくリアルに干渉するウイルスを作ろうとしてる・・・

早く何とかしたいけど・・・・マージが見つけられない・・・・あ~もぅ!!!

どうすりゃいいのかなぁ~~ムクロッちは何かいい案ある??」

「マージを見つける方法か・・・・ヤツは最後にまだやるべきことがあるとか言っていた・・・・きっとウイルスの最終チェックか何かだろうが・・・・ヤツの居場所さえわかればいいんだが。」

「そのような事でしたらお任せください。」

2人が腕を組んで考えていると・・・台所からレイがお茶を運んでやってきた。


「私の方は色々と情報収集が出来ました。

マージと言うプレイヤーも今回の異常現象の索敵の範囲にいたことが幸いでした。

現在・・・私たちが調べ上げたアバターコード改ざん、並びに不正アバターを使ったプレイヤー12名の居場所を特定済みでございます。

こちらにはGM権限である程度の卑怯な手が行使できる女神の力があることをお忘れなくでございます。」

「それってプライバシーも何もないよな・・・でも、レイ達のおかげで何とかなりそうだな。

だが・・・マージの痕跡はこの中級層のフィールドから更新されていないって言う事は・・・・ここでログアウトしたのか。

でも・・・なぜだ??こんなところに街も何にもないはずだが―――――」

「ムクロッち・・・きっとここがマージの次の実験場じゃないかな??

誰もいない場所を狙って・・・ノコノコとやってきた野良プレイヤーを使ってウイルスの実験台にする気じゃない??

だってここ・・・中級層に着たてのプレイヤーが集まるフィールドだよ??」

クーリアに言われて気付いたムクロは・・・キャレットに中級層のとある部分でマージが行動を起こす可能性があると伝えると。

キャレットから通話が入り・・・レイからの情報とマップから見た解析情報をキャレットに全て説明すると。

レンブとデラントと共に・・・遠近装備と観測不可の装置を持たせた警備隊を配置して24時間体制で監視すると言って通話を切り。

最後にチャットで・・・何かあれば連絡すると言ってそれまでは体を休めておくようにと書いてあった。


「で、警備隊のメンバーとレンブ達だけで大丈夫???

こういうサイバーテロとかには強いみたいだけど・・・

特異モブとか出てきたらヤバいんじゃないの??」

「俺も同じことを考えていた・・・・でも、レンブとデラントがいるんだ。

きっと何かあればレンブ達からすぐに連絡が来るだろうし・・・

それと今言うかどうか迷ったんだがハラが減った・・・・あはは。」

「それはいけません!!ご主人様たちはリアルで夕食をどうぞごゆっくり召し上がってください。

私はもう少しだけ情報を洗い出しておきます。

何でも、情報は鮮度と精密さが命ですので・・・失礼、私としたことがクーリアの言葉を使ってしまいました。」

レイは2人に食事を勧めて情報の洗い出し作業に取り掛かると・・・その様子を見た2人はログアウトしてリビングに向かった。


「――――――で、要するにマージって言うプレイヤーが黒幕で・・・それに関与していた白騎士は悠一目当ての変態さんだったわけね。

こういう戦闘好きになプレイヤーには本当よく絡まれるわよね・・・悠一って。」

「あぁ・・・でも、その白騎士もマージの仕掛けた変異モブにやられた犠牲者の1人だ。

現実の体とアバターが無事だと良いんだが・・・・」

「はぁ~悠一はまた他人様の心配??仲間でもないプレイヤーの心配って・・・

本当に悠一は余裕があるのかバカなのか・・・・やれやれだよ。

そんな事よりご飯食べようよ!!!でさ悠一~この煮魚は私が作ったんだよ??ホラ、早く食べて食べて!!」

耀子は悠一に自分が作った手料理を勧め・・・食べさせると。

すぐに味の評価を尋ねてきた。


「あ、あぁ・・・あはは・・・ウマイよ・・・ありがとな・・・」

「よし!!!耀子ちゃんに追加ポイント1点!!!」

「何のポイントなのかしら??それは私に対しての挑戦と受け取っていいのかしら??

いいわよ??耀子がその気なら・・・・悠一の味覚を理解した私に負ける未来はないわ。

さぁ、悠一・・・このサラダはどうかしら??」

2人はその後もこれやこれやと悠一に食べさせ。

作った数で互角となり・・・引き分けとなり・・・・・


「今回も引き分けかぁ・・・今日は勝てたと思ったんだけど・・・・」

「えっと、俺は普通に食べたいんだが・・・・どうしても競わないとダメなのか??」

「そうね、こういう時くらいゆっくり食べたいものね。

耀子の軽い挑発を受けた私が悪いのだけれど・・・・

と、言う事でこの戦いは悠一が迷惑しているらしいから今夜限りよ。

それじゃ悠一は私と」お皿洗い頼めるかしら??」

コトハは流れるように皿洗いを頼むと、断る理由もなかった悠一は皿洗いを手伝い。

耀子も皿をしまう係として手伝いながらお風呂の順番を話し合っていた―――――

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