第328話 白騎士とのPVP
――――――――――上級層:ロストタウン建物内
白騎士はジッと立ち尽くして待っていると・・・マージは大きな機械を見上げながらムクロに誰の指示でココまでやってきたのかを問うてきた――――――
「そうだな・・・お前の散布しているモブを狂わすウイルスを突き止めようとしている連中に協力しているんだ。
お前たちが何をしようとしているのかは知らない。
だが・・・お前たちの勝手な計画に他者を巻き込むのはどうなんだ??」
「いやはや・・・それはそれは御立派なワンコだったか。
黒騎士は手綱を握られ・・・指示通りに動くケルベロスってところですか??
失礼・・・私としたことがついつい浮かれてしまいました。
そうですね・・・私から言わせてもらうと・・・ウイルスはモブ達を開放するためのもの。
そう・・・行動に自由はなくモブはモブの通りにしか動けない。
その窮屈な檻から解き放ち、自由な本能を呼び覚ましただけの事。
ただ少し・・・効きすぎて先ほどのバハムートのように強くなりすぎて手の出せなくモブが時たま出るのですが。
それを解決するためにこの白騎士さんが協力をしてくれているわけです!!!」
「私は・・・・そうだ・・・・私は多少道を外れてはいるがこの道化が撒いたウイルスの悪影響が大きく広がらないように対処しているだけの事。
それに気になっている点はそれだけではないはずだ・・・・私たちがどうしてどこにでもどの世界のサーバーからでもログインできるのか知りたいのであろう??」
白騎士はムクロの方を見つめながらログイン方法の件について問うと・・・ムクロはそのままどうしてなのか尋ねると。
マージは話すには少しフェーズが早いとブツブツ言いながら・・・白騎士の言っていた他国にログインしていた種明かしを始めた。
「そうだな・・・1つ質問してみようか?黒騎士君・・・君は今どこからログインしているのかな??」
「そう聞かれてハイそうですかって言うワケないだろ???俺たちはこの状況からして敵同士、お前たちのしている行動の意味も本当の理由も理解しないまま話す方がどうかしているだろ。」
「そうだな・・・だが、1つ訂正しておこう。
私はこの道化と行動はしていたがこのウイルスに関わりも興味も関心も一切ないのだ。
むしろ、このマスクの道化を止めたければ好きにしたらいい・・・・
私の目的はこれだけ大きく騒動になれば黒騎士・・・お前と巡り合う可能性が高まると踏んで少しだけ手を貸してやったまで。
こうして黒騎士が再び目の前に・・・・やっと私の目の前に現れたんだ。
今回この場で真の決着を付けよう・・・・そして、道化を倒したければ私を倒してから思う存分やるがいい!!!」
マージは話の流れが想像とは違う方に流れたことに対して残念そうなポーズをとり、何もなかったかのように機械操作を再開すると・・・白騎士は剣を抜いてムクロにPVPの申請を飛ばし、ムクロは飛んできた申請の許可をすぐに押すと・・・アナウンスが開始の合図をカウントし始め――――――――
「さぁ・・・・黒騎士の真の実力を見せてくれ。
グロリアの世界を1人で駆け抜けて得た真の強さを・・・クリアした強さを見せてくれ!!!」
「俺はその黒騎士から卒業したんだが・・・・
あの頃とは違う俺を見せてやるよ。」
「ククク・・・・実にいい絵だ・・・白と黒の騎士が力比べとは・・・どちらに勝利が転んでもおかしくない名勝負になるだろう・・・・だが!!!
私はこの研究をより高みに導かなくてはならない!!!
それも大きくとびっきりのスケールでな!!!
その研究があと一歩で完成するのだ・・・・せいぜい2人で仲良くそこで戦っていてください・・・・・ククク・・・・・」
マージは不気味に笑いながらカチャカチャと画面を操作していると。
ムクロと白騎士ゼロとのPVPが始まろうとしていた。
「さぁ・・・始めよう・・・黒騎士!!!いや、ムクロ!!!」
「そんじゃ・・・どっからでもかかって来い。」
ムクロの言葉の終わりと同時にアナウンスは開始を告げ・・・・白騎士は剣を構えてキレのある突き技をムクロに叩き込んだ。
「やはり・・・これでは聞かないか―――――――」
「いや、俺の予想よりもいい動きだ。
―――――――そうだな・・・あと・・・数千回の練習で俺の懐に届くんじゃないか??」
ムクロに防がれた突きを白騎士は強引に切上げ、そのまま打撃を加えてムクロを外に弾き飛ばすと。
モブたちは外に出て来たムクロと白騎士の姿を捉えると・・・ゾロゾロと集まり2人を囲むように1匹また1匹と数を増やしていた。
「モブに四方を囲まれながら白騎士を相手にするのか・・・少し本気を出さねぇとヤバイかもな。」
「スゥ・・・・・・・フンッ!!!!
――――――――――スティールスラッシュ!!!!!」
と、白騎士はムクロを狙うのではなく後方にいたモブにスキルを発動し・・・・数体のモブを倒すと。
白騎士の体にバフがかかったエフェクトが走り・・・ムクロに再び鋭い突きを繰り出した。
「・・・・・・・ぐぐぅ・・・さっきよりもスピードと攻撃力が上がってやがる・・・・キル変動スキルか・・・・この状況に対して白騎士が少し有利ってところか。」
「さすがだ・・・それでこそ黒騎士。
バフをかけて撃ち込んだ攻撃を弾くとは・・・・だが。
何かい同じことができるか試させてもらう!!!!」
そう言ってゼロはバフの掛かった状態でムクロに連続で切りかかり。
その連続切りにムクロは剣と身のこなしで回避し・・・スキを突いてムクロは白騎士に攻撃を叩き込んだ。
「・・・・・・・ハッハッハッハ!!!!見事、実に見事だ・・・・・
攻撃していたはずの私が先に攻撃を喰らうとは・・・なんと滑稽か。
では・・・私も少し力を入れよう。
―――――――――クイックシフト・・・・・」
「なッ!?加速スキル!?
クソ・・・・出遅れた・・・・
―――――――――クイックシフトぉぉぉ!!!!」
ムクロは白騎士の発動した加速スキルに対して出遅れる形でクイックシフトを使って対応するが・・・・
「出遅れたのが痛いな!!!黒騎士!!!!!」
「グハッ・・・・ぐ・・・・
ヤバイ・・・・このままやられたら・・・・体力が・・・・ぐがッ・・・・」
白騎士の加速スキルに翻弄され・・・連続で攻撃を受けるムクロは最後の一撃を叩き込む瞬間のスキを見逃さず。
そのスキを突いて加速スキルを使用して抜け出し。
ムクロはスキルカーソルを見てニヤッと笑みを浮かべた――――――――
「ここまでして未だに消滅せずに耐えるとは・・・・だが、その状態で黒騎士はどう戦うつもりだ??
あと数発も攻撃を受ければ消滅するのだぞ?」
「そうだな・・・白騎士・・・いや、ゼロが俺に攻撃を与えられたらな!!!
――――――――――コレで決める!!!クイックシフト・ディストーション!!!!」
ムクロの発動した加速スキルによって現れた複数の残像体に白騎士は剣を構えて応戦するが。
白騎士の攻撃は影に当たることはなく・・・逆に影の攻撃を白騎士は受け続け。
体力ゲージが赤色になったところでムクロのスキルが終わり。
互いに剣を構えながら息を切らして対峙していた。
「ゼェゼェ・・・ゼロ・・・最後に聞いておく・・・お前は本当にこれだけのためにウイルスをばら撒く手伝いをしたのか??」
「これだけのため??黒騎士・・・お前は分かっていない。
お前を倒すことがどれだけ私が渇望していたと思っている!!!
お前と戦う事ができるのであればどれだけ犠牲を払ってでも叶えたい願であったことか・・・・・だが、コレで決着だ!!!!剣を構えてどちらかが勝って地に足を付けて立ち上がるその時の最後の最後まですべてを燃やして戦え!!!」
白騎士は全てを燃焼させながらここまで来た事を悟りながら、ムクロは悲しくも嬉しく感じながら白騎士に最後の一撃を撃ち込み。
白騎士とのPVPの幕を下ろした――――――――――
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