第219話 拘束の天使セレタス

――――――――――――プライベートホーム


エリが帰還してからすぐにミストに連絡を入れ・・・アヤカにもチャット送るが返信を待っていたが、未だに連絡が帰って来ず・・・先にミストが両腕に袋を持って帰って来た。


「急いで買い込んで戻ってきたが・・・・エリの容体はどうなんだ???

――――――大丈夫なのか??」

「うん・・・体力は回復させたから・・・あとは気を取り戻してくれたらいいんだけど・・・・一体何があったんだろ―――――」

「それはエリに話を聞かなければ何も言えない状況だな・・・・だが一つ言えることは、エリがアヤカを置いて逃げて来た事はないと思うから・・・きっとエリは早く俺たちに伝えるべき情報があって1で帰って来たんだろう。」

「でも、こんなになるまで戦っていたとなると・・・アヤカが少し心配だよね。」

「うむ、だが・・・考えても仕方ないのじゃ!!!

こういう時はミストの買ってきてくれた食べ物をガツガツ食べるだけなのじゃ!!!!はむはむはむはむ!!!」

「食える時に食べておけよ・・・きっと、エリの事だ・・・重要なことを知っているに違いない。

何せ、こういう無茶してるエリが昔っから一番信用できたからな。」

俺の一言にユリハたちがムッとしたように見えたが・・・それを隠すかのようにユリハ達もミストの買ってきた食べ物を口に運んではエリが気が付くかと目を配っていると――――――


「ん・・・んん・・・・ハァ~この匂いが充満しているって事はホームに辿り着いたってところね・・・・」

「エリ、大丈夫か??一体何があったんだ??」

エリが目を覚まし、体を起こすと・・・ユリハ達も部屋に入ってきてエリに事情を聞くと。


「まずはそうね・・・・どこから話せばいいのかしら。

1つ先に言っておくと、これはある意味戦争よ。

しかも、天世界の内部と天世界の外部からの操る何者かと私たちとの三つ巴の戦いなの。」

「つまり、天世界の内部・・・あの天使たちが外部のヤツを裏切り独断で行動して・・・外部は外部で手を打って来たってトコか?」

そう、エリに尋ねると・・・エリはコクリと頷き、俺はさらにアヤカはどうなったのか尋ねると・・・


「アヤカは・・・天世界と外部の複製型NPCと交戦中・・・今もあの地下でドンパチしていると思うわ。

アヤカに私の方が早く帰れると見込んだのと、どちらが帰った方が信憑性があるかまで全部計算してたんでしょ?

だから、私も全力でココに向かったのだけれど・・・追手の天使たちの群れと戦って何とか帰って来れたけどこのありさまになったってわけ―――――なッ!?」

「ありがとう・・・エリ・・・ゆっくり休んでくれ。

これから、俺たちがアヤカを救出に行く!!!」

「うん!!!そうだよ!!私たちがアヤカを助けて天世界の野望も外部の野望も打ち砕かないとね!!!」

「で、ムクロッち・・・いつまでエリを抱きしめてるわけ??

いい加減離れなよ・・・ミストとレイが震えてるよ??」

「む、ムクロォ!!!情報は聞いたんだ!!!さっさとアヤカを助けに向かうぞ!!!」

「その前に組織の連中に一報入れた方がいいのではないでしょうか??

さぁ、ご主人様・・・エリから離れましょう。」

「話は纏まったようじゃの・・・ならば、ジャカルゥの準備をせねばの。」

と、言って・・・ユキシロがジャカルゥの部屋へ行き、ユリハ達も装備とアイテムの準備を始め・・・・長期戦を覚悟して用意をするように言い。

俺は組織と他の作戦メンバーにこれから天世界のあるポイントに向かって攻撃を開始すると援護要請を出し・・・エリの看病をユキシロに任せて俺たちは先にポータルを経由して転移してからジャカルゥでアヤカの戦っている地下を目指して移動を開始した。


その頃アヤカは・・・・


「くッ・・・・奴さんは全然少なくならない感じね・・・

このままだと弾がいくらあっても足りないじゃない。

何かいい方法があればいいのだけれど――――――」

謎のホールからぞろぞろと見たこともない同じ色と形のNPCが現れ・・・天世界の天使が倒しても倒しても奥のホールからどんどんと湧き出し、無間地獄状態になっていた。

すると、天世界の上位の天使なのか・・・大きく体から光を放って現れ、大きくあくびをかきながらNPCに睨みを入れて口を開いた。


「ふわぁぁ・・・あ~もぅ・・・ちゃんが出てこなくちゃいけないと思ったケド・・・そんなに強そうな相手がいるってかけでもなさそう???

ただ、ザコが湧いてるだけって感じだし・・・!!!アハハ。」

「あの天使・・・ヤバイ・・・・ここから放れないと―――――――――」

その瞬間、アヤカの判断は正しく・・・空には無数の槍が現れ、ジールがニヤッとした瞬間には―――――アヤカの隠れていた場所からホールまで辺り一面に槍が突き刺さり、見方も敵も一切合切が串刺しになっていた。


「これで任務完了よね???ねぇ??《《ノーツ)》。

私疲れちゃったんですけドォ??」

「ん~~そうだね、からはここの一掃とネズミの削除って言われてたけど・・・・どれがネズミなのやらわからないレベルだねぇ。」

「誰がネズミよ・・・・弾に余裕があったら無駄弾でも当ててやるけど・・・今は無茶できるほど余裕がないのが残念ね・・・それに色々名前が出てるけど・・・これがメンバーの名前なのかしら?それとも偽名??いずれにせよここは隠密状態で隠れて過ごすしかないわね――――――」

と、コソコソアヤカが移動を始めた頃・・・ホールに異変が現れ、NPCが数百体が一気に現れ・・・それらは隣同士で混ざり合い巨大化し、2体の大型のゴーレム型のNPCへと変貌していた。


「もう・・・イライラするなぁ・・・私ィ~ザコ相手には本気出さない主義で・・・なぶるのは好きだけど相手にはしたくないのよね~~だからさぁノーツ代わりにやってくれない???

最近運動不足って言ってたでしょ??」

「あ~聞かれちゃってたか・・・なら仕方ないね。

ならば、神速のボクが君たち2体の相手になってあげよう!!!

さぁ~かかって・・・ッ!?

まだ、話している途中なのに攻撃とは・・・マナーがなっちゃいない・・・なッ!!!!」

「なッ!?滅茶苦茶早い!!!一瞬で腕を切り落とした!?」

ノーツは岩石を投げつけてきたゴーレム型の攻撃を避けた瞬間にはゴーレムの腕を切り落とし・・・ゴーレムの目の前で剣を布で拭いて余裕を見せていると・・・・


「あ・・・ノーツ、後ろから来たよ~~が。」

「あぁ・・・知ってるよ、でも・・・このスピードじゃ・・・まだまだだけどね?」

ノーツは巨大なガーゴイル型の攻撃を避け、見失ったガーゴイルの背に立ち・・・剣で翼を落としてゴーレム型に捻じ込みつつガーゴイルとゴーレム型を消滅させて残るはゴーレム型1体となったのだが・・・・


「ノーツ~早くしてヨォ~~~私ィ~プレイヤーを無視していられなくなっちゃうよぉ??」

「そう言われてもなぁ~セレタスの命令でネズミは倒せって言われたけどそこのプレイヤーは最後にとっておけって言ってたから攻撃しちゃだめだよ??ヤァッ!!!」

「私の隠密が・・・バレてるの???

はぁ・・・どおりでこちらによってこないように攻撃してるわけだ・・・なんだか知らないけど隠れる方がよさそうだからさっさと消えさせてもらうとするわね。」

と、アヤカは今のうちと言わんばかりに移動し・・・ジールがそれを見送ると、ノーツはゴーレムに鋭い一撃を加えて消滅させるが・・・さらにワラワラと小さいNPCがゾロゾロと現れ、キリがないと言った感じであったが―――――――


「お前たち離れていろ。」

その瞬間、辺り一面のNPCもろとも何かに握り潰されながら地面ごと抉れ・・・ホールも機能しないようになっていた。


「さすが~セレタス~~~すっごいパワ~~」

「やはり、君にはかなわないね・・・・その見えざる手・・・未だに暴力的で神秘的で破壊的だね。」

「御託はいい・・・あの銃を持つ女を泳がせて撤退だ・・・・外部の人間が更なる攻撃を仕掛けてくる準備があるはず・・・ソレを叩きながらここへ来る奴らも全て倒せば俺たちの勝ちだ―――――」

両手を拘束した天使、セレタスはノーツとジールを引き連れ・・・天世界のゲートへと消えて行き、更なる戦いが繰り広げられようとしていた――――――――


――――――――――天世界ゲート前

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