第329話 仕組まれた変異モブ
―――――――――――――上級層:ロストタウン
PVPが終わり・・・消失した体力を回復した後、白騎士の元に近寄ると。
白騎士はゆっくりと立ち上がり、ムクロにこう言った。
「この戦いは私の負けだ・・・やはり覚悟と場数の差が敗因なのだろうな。」
「いや、そうじゃない・・・・白騎士、ゼロに足りなかったのは。
きっと・・・場数でも覚悟でも強さでもない。
ただ・・・勝つ先に何を見ているかじゃないか?
俺はこの戦いに勝ってマージを捕まえてウイルスを解除してさ・・・仲間たちとこのグロリアをクリアする予定なんだ。
その約束がある以上俺は負けられない。
どんなことがあってもな――――――――」
すると・・・建物の中から拍手の音とともにマージがモブを連れてやって来ると。
マージの手には黒い液体が詰まった注射器を取り出し・・・・
「これが君たちが戦ってくれた時間を使って出した答えだよ。
さぁ・・・見てくれ・・・この真のモブ達の輝きを!!!
実に見事だと思わないか??だが・・・これではまだ足りない。
そう・・・私の計画は人間にこのウイルスを適合させ。
私の考えた
つまりだ・・・・私が人間を進化させる救世主並びに神となるのだよ。」
「黒騎士、私があのモブをやる・・・・お前はマージをやるがいい。
勘違いするな・・・私はお前たちとも仲良く群れて慣れ合う気はない。
ただこれ以上この厄介なウイルスの研究をヤツに進めさせるわけにいかないと思っただけだ。
理解したのなら目の前の事に集中しろ――――――」
「あいよ・・・それじゃ武運を祈ってるぜ。
――――――――――クイックシフト!!!」
ムクロが加速スキルを使用すると、白騎士も同じタイミングで加速し・・・モブに攻撃を仕掛け。
ムクロはマージにダメージを入れて取り押さえるが―――――――
「いいのかい??まぁ私を捕獲するのは黒騎士君にとってはいいだろう・・・・
だが、目の前の白騎士を見殺しにするコトになるが・・・私はどちらでも構わないのだが。」
「くそッ!!!
白騎士ッ!!!待ってろ!!!!
―――――――――クイックシフト!!!」
「・・・・・クッ・・・・このモブ・・・さっきの黒い液体でどれだけ強化されたと言うのだ・・・・特異モブと言うよりはもっと違うモブになっているかのようだ。
だが・・・・どうする・・・このままでは本当に・・・・」
モブの変異した巨大な腕に潰されそうになっていた白騎士をムクロは間一髪のところで攻撃を打ち返し。
そのスキにこの場を離れるように言うと・・・白騎士は剣をしまってクイックシフトを使用しながら移動した。
「では、私はお先に失礼します・・・・まだ私のやらなければならないフェーズが残っているので。
このモブを倒すことが出来ましたら・・・またお会い致しましょう。」
「黒騎士!!!どうして私を選んだのだ!!私の事を放っておけばあのマージの陰謀を未然に防げていただろう!!
どうして私の方に来た!!!答えろ!!!私はお前に助けを求めたか!?
それともこのモブは私ではムリだと言いたいのか!?ぐぅ・・・・」
「無茶もそこまでだ・・・・ゼロを見てると昔の俺を見ている様でさ。
放っておけなかったんだ・・・それに、あのマージって奴はいずれ直接会う事になるだろうし。
今はこの目の前の変異特異モブを何とかしようぜ。
こんなのを見たらキャレットも驚くだろうな・・・・・」
と、消えるマージを見送ったモブはリミッターがさらにはずれ・・・・施設に突入し、すべての機材に攻撃を開始し始めていた。
「マージの命令で全ての証拠を隠滅するように仕組まれていたと言うわけか。
見ろ・・・ヤツの攻撃した場所から濃度の高いウイルスが広がっている。
アレに触れれば間違いなく何かしらの異常が出ると覚悟しろ。」
「あぁ・・・どうやらそのようだな。
証拠は俺たちの口から出る情報のみってところか・・・・それだけあれば十分だ。
んじゃ・・・ヤツも終わったみたいだし・・・やるか!!!
――――――――――クイックシフト!!!!」
変異したモブが処理し終わったのか・・・建物を突き破って飛び出してくると。
ムクロと白騎士ゼロは互いに加速スキルを使用して攻撃に乗り出した。
「白騎士!!!下に回避!!!」
「言わなくてもわかっている・・・・そっちの方こそ腕が迫って系ている。」
ムクロと白騎士は互いに攻撃を回避しながら変異モブの体に連撃を叩き込み。
どんどん体力を削り・・・・赤色バーまで体力を削りだすと。
変異したモブは動きを止め・・・ジッと何かを待つようにし始め。
その様子を見た白騎士はムクロの注意を聞く前に突撃し・・・
「ぐあぁぁぁ・・・・・掴まれ・・・・くそッ・・・放せ!!!」
「大丈夫か白騎士!!!今助けて・・・・なッ・・・・コイツのこのカウントはまさか!?自爆・・・・・??」
ムクロは流れるカウントを止めようと必死に攻撃を叩き込むが・・・マージの仕掛けた罠だったのか。
白騎士を掴んだ変異モブの体力は減ることなく・・・ムクロは諦めずにひたすら攻撃を叩きつけていたが。
その様子に白騎士は――――――――――――
「もういい・・・黒騎士・・・お前はここから退避してその情報を届けろ。
お前の攻撃でもビクともしないんだ・・・・クッ・・・あの道化め・・・最後の最後でとんだ仕掛けを置いて行ったか。」
「クソッ!!!俺はまだ・・・諦めたりはしない!!!!
―――――――――ブレイブダンス!!!!」
ムクロの放つ渾身のスキルに対しても変異モブの体力は微動だにせず・・・白騎士はこの場から離れるように言い放ち。
最後にムクロに対してこう言った――――――――――
「もし・・・また次、会えたのなら・・・・私と戦ってくれるか??」
「白騎士?お前何を言って・・・・・ぐあぁ・・・・何を!?
強制転移か!?ヤメロォォ!!!白騎士!!!!ゼロォォォォ!!!!!」
白騎士が光り輝く瞬間・・・・ムクロの転移が始まり・・・再び光が戻ったと思えば。
始まりの都のポータル前に立っていた。
「クソッ・・・・クソクソクソクソ!!!!!あぁ・・・何度だって戦ってやるさ。
でもその前に・・・・マージを見つけ出す!!!絶対にだ!!!」
ムクロは手をぎゅっと握りしめ・・・キャレットのいる本部に移動し。
ラボで会議中であったキャレットを呼び出し・・・白騎士とマージに接触で来た事・・・ウイルスの目的などを話すと。
ラボの外にまで響いていた白騎士と言う名にレンブもフラフラとしながら現れ・・・話を聞くと―――――――
「そうか・・・ヤツは散ったのか。
無様だな・・・腕が立つと思っていたが最後の最後でこのザマとは・・・・
白騎士が敵でないことが判明したんだ・・・その仮面の男。
マージとか言う胸糞悪い野郎を見つけて連れてくる。
いくぞ、デラント!!!」
「えぇ!?俺も出るんすか!?
やっと仕事が落ち着いたと思ったのにこれか・・・・ったく・・・
ムクロもお疲れさん・・・その・・・元気出せよ?
こういう仕事をしてたらさ・・・そう言う事もある。
ただ・・・お前さんが折れたら倒れて散った奴らにどう言い訳するんだ???
そうだ、知って言っちゃつを無駄にしないようにするためにお前さんは立ってやるべきことをしろ!!!
俺はレンブの付き添いだがよ・・・ムクロにはムクロのやるべきことをだな・・・・あぁいいとこだったのによぉ・・・・レンブが呼んでるから行くわ。
――――――――――じゃあな!!!」
「デラントらしい励まし方だが・・・私からもお疲れさまと言っておくわね。
ムクロくんはとても重要な情報を持って帰ってくれた。
マージと言う名もキャラクターIDも検索中だ。
いずれ情報が出るだろうからムクロくんはそれまで休んでいて欲しい。
くれぐれも無茶をしないように・・・・」
キャレットは情報に感謝をしながら、ゆっくり休むように伝えると。
ムクロはギュッと再び手を握り・・・デラントたちの言葉を思い出しながら決意を新たにプライベートホームへ戻って行った―――――――――
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