第228話 黒いヤツの正体・・・

―――――――――――――天空城:広間


黒い塊は地面を這いながら移動し、全員に攻撃するかのように腕を枝分かれさせて攻撃を行い・・・同時にスペルを使って自身にバフをかけて強化し始めていた。


「この黒いヤツ・・・今まで戦ってきた黒い天使と比較にできないレベルで強いな・・・・攻撃もなかなかのキレだな。」

「そうだな・・・これは戦って体力を削り切るよりも自爆に巻き込ませた方がいいかもしれないな。」

「それにバフの効果が外から剥がせないようにガードのスキルまで自信にかけているわね・・・・これは面倒なことになりそうね。」

「でも・・・やれることをしないと簡単には帰してくれなさそうだよ!!!」

「みんなは先に行って!!!私が残って全部燃やし切るから!!!」

「ファム、それはいくら何でも無茶なのじゃ~~アタイたちも協力するから共にやるのじゃ。」

と、黒いヤツの攻撃を全員で弾き返し・・・前衛で攻撃できる者は一斉に黒いヤツに向かって攻撃を開始し、クーリアやアヤカといった後衛は前衛のサポートと黒いヤツの攻撃を撃ち落とすことに専念していると自爆アラームが1分を切ったと案内が入ると同時に黒いヤツは大きな咆哮を上げて地面を突き破る程のスキルを発動した。


「コイツの破壊力は滅茶苦茶だな。

今の攻撃でこの辺りが崩れ始めたか・・・・みんな気をつけて行動した方がいいぞ。」

「うん!!でも・・・必ずどこかに弱点があるはずだからそこを狙えれば。」

「アレが黒い天使と同じなら・・・どこかに結晶状の弱点であるコアがあるはずだ。」

「んむぅ・・・・ミストの言ってた結晶はあのになるアレかの??」

ユキシロがじっと見つめる口の中に赤いコアがあり・・・弱点を狙うのは相当難易度が高く体力を削り切る前に共倒れする可能性があると考え、各自で時間を稼いで飛び降りてレイに助けてもらうと言う流れになり・・・まずレイが安全確保のために地上へと飛び降りて行った。


「ハァッ!!!ゼイアッ!!!!後衛はレイの準備が完了したらレイの指示に従って脱出してかまわない。

その間の時間を俺たちが稼ぐから安心してくれ・・・・ぐぁッ!!」

「ムクロ君!!!無茶しないで!!!私たちも協力するから!!!」

「そうだぞ!!!自分だけこんな強敵と戦うなんてズルイぞ!!!

――――――――アークブレイク!!!!」

「うむうむ・・・じゃが、早う逃げねば爆発に巻き込まれるのじゃ!!!」

「ムクロッち!!!このバフとエリの仕掛ける捕縛用スペルを仕掛け終わったら私たちはドロンするからよろしくだよ!!!」

「クーリア・・・無駄口叩いてないで早くバフをかけなさい・・・・」

「と、言うわけで・・・弾撃ち終わったから1抜けた~~」

安全の合図が見えたのかアヤカは武器をしまって地上へと飛び出し・・・レイの剛腕装甲にキャッチされ、その様子を見ていたクーリアたちは飛び降りても大丈夫と判断し・・・バフとスペルを掛け終えると同じように飛び降りて行った。


「残るは俺達だけだ・・・・ミストはまだ傷が完治してないだろ???

そのまま戦うのは無茶だ、早く地上へ退避してくれ。」

「ここは私がミストの分まで頑張るから・・・えへへ、こういう時こそ天使の力を頼ってよ!!!私頑張るから!!!フンッ!!!ハッ!!!」

「ファムにそう言われたら退くしかないな・・・それじゃファムそれにユリハ・・・ムクロを頼んだぞ!!!

3人ともちゃんと戻って来るんだぞ!!!」

「大丈夫だよ!!私たちはすごくしぶといから!!!ね?ムクロ君!!!

―――――――ハァッ!!テイヤッ!!!」

3人でミストが抜けた分をカバーすると・・・ミストは地上へダイブし、剛腕装甲にキャッチされたのだがミストは3人が無茶をしないか不安な様子であった。


「それじゃ次はどのタイミングで退避するかなぁ・・・ゼイアッ!!!ぐぁッ・・」

「ムクロ君ッ!!!くッ・・・この手を放しなさい!!!!テイヤッ!!!」

「ユリハ!!!ここは私が何とかするから先に逃げてッ!!!」

俺の足に黒いヤツの腕が絡みつき動きを封じられ、その様子を見ていたユリハとファムは必死に引き剥がそうとしたが剥がれる様子もなくファムはこの状況を何とかすると言ってユリハを逃がそうとするが・・・・


「そんなのできるわけないじゃない!!!2人とも見殺しにして私だけノコノコ戻れるわけないじゃない!!!」

「だとよ・・・・それだったらこうするしかないよな――――――

2人に悪いが・・・・・・・・・

――――――――――暴風の札!!!」

「ムクロ!!!!く・・・手を・・・・うぅぅうう・・・わぁぁぁ!?」

俺は強力な魔法が発動できるアイテムを使用しユリハとファムを吹き飛ばして地上へ落とすと・・・・残る自爆までの時間は30秒しか残っていなかった。


「こんな所で黒いお前と心中か・・・・全然笑えねぇ冗談だ・・・このッ!!!

やっぱダメか・・・・どうしても引き剥がせねぇな。」

「オマ・・・エ・・・ハ・・・ツヨイニクタイヲ・・・・モッテイルナ・・・・」

急に黒いヤツが鳴き声以外で言葉をしゃべり始めた。


「お前・・・このままだと爆発に巻き込まれて互いに死滅するが・・・それでお前はいいのか??」

「キエルコトハナイ・・・・ナゼナラ・・・ワタシハオマエト・・・ヒトツニナルカラダ・・・・・」

黒いヤツはそう言って自身の体を液体の様にこちらに飛ばし・・・俺は守るように左手で受けると熱い痛みと同時に左の腕に黒い紋章が彫られていく瞬間・・・・


「そうはさせないよ!!!!ハァッ!!!

大丈夫!?ムクロ!!!さっきの暴風はびっくりしたけど・・・私には飛行能力があるんだよ??だから・・・帰ろ・・・みんなの待つ場所に。」

「ハハハ・・・そうだったな・・・助かる・・・ぐあぁぁあぁ!?」

「アトスコシデオワルトコロヲ・・・・ジャマスルノカ・・・ワタシヲツクリダシタ・・・テンシガァァ!!!」

黒いヤツが襲い掛かろうとした時・・・ヤツの数歩後ろに捕縛陣があるのが見えた

俺はファムに最大の攻撃を当てるように指示するとヤツは捕縛陣に拘束され、俺の足も動くようになり、ファムに抱えられながら脱出すると同時に天空城が大きく爆発し・・・その衝撃によって飛んできた岩盤に強打したファムは意識を失い、俺はファムを引き寄せ・・・ファムの頭を守る形で地面に激突した。


「んん・・・・私は・・・死んじゃったの???」

「ファム!?みんな!!ファムが意識を取り戻したよ!!!!」

「ムクロ君ッ!!!ムクロ君ッ!!!!目を開けてよ!!!ムクロ君ってば!!!」

「まさか気絶したファムを庇って落ちてくるなんてね・・・ムクロらしいけど・・・さすがに無茶よね、あの高さからの衝突は相当だと思うわよ。」

「ですが・・・その甲斐あってファムは助かったのです・・・本当であれば私が2人を受け止めて助ける予定がこんなことに――――――」

「じゃが、あの量の瓦礫と同時に主殿とファムを助けるのはほぼ不可能じゃった・・・だからレイレイは責任を負う事なんて何1つないのじゃ。」

「だけどムクロのあの手・・・黒い何かが描かれているように見えるのだけれどアレは一体・・・・」

レイやユリハ達はファムが気が付くと知ると・・・ファムが応援に戻ってからの事を尋ね、ムクロの腕に刻まれた黒いモノについて話すと・・・腕の黒いモノが黒く光り始め、ムクロの体がムクリと起き上がった。


「ムクロ君ッ!!!やっと気が付いた・・・・の??」

「ユリハッ!?くッ・・・今のムクロは私たちの知ってるムクロじゃない!!!離れた方がいいよ!!!」

ファムの注意を聞き・・・ユリハがムクロの顔を見ると、目を閉じて寝ている様子であった。


「ムクロ君ッ!!!どうしちゃったのムクロ君ッ!!!!」

「コノカラダハ・・・ナジム・・・馴染むぞ!!!!言葉までもが思いのままとは・・・・スペックの違いは大きいと言う事だな!!!

この者はムクロと言うのか・・・おっと、自己紹介がまだだった。

私は黒いモノやヤツやらと下品な呼ばれ方をしていたが・・・・名はちゃんとある。

私の名前はロンギニアルス・・・アルスと呼んでくれ。

まぁ・・・呼ぶも何もこれから消す相手に名乗っても仕方ないか!!!」

「みんなッ!!!逃げて!!!これは私たちを襲うつもりだよ!!!」

「どうやらそのようだな・・・・どす黒い感じがひしひしと伝わってくる。」

ムクロの装備から剣を取り出し・・・戦闘が始まろうとした時、ムクロの中でもアルスと戦いが始まろうとしていた――――――――――――


――――――――――――――――爆心地の花園

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