第216話 ムクロの苦労
―――――――――――――――天空遺跡:大空洞
魔将は剣を弾き飛ばしたハシャを探そうと辺りをきょろきょろと見渡し、存在を確認できないと知ると・・・体力とバフがかかった俺の姿を見て武器を取りに行くことをせずに殴りかかってきた――――――
――――――――グラァァァァアァァ!!!!
「おせぇよ・・・・ブレイブダンス!!!」
魔将の剛腕での打撃を回避しながらカウンターで魔将の全身にスキルを叩き込み・・・突っ込んで来た魔将を消滅させると、2体目の魔将は武器を2本取り両手剣状態でこちらに攻撃を仕掛けてきたが・・・回復の際に使った護符のパワーUPバフの効果が高く、片手の剣だけで両手の攻撃をガードしきれるほどに強化されていた。
「クーリアから貰ったバフ・・・効果良すぎだろ・・・アイツ・・・どこんでこんな―――――いや、そんな事より今はこの護符のおかげで余裕を感じるな。」
―――――――――――ググラァァァアアァァ!!!!!
どうして攻撃が通らないのか理解できない魔将は再び間合いを詰めて今度は左右から両断する勢いで剣を振っていたのだが――――――
「そう来ると思ってたぜ!!!!
そんじゃ、消えてった仲間によろしく頼むぜ!!!
――――――――――ブレイブダンス!!!!」
――――――――――グラ・・・・・ラ・・・アアァァァ・・・・・・
両断される瞬間に体を低くして回避し、その間をくぐってスキルを叩き込むと・・・何とか3体の魔将連続討伐を成し遂げ、解放されていない実績を解除して称号がいくつか解放され・・・・グロリア内の掲示板や公式に名前と魔将をソロで討伐した者の出現と流れ、ユリハ達がこれを見たらまずいと思っていた矢先に・・・・鋭いスキルが俺の頬をかすめて飛んで行った。
「あはは、私こんなに剣の使い方がうまくなったんだけど・・・どうしてムクロ君はまたこんな無茶なことしたのかなぁ?
一歩間違えてたらロストしてたかもしれないんだよ?」
「だ、だって・・・ユリハ達は特訓中だったし・・・俺も特訓しようかなって思ってたらいい相手がいてさ・・・倒した後に追加で2体同時に出てきて・・・ちょっと危なくなったけど、何とかなって――――――――あぁもう、俺が悪かった・・・だからそんな顔に怒らないでくれ・・・な?」
この騒がしいやり取りにクーリアが駆け付け・・・何があったのか状況を説明するが・・・・
「あぁ~そう言う事ね・・・今、ムクロッち・・・街とか公式サイトですごい盛り上がってるよ??
ホラ、これなんだけど・・・・」
「珍しいロックの解除者・・・ムクロ、現る・・・ねぇ・・・ふぅ~ん。
すぐムクロ君は私たちの届かないような場所に行っちゃうんだね―――――」
「いや、そんなつもりは・・・・なぁ、クーリア・・・この場合はどうしたらいいんだ???俺の手には負えないんだが―――――」
背を向けるユリハにどうすればいいのかクーリアに尋ねると・・・クーリアはユリハの背を見ながら耳元で自分で何とかしろと言って特訓の続きと言ってどこかへ行ってしまった。
「えっと・・・その、毎回こうやってユリハに心配かけるなら俺―――――」
「それは、ダメッ!?なんかムクロ君・・・言っちゃダメなことを言おうとしてたでしょ??それだけは駄目・・・・だよ・・・絶対。」
ユリハに最後まで話をする前に抱き着かれ・・・ユリハに勘違いをさせたのか、ユリハの顔はすごく悲しそうな顔をしていた。
そんな顔をさせないようにと・・・クーリアたちには秘密にしてユリハの手を握りながら少し上のフロアに上がり、ユリハに見せたい場所までやって来ると――――
「ほら、ユリハ・・・これを見て機嫌を直してくれないか???」
「うわぁ・・・・キレイ・・・・コレってホタル??」
そのフロアは辺りが薄暗く・・・川が流れているのか、川の音が響き・・・チラチラと光の玉が飛び、幻想的な空間であった。
「あぁ、この小さい光は全部ホタルらしい・・・その、これで忘れろとは言わないけど・・・さっきの戦いはイレギュラーが続いて呼ぶ暇もなかったんだ。
それだけは分かって欲しい―――――」
「こんなキレイなのを見せられたら・・・断れないよ・・・・
わかった、ムクロ君を信じるけど・・・ムクロ君、私たちはいつだってムクロ君を目指していることを忘れないでね。
これ以上高くなっちゃうと・・・私たち、追いつけなくなっちゃうから。」
と、笑いながら2人でホタルを眺めていると・・・ユリハが手を握り、それをそっと握り返し・・・クーリアたちのいるフロアに戻ると、レイやミストたち全員で乱戦をして特訓していた。
その激しい戦いを見たユリハは腕がウズウズして何かを押し殺すように我慢している様子で―――――
「どうしたんだ??一緒に戦いたいんだろ??なら、行ってきたらいいさ。
俺はもう少しこの辺をぶらぶらしてるからさ。」
「う、うん!!!でも・・・さっきみたいな危ない事はしたらダメだからね!!
絶対だよ!?もし避けられない状況になったら・・・コレで知らせてね。」
と、ユリハから連絡弾を受け取り・・・ユリハは手を振ってミストたちが戦っている場所に駆けて戦いに参加するのを見送り・・・
「さて、俺は俺で特訓したいが・・・ユリハに色々言われてできることに制限がついたな・・・ん?メールか??」
気が付けばメールが来ており・・・内容を確認すると、差出人はガヘリスで・・・製作依頼していた武器が完成するから取りに来て欲しいと言うメールで、俺はこそっとこの場から離れて取りに行こうとした瞬間―――――
「ふぅ~ん、またコソコソと1人でどこかに行こうとしてる人がいるねぇ~~」
「その・・・クーリア・・・見逃してくれないか??」
少しだけ街に戻ろうとした時・・・俺の背後からクーリアの声が聞こえ、振り返ることができないまま見逃すようにクーリアに話すと・・・・
「そうだね~ん~このことをユリハが知ったらま~た・・・怒っちゃうねぇ~どうしよっかなぁ~~~それじゃ・・・現実で私とデートって事で♪
してくれるのならこの事を見なかったことにしてあげるよ~~どうする??」
「く、クーリア・・・・お前って言うやつは・・・わかった、こうなるくらいなら・・・・いっそ全員に言って行くことにするかな。」
そう言ってユリハ達の所に向かい激しい戦闘の中に突撃し、全員の攻撃を受け止めて戦闘を中断させ―――――今回の件の説明をしていると、クーリアがプンプンと頬を膨らませてブツブツ文句を言って石ころを蹴っていた。
「と、言うわけで少しだけここから放れるんだが・・・大丈夫か??」
「へーきなのじゃ!!!何せこの人数じゃ何が来ても怖くないのじゃ!!!」
「まぁ下手にちょっかいをかけてくるヤツはいないだろうな。
行くにしても作業の邪魔と変なことはしないようにだぞ!!!」
「ミスト、変な事って・・・そ、そう言う事だから・・・今回は正直にコソコソ抜け出そうとせずに言ったから認めるけど・・・早く帰って来てね?」
「にゅふふ・・・それがさぁ~~ムクロッちってば本当は~~ごにょごにょごごにょ。」
「これはクーリアから事情を聞きだす必要がありそうでございますね―――――
さぁ、ご主人様・・・クーリアの口から手を放してくださいますか?」
正直に話したが、クーリアがこのことを言えばすべてが台無しになると考えた俺はクーリアの手を掴んでポータルで移動して街へと戻った。
「もぅ~ムクロッちってば強引なんだからぁ~~~そんなに焦らなくても私は逃げないよ~なんちゃってぇ~~~」
「あぁ・・・これはある意味マズいな・・・こうなったらまずは受け取るモノを受け取ってからだ―――――
それじゃ、ガヘリスの工房に行くか・・・・」
俺はあまり気が乗らないままガヘリスの工房までクーリアにからかわれながら移動し、ガヘリスの工房につき中へ入った―――――――
――――――――――――――ガヘリスの工房
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