第220話 黒い天使型NPC

――――――――――天世界ゲート前


天使がゲートを通って消え去ってからアヤカはホールの状況を確認して辺りに他の天使が現れていない事を確認して・・・安全と判断すると胸のポケットから電子タバコを吸って一服していると・・・・


「こっちの辺りから戦闘を行った形跡がありますね。」

「どうやら・・・ビンゴのようだ・・・ケガはないか??アヤカ。」

「アヤカ!!!無事だったんだね!!!もう心配したよ~~」

「そうだよ~エリがズタボロで帰ってきたからアヤカもズッタボロボロになっていないかって心配だったんだからね。」

「でも、この槍の後・・・あの人が・・・がここにいたって事だね・・・アヤカ、他に天使は誰かいた??」

と、ファムはアヤカに尋ねると・・・アヤカは電子タバコのスイッチを切ってしまい・・・今までに起こった事を話すと、腕を拘束した天使の部分でファムは表情を曇らせた。


「どうしたんだ??ファム??何か気になったことがあったのか??」

「う、うん・・・その拘束された天使は兄様の友人なの・・・それもすごく強い天使で兄様と同格の強さと言ってもいいくらいで―――――」

「と、言う事は・・・その天使が何か知っている可能性があると言うわけだな。」

「だな、だが・・・まずはアヤカの弾の補給と安全面の確保だ。

生憎にも少し行けば休憩施設が見えるし、先ずはそこに移動しよう。」

話が決まり、俺たちはモブに気付かれないよう移動しながら建物の中に入り・・・・アヤカに必要な弾の素材を渡して暖を取りながら交代で天世界へのゲートに異常がないか見ていると、ゲートの中から1体の天使が現れ・・・それを追うように黒い天使が現れたと思えばいきなりの爆発と衝撃と共に戦闘が始まった。


「うわッ!なんだッ!?あれは!!!」

「うッ・・次は黒い天使か??ファム、あの黒い天使について何か知っているか??」

「ううん、あんなの見た事ない・・・そもそもフォルム的に天使じゃなくて・・・悪魔に見える――――――」

「あれは・・・私がさっきまでここで天使と戦っていたときに急に表れてゲートの中に消えてったヤツかな??

なんだかとか・・・天使が言ってたから何とも言えないんだけど・・・仲間と敵の区別がつかないみたいよ?だろって。」

「なんだか・・・良くない事があっちの世界で起きているのは確かだね。」

と、話している間にも空を自由に飛び回りながら黒い光と黄色い光が攻撃し合い・・・黄色い光は黒い光に飲み込まれ、取り込まれてしまい・・・再びゲートに飛び込んで行ってしまった。

そして、アヤカが弾を制作を開始してから数分が経ち・・・・


「あと少しで終わるから待ってて・・・くッ、こうなるんだったらエーテル体のマガジンを作っておくんだったわ―――――――」

「アヤカ、焦らなくていいよ?まだ援護も来てないみたいだから。」

「うん・・・それに、天世界のゲートの扱いがすごく気になる・・・どうしてこちら側には門番を付けていないのか不思議なんだよ。」

「それもそうだな・・・・だが、もうひとつ考えられる事がある。」

「何らかのトラブル・・・またはアヤカたちの言っていた外部との交戦で天世界事態に何かが起きているとでも考えるのが妥当でしょう。」

レイはゲートを睨みつけながらそう言うと・・・ゲートから天世界の住人らしき人が這うようにして出てくると、ユリハはスキルを使って加速してその人の所に移動すると―――――


「君、大丈夫!?すごいケガ・・・すぐに治療するからまってて・・・・」

「うぅぅぅ・・・・お姉ちゃん・・・」

ユリハは気を失った子供を抱えてアヤカたちのいる場所まで移動して回復キットで治療すると、少年は目を覚ましてお礼を言うと同時にここがどこか知らない様子であった。


「ここはね、グロリアっていう世界なんだけど・・・君は天世界から・・・きたの??」

「うん・・・ボクはテロン・・・から逃げてきたの。」

「何だって??一体あっちの世界で何がったと言うんだ??

良かったら私たちに少しお話してはもらえないだろうか??」

「これは、ユリハ達に任せるとしよう・・・俺はこういうのは苦手で―――――」

「私もちょっと苦手かな・・・・」

「そうですね、ここは私たちが出る幕ではなさそうですのでゲートの監視を続けましょう。」

テロンの話をユリハとミストに任せ・・・俺たちは監視をしながらテロンたちの話を聞いていると、天世界は不思議な黒いヤツに攻撃され・・・戦える天使で黒いのと戦ってはいるが数が一向に減らないばかりか天使を取り込んでは数を増やすと言った奇怪な能力を使うらしく・・・その戦いの中で運よくテロンはここまで逃げ延びたということを話し、俺たちは天世界の天使と戦う前に外部のヤツを叩くために天世界へ向かうことを決めると・・・テロンは助けてくれた礼と言って道案内をすると言い、作業していたアヤカの弾も大方完成しており・・・準備を完了した俺たちはテロンを守りながらゲートに入ると目の前に広がる光景は以前とは全く違って建物から火が上がり・・・各所では戦っているのか激しい音と悲鳴が聞こえていた。


「お姉ちゃんたちコッチからだと歩いて上まで行けるよ。」

「ふむ・・・これはいい案内役だな・・・だが、これはヒドイな。」

「あぁ・・・・私の故郷がメチャクチャに・・・あの黒いのは絶対に許せない!!」

「ファム、行きたかったら行ってもいいんだぞ???

無理に感情を押し殺してやりたいことをやらないまま後悔するより、やってから後悔したらいいさ・・・後の事も何も考えずにやりたいことをやってこい!!!俺たちが付いてるんだ、気にするな!!」

そう言うとファムは笑って天へ舞っていき・・・俺たちは地道に歩いて上へと向かう事となった。


「なッ!?不意打ちか!!みんな敵が数体お出ましだ!!!」

「これは見事に黒いNPCだな・・・名前もバグっててまともに読めやしない・・・」

「でも、私たちはこんなところで止まってられないよ!!!

上に向かってったファムに追いつかなくちゃいけないんだから!!」

「そうですね、あのはらぺこファムがいなくなってしまってはご主人様もユキシロも皆さんも悲しむかもしれないのでここは出し惜しみをせずにフルに行かせていただきます!!!

―――――――――――剛腕装甲!!!」

レイの叫びによって現れた剛腕装甲は天使を2体ガッシリと掴んで握り潰すと・・・黒い天使たちは剛腕装甲をかいくぐってテロンに攻撃を仕掛けてきた。


「テロンを狙っているよ!!!テロン君は下がってて!!!ここは私たちが何とかするから!!!」

「う、うん・・・お姉ちゃんたち頑張って!!!」

「ハッハッハ!!!小さな少年に応援とは・・・なんだかムズカユイが気持ちのいい声援だな!!!そうは思わないかッ!!!ムクロよ!!!」

「そうだなッ!!!ハァッ!!!何かを背に戦う事はいい事だ!!!

守るべきものがある戦い程、やり甲斐のあるものはないな!!!ゼイアッ!!!」

テロンに攻撃しようとする黒い天使たちを相手に俺たちは一歩たりとも近づけさせないようにしながら守っていると、背後からテロンに一撃を加えようとする黒い天使をアヤカがハンドガンで撃ちぬいた。


「う、あぁ・・・あ・・・・ありがとう。」

「どういたしまして、さぁ・・・私にちゃんとついていなさいよ??

こんなところで消滅したくないでしょ??ね?」

「アヤカって、こういう時優しいよね~~」

「ユリハもそう思う???私もそう感じ・・・ウワッ!?アヤカッ!?無駄弾うっちゃダメでしょ~が!!!」

「あはは・・・天世界に来てもクーリアたちは変わらないな・・・・」

「そうだな、だが・・・ひとまずは黒い天使たちを倒し切ったが、ファムは大丈夫なのだろうか???」

「そうですね、すごく不安なので・・・主にエサにつられていないかですが。

早く上に向かう事に越したことはないでしょう。」

黒い天使を倒し切ると、テロンに再び道案内をしてもらいながら黒い天使を倒していくと・・・大きなフロアが出てきて、そこには《《ノーツ)》が黒い天使と戦っていた――――――――――――


―――――――――――――――天世界:下層の間

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