第286話 クーリアのとっておきスペル!!

―――――――――――――――――自宅


悠一は耀子からの返信メールが返って来ない事から何か用事をしていると察し、悠一自身もグロリアをすぐにプレイできるように姉さんと食事を済ませたりと準備を終えてグロリアにログインすると・・・偶然にもポータルでクーリアとユリハと出くわした。


「アレ?2人とも・・・こんなの珍しいね。

ん?どうかしたの??」

「いや、そういうんじゃないけど・・・・なぁ?」

「あ、うん・・・全然大丈夫だよ?いつものクーリアちゃんだよ??

ほらね??どこからどう見てもいつも通りでしょ??・・・・はぁ・・・」

無理に大丈夫と主張するクーリアと距離を取りながらユリハはムクロにコソコソとと何か心当たりがないのか尋ね・・・ムクロは今日の出来事を話すと――――――


「ん~それはムクロ君がちょっぴり悪いかもしれないかな??

でも、こう言うときは・・・いつもの作戦しかないでしょ??

ねぇ、クーリア・・・ムクロ君と久々にPVPでもしない??」

「えぇ・・・いつものってユリハ式のストレス発散だろ?」

「そう・・・そうだね!!!久々にムクロっちをボッコボコのギッタンギッタンにしてあげたいと思ってたんだぁ!!!

ほら、ボコボコにされたいムクロッちはこっちに来なよ!!!」

ユリハはクスクスと笑いながら離れ、クーリアのPVPを受けると・・・すぐに戦いが始まった。


「久々に頭に来てるんだから避けないで全部当たってよ!!!!」

「いや、こんなスペルをモロに受けたらすぐに終わるだろ・・・・

にしても・・・ユリハはすごい笑顔で見てるけど・・・楽しんでいないか?」

ユリハは全力でスペルを放つクーリアと必死にスペルを避けて機会をうかがうムクロを見て、2人に応援していた。

そして、クーリアは・・・エリと編み出した連携スペルを発動した。


「これでもくらえッ!!!

―――――――――バブルボム&ォ~~サンダートルネード!!!!」

「なッ!?

ぐあぁぁ・・・・かはっはっはっは。

いつの間にあんな連携スペルを覚えたんだ??スゲー威力だし・・・」

「わ~ビックリした!!クーリアもすごいけどあの連続スペル攻撃をギリギリで避けるムクロ君も2人ともすごいよ!!!」

ユリハが見ているPVPに興味が湧いたのかそれともクーリアの放つスペルの爆音を聞いてきたのか・・・いつの間にかクーリアvsムクロのPVPにはたくさんのギャラリーで溢れていた。


「いいぞ!!魔法使いのウサギちゃんがんばれよ!!!」

「そこの少年剣士も負けんじゃねぇぞ!!!剣士の意地を見せてやれ!!!」

「なんだかすごい人が集まっちゃってる・・・・でも、あれだけすごい戦いなんだもん・・・嫌でも見ちゃうよね・・・フフフ。

2人ともすっごく楽しそうだなぁ。」

「ぐぅぅ・・・ムクロッちはやっぱり早いし強い・・・こんな私じゃ無理なのかな・・・・また、負けちゃうのかな――――――」

「――――――――また相手を言い訳にしての??

―――――――――それがクーリアの意思なの?

――――――――本当にそれでいいの??ムクロに少しでも・・・いいえ。

と思わないの??戦いはね・・・最後の最後まで諦めないモノに勝利の光がさすのよ。

だったら、その身が消え散るまで全力で唱えなさい!!!全力のスペルを!!!クーリア!!!」

「なッ!?エリエント!?

ん?エリエントの声に反応してクーリアは自信にバフをかけたのか?

にしても・・・あのバフは一体・・・」

ホームに向かう途中、戦う2人をたまたま見かけたエリは・・・勝負を投げようとしたクーリアに激励を叩き込むと。

クーリアの中にあった邪魔な考えが消え去り・・・とっておきのスペルを発動した。


「エリ・・・ありがとね!!!やっぱり、私・・・勝ちたい!!

どんだけムクロッち強くても・・・私だって1ミリも勝ちを譲りたくなんかない!!

だから、私のとっておきのバフで勝負を決めちゃうからね!!!!

覚悟してよ、ムクロッち!!!

――――――――――オーバーローオスペル解除!!!必殺!!トリプルボディ!!!からの・・・こうだ!!!」

「なッ!?マジか・・・クーリアが3人になった!?

それに・・・各自独立した魔法を撃って・・・・ぐぅッ!?ガァッ!

こりゃ・・・マジでやらねぇと俺もヤバそうだな。

―――――――――――クイックシフト!!!!」

「クーリアのあの技は私も初めて見るけど・・・エリちゃん。

あの魔法って・・・クーリアの固有スキルなの??」

「えぇ・・・この前やっとできるようになったのよ。

でも、出力は未だに安定していないからまで持つかね。

その限られた時間の中でクーリアがムクロを倒せるかどうかは・・・・勝利の女神のみぞ知るといった所ね。」

「おいおい・・・あのウサギちゃん・・・3人になって魔法を撃ってるぞ??

俺のブロッサムがバグったのか??お前はどうだ??」

「いや、あれは紛れもなく3人に増えてる・・・・みんな目をこすって見直してる所を見るとそうだろう。

にしても・・・あの少年は3倍の攻撃に対等・・・いや、対等以上に渡り合っていないか??」

「あぁ・・・俺ならあんな3倍スペル祭りになったら即落ちだ・・・・

だが、あのも何か負けられないモノを持っているんだろうな。」

ギャラリーはクーリアの3人に増えたことに驚いていたが。

クーリアの分身スペルトは別にムクロの対応とスピードに目を奪われていた。


「そ、そこだ!!!くぅ~オシイ。

あぁぁ~~ムクロ君危ない!!!2人とも頑張って!!!」

「ユリハはどっちの応援をしているのかしら??

ま、聞くだけ野暮だとは思うのだけれど・・・・だけど、この戦いはクーリアにしてもムクロにしても大きな意味を持つ戦いになると思うわ。

何方が勝ってもね。」

「やっぱりムクロッちはすごい!!!このスペルと情報のアイドルクーリアちゃんのとっておきの分身の術を受けて魔法まで受けて戦ってるなんて・・・・本当に、本当に・・・最高の戦いだよ!!!

―――――――ファイヤーバレット!!!プラズマボール!!!ブリザードボム!!」

「その言葉をそのままクーリアに返すぜ。

こんなに強くなってたとは思いもしなかった・・・・

それに、今日の件は悪かったな・・・・ただそれだけが言いたかった。

で、これからが本当の戦いだ!!!!

――――――――――クイックオーバーシフト!!!!!」

「でたッ!!ムクロ君の上位スキル!!!

でも・・・クーリアのバフに点滅が・・・・」

「そうね、だけど・・・クーリアもこれを読んでいたようよ??

ほら・・・あのあたりには無詠唱で仕掛けられる罠が仕掛けてあるわ。

さぁこの状況をムクロはどうするのかしら??」

「あの少年はまだ早くなれるのか!?

スペルを正面から避けられるほどの速度とは・・・・相手にしたくはないスキル持ちだな。」

「全くだ・・・と、言うかあの2人を相手にしたくないといった所が正しいな。」

ムクロは消えかかっているバフ効果のクーリアの残像を2体切り倒すと・・・・本体のクーリアに一撃を浴びせようと一撃を振るうが――――――


「チッチッチ・・・・甘い甘いよ!私がそんなあまあまにザルにすると思ってた?

ん??アレ・・・ムクロッちが消え・・・・まさかッ!?ぐへぇあぁ・・・・」

「そのまさかだ・・・クーリアに悪いが、アレは影だ。

体力バーも消滅確認っと・・・ほら、クーリア・・・立てるかおわッ!?」

「にゃッ!?2人とも!!!勝負が終わったんだから離れて~~」

「フフ、勝者はムクロのようだけれど・・・この調子で頑張ればもっと強くなりそうね。

これからが楽しみといった所ね。」

ユリハはムクロに抱き着くクーリアを引き剥がしに向かうと・・・エリは3人の元に行かず。

プライベートホームに向かって歩いて行った―――――――


―――――――――――――――ポータル近くの広場

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